自殺ダメ!絶対イヤ!
会社と称する強制収容所。
その一つが「有給休暇取得率50%」を目指すと「発言」した今日この頃。
犯罪と犯罪者の犯罪予告をだれも止めなかったし止める予定もないことが公言されたノンフィクション作品の登場人物皆様へのお知らせです。
本作品はフィクションです。
作中登場人物の個人的な主義趣味主張嗜好を推奨保証するものではありません。
法律の原理原則を尊守することはまた別に推奨いたしますが。
では、法律を厳守した侵略戦争を続けます。
お楽しみください。
人に類するモノが一番、恐れるモノ。
「わからない」
モノであれ、人であれ、集団であれ、事件であれ。
恐ろしいから近づかない。
近づかなければわからない。
わからないから近づかない。
見ず知らずのナニかに積極的に近づくのは、異常者だ。
異常とは通常の反対で、多数派に対する少数派。
それは知的生命に限った事ではないけれど。
ホラー映画で暗闇に飛び込み開幕の悲鳴を上げるのは、物語だからこそ。
理屈などないし、説明など野暮であり、脚本の無能と笑えばよろしい。
理由など求めぬし、説明など解らぬし、観客は愚劣だと笑うのもよい。
無能を見逃すていどに愚かになる。
愚劣を見越すていどに粗末に創る。
互いがかみ合えば芸という。
ありえないからこその芸なのだろう。
地球の西洋史において、水場で水を汲まずに口をつけて飲む男たちを、悪魔の使いとみる向きがある。
それは何年も何年も何年もまえから入り込む、モンゴル帝国の偵察であったからだ。
友好関係を結び、交流を深め、相手を把握して、隙を突き弱体化させて、圧倒的な戦力差を造ってから戦端を開く。
それは異世界でも共通の話。
異世界の赤い龍。
帝国は常に密偵を送り、物見を送り、大物見に打ち込ませ、全軍が進軍した。
勝てるようになってから。
勝てるようになるまでは。
何年でも十何年でも何十年でも、融和策に努めて計画を進める。
異世界に現れた地球人たちが真っ先に大陸沿岸に偵察部隊を上陸させ、ありとあらゆる手段で敵地を確認したように。
知性がある存在は、どこであれ同じような手順を踏む。
もしも異世界側の帝国が先に日本列島を見つけていたら?
例えばローマ帝国のように。
例えばモンゴル帝国のように。
例えばオスマントルコ帝国のように。
当たり前のことを当たり前に行っただろう。
そうはならなかったが。
【太守領西部/内陸との境・山脈の始まり/西の山/その麓/青龍の貴族、その斜め前】
ドワーフは吠えた。あたしは耳を塞ぐ。でも、聞こえちゃう。
やーね、まったく。
「貴様等ごとき脆弱な地虫風情がワシらが剛力受ける格に非ず!!!!!!!!!!
紛い物の黄銅如きがワシ等に通じると思うたわヌシ等の無才よ!!!!!!!!!!
ウヌ等は木の上で背中のシラミを潰しておるが似合いよ!!!!!!!!!!
とっとと去ね!!!!!!!!!!」
――――――――――あーあ。
あ――――――――――、ま、まずいわ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの娘が、涙目。
あの娘が泣いている理由を、彼、青龍の貴族が
――――――――――絶対、誤解する。
【太守領西部/内陸との境・山脈の始まり/西の山/その麓】
まあ、そうだよな。
俺は、よそのドワーフを眺めながら、思った。ちなみに、うちのドワーフ、は元カノの子分たちだが。いまは前にいる、よそのドワーフのことだ。
怒っている。
わかるわ~~~~~~。
呼ばれてないのにやってきた、文字通りの、招かれざる客。
俺、俺。
そりゃ、怒鳴られる。
いや、俺ならば怒鳴らないけどね?
不愉快だから怒鳴るなんて、非常識なマヌケじゃない。セールスやらなんやらの勧誘が来たら、普通に応対する。
お仕事大変ですね、丁寧にドア越しに話している間に帰れ、と。
でもまあ、怒鳴る人、この場合はよそのドワーフ、の気持ちもわかる。
仕事中ならまだしも、くつろいでいるかもしれない自宅。
きっと山は彼らの自宅みたいなモノだろう。
たぶん。
自宅に、アポイントも取らずに押しかける他人。
プライベートへの闖入者。
不快で当然。
お怒りごもっとも。
怒鳴るのはいささか社会性にかけるが、まあ、よし。
しかし魔女っ子が怖がってるな
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやいやいや八つ当たりはイカン。
子供を盾にした勧誘とおもわれたのかもしれないじゃないか?
いや、あくまでも現地代表だからね?
連れて来ざるを得なかったのだが、それは俺の、国連軍の都合だし。
魔女っ子を怖がらせない責任は俺、たちにある。
よし!
三佐が悪いな!!!!!!!!!!
――――――――――何も出来ない俺を許してくれなくていいよ?
でもまあ、よそのドワーフのせいじゃない。
【太守領中央/太守府/王城/五大家に割り振られた塔の一つ】
僕は鍛冶工房ギルドの連中を迎えていた。
まったく、予想通り。
参事会の伝手が役に立たず、直接、乗り込んで来た。
――――――――――急ぎすぎだ、馬鹿。
朝の参事会会合、戸口で聴いていたのかというくらい。
西のドワーフ達が滅ぼされた後、奴らが掘って精錬していた鉄材全体をどうするのか。
・・・・・・・・・・・深刻だね、まったく。
そうなれば、だが。
そうなるかもしれないし。
そうならないかもしれない。
判らない事を考える馬鹿。
挙げ句に走り出す大馬鹿。
挙げ句の果てに何も言えないような
――――――――――――――――――――さて、僕も語彙が足りないな。
罵倒の言葉は、世のソレどもと比べて少なすぎるようだ。
来客を、目に映さずに考える。
鍛冶工房ギルドの有力者四人。
一人でも二人でもなく、四人。
それぞれが鍛冶工房を差配して、弟子筋や取引先に顔が利く連中だ。
侮っていい連中じゃないが、ね。
代表を決められない、か。
鍛冶工房ギルドは頭を切り捨てて鞍替えした。
参事会で彼らを代表していた家を捨て、新しい家に乗り換えたのだ。
大きな力を持つギルドであれど、参事会全体に逆らうどころか対峙するすべもない。
大きいからこそ、参事会と無縁にはいられない。
大きな決断大きな動き。
それすら首謀者は無かったか。
不安と怯え、鍛冶工房ギルドの力に甘えた願望。
粗略にされまい、と信じつつ、流れから振り捨てられると怯えて。
危険も手間も成算も、何もなしに。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・雰囲気に流され考える事すらせず、判断する前に反応した。
チンピラか暴徒と同じ。
この様子じゃ、参事会五大家の二つに声をかけられて、乗り遅れまいと飛びついただけか。鍛冶工房ギルド内部は足並み以前。
結果として、自陣営に取り込もうとした二家を振り回している。
それも、ただ混乱を生んでいるだけ。鍛冶工房ギルドにも二家にも益するところがまるでない。ただただあがいて消耗しているだけだ。
――――――――――――――――――――邪魔な奴ら。
4人は僕の執務室に通され、喜んだ。
玄関先なら実態の無い表敬で終わってしまう。僕が迎えに出てくれば、非礼にはならない。文句を付けられず、同情も買えない。
嘲りを受ける
――――――――――最悪だ。
応接室ならば、意味のある話は出来るが、主導権を僕に穫られる。執務を口実にいつでも応接室から出られるのは、僕だ。
小僧の使いかってね
――――――――――不安だろうしそこに付け込まれる。
執務室なら、そうはならない。
当主の執務室は商会の中心。
他の団体関係者が居れば、執務は中断せざるを得ない。そこに他人を招くと言うことは、最優先の商談ということ。
――――――――――だから浮かれた。
それが丸判りな馬鹿共は、笑みを隠さず、体中が期待で弾けそうだった。
余人を交えず秘密裏に、だからこそ実のある話を
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごくろーさん。
僕は執務を片付けながら、バカの声を楽しんでいた。
これで鍛冶工房ギルド内部の力関係は変わる。
数を頼んで流されるままに鞍替えし、鞍替え先は当てにならず、鍛冶工房ギルドは漂流中。
信望を失い弱体化したコイツ等を人形にするか?
反対派に主導権を取らせて、まとめて始末するか?
いやはや、みんな愉しそうだ。
バカ、バカ女が旧知の工房長たちと、思い出話に社交辞令に流行り廃り噂に機嫌伺わせにお世辞を言わせ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・およそ無意味で中身がない、バカが言いそうな事が海の波のごとく。
コイツを完全に無視出来るのは、僕ぐらいだ。
しかも、バカだけに見聞きした物の意味がまったく理解出来ない。他のだれであれ、バ、新議長はうちの執務室にいても実害はない。
バカ女はバカなりに、時々、怒りだしはする。そして僕も相手にすることもある。
理解できるように努めないなら、話を聴く気はない。
価値を示さない人間に、何かと比較できるような価値はない。
お前が結果を示すべく努めるだけでいい、オレ、ではなく僕がお前に合わせることはない。
・・・・・・・とまあ、黙らせるわけだ。
喚けば、あいあんくろー、で黙らせる。
だが、鍛冶工房ギルドの重鎮たちにしてみれば、かつての盟主のお姫様、孫娘。それも先月までちやほやと機嫌を取っていた相手。
――――――――――粗略に出来まい?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たがら、貴様等は、馬鹿なんだ。
【太守領西部/内陸との境・山脈の始まり/西の山/その麓】
事はすべて順調だ。
友好関係への第一歩は、相手の不快感表明という想定された第一歩を越えて、計画通りに進行中。
だが。
なぜか。
それなのに。
・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の後ろで上がる温度。
俺は背後の神父を振り返らず、愛想笑いを再構築。
この熱量は、お気楽ギャラリーの神父のソレじゃない。
俺の前後で燃え上がる怒り。
前はともかく予定通りとして、なぜか背後で煮えたぎっている連中。
身内、元カノ。
何、怒ってんの?
君たち?
元カノが後ろで獰猛な笑みを浮かべてます。
うちのドワーフたちはM-137を抱えて挙動不審。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・涎、たらしてないか?
殺りたいだけだな、オマエ等。
つまり、元カノが原因で、うちのドワーフたちは便乗しているだけか。
いったい何
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、あー。
アイツ、罵倒されるのキラいだしな。
自衛隊の訓練は、体育会系、とも若干違うノリで気にならなかった、らしい。
教官の怒鳴り声や罵倒が、挨拶にしか感じないとかなんとか。
しかも、意外に自分に対する悪意には鈍感なんだが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・身内に対するソレには過剰反応する。
つまりあれか。
俺への罵倒に反応しているのか。
いや、いやいやいや。
よそのドワーフが罵っているのは、別に俺、個人じゃないよ?
断言できる。
なにしろ、互いに個人的には知らないからな。
そういう意味で、あちらさんの言い分に特に何も感じない。
俺は。
元カノの知ったことじゃないか。
ある意味で、異世界向きな人材だ。
それが近代社会の頸城から解放されたのが、今の元カノ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・社会復帰出来るのか、あいつ。
いやその前に、俺が現世復帰不可能になる。
元カノは俺たちの100mほど後ろ。
指呼の間なんてモンじゃない。
伏兵と誤解されないように、伏せずに隠れず丸判り。隠さない方が平和的だと思ったんだがな。射線が綺麗に開けて大変撃ちやすそうです。
なら最初から、みんな前に出せって話だが、そうもいかない。
Colorfulが一緒に隠れている。
元カノの後ろ。ドワーフたちの背後に隠れるように、配置。例によって、佐藤に芝、マメシバ三尉が一緒。佐藤に芝が背後を固め、マメシバ三尉がColorfulの真ん中で指揮をとる。
鉄壁の布陣
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、危険から隠す体で視線から隠しているのだが。
余所のドワーフたちだと、間違いなくハーフエルフを侮辱するからだ。
うちのドワーフだって、慣れただけで友好的じゃない。こればかりは異世界全体の習慣なんだが、仕方がないでは済まない。
・・・・・・・・・・・撃たせないよ?
個人的に不愉快だからって、俺もまあ、そこまではね?とはいえ、国連軍に敵意を向けられると対処せざるを得ないわけで。
Colorfulは国連軍と雇用契約を結んでいる、軍属だ。国連軍は舐められるのが、好き嫌い以前に規定行動で対処する。
その対処は
――――――――――――――――――――控え目にいっても虐殺です。
うん。
避けないとね。
不測の事態が起こる前に、青い帽子を見たら全力警戒、って周知しないと。
そのColorfulもチョコチョコ顔を出し始めているな。ドワーフたちの背後から、背伸びして、横に顔を出して、双眼鏡を構えてる。
やめなさい。
元カノ暴発1分前。
俺が、絶対絶命な今この瞬間、どーするべきでしょうか。
余所のドワーフは鼻先1m。
斧一振りで肉塊だ、俺が。
エルフっ子の俊敏さと盾の神父、俺に注目が集まっている事を考えれば、いける?
余所のドワーフ100が、うちのドワーフ8人に対処されるまで、10秒
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最悪の事態は防げる。
魔女っ子たちに危害が及ぶ前に、100人くらいの脅威は殲滅出来る。
だが、俺、死ぬじゃん!
最悪から二番目だって避けたいんだよ、俺は!!!!!!!!!!
「ショス?ショス?」
背後で囁く神父がウザい。
状況わかってるか?
近代兵器の優位なんか、国連軍教練キャンプを出たら、誰も信じない。
距離が無ければ火力なんか意味がない。
威力を知られて無ければ威嚇効果なんか及ばない。
種が割れれば誰にでも対抗策は思いつく。
対抗策が編み出されたら、俺たちは次のカードをきる。
より強く、より破壊的に、より徹底的に。
俺たちの戦争は、そんな薄氷の上に立っている。
冗談しゃないぞ
――――――――――真っ先に氷下に落ちるのは俺だしな。
だいたいオマエんち、平和を謳ってるんじゃないの?
「OH――――――――――Bible or Tax or Gun!」
宿敵混ざってんぞ!
【太守領西部/内陸との境・山脈の始まり/西の山/その麓/青龍の貴族、その左手】
「死んじゃダメです!!!!!!!!!!」
あの娘が叫びました。
トコトコと、前に出たと思ったら。
わたくしも、ねえ様も、思いもよらずに引き止めず。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ご領主様は不動の構え。
ここは、お任せするしかありません。
あの娘は、ご領主様の前に立ち、西の山のドワーフたちに向き直ります。
・・・・・・・なぜか、ドワーフたちの盾になっているような?
「自殺はダメです!!!!!!!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、西の山のドワーフたちの態度、言動、存在――――――――――死にたいんだろうな、とは、解りますけれど。
「なんでダメか判りません!!!!!!!!!!
知りません!!!!!!!!!!
解りません!!!!!!!!!!」
そうよねぇ。
別に、貴女やねえ様、わたくしの大切な方々、者たち以外、死のうが殺されようが、気になりませんもの。
縁もゆかりも無い連中を、ご領主様に苦笑させている輩を、かばう理由がありませんわ。
別に、殺してやりたいとも思いませんけれど。
「わたしがヤなんです!!!!!!!!!!」
あら、それならそれで良いじゃない?
わたくしは、ドワーフたちが自殺に向かって全力なのは、どうでもいいですけれど。
・・・・・・・・貴女のご主人様は、おねだりをかなえてくれそうよ。
「もっと自分を大切にしなくちゃダメです!!!!!!!!!!
お願いです!!!!!!!!!!
お願いします!!!!!!!!!!
お願い――――――――――」
困ってますわよ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドワーフさんたち。
それに、ご領主様が殺す訳無いじゃない?
最初から西の山のドワーフたちを、バカを見る目で笑ってますのに。
まったく、あの娘は、誰かの命がかかると、盲目なんだから。
ご領主様をご覧なさい。楽しそうに、ドワーフ達の戯れ言を味わっていらしたわ。
馬鹿はお嫌いですけれど、バカには寛大なのですわ。
ご領主様が殺す相手は、嗤った奴ですわよ。
そもそも、殺すおつもりならば最初から。
あの娘も、わたくしも、ねえ様も、だれも関わることができません。
ご領主様が殺そうとお考えになった時には、もう殺してらっしゃるのですから。
・・・むしろ、貴女が前に出て、手にかけられそうになったら?
そう見えたら、ご領主様が見逃すわけがない。
その方が、連中の命が危ないのだけれど。
仕方がないわね。
本当、あの娘は解らない♪
わたくし、出会ってから、驚いてばかり。
【太守領西部/内陸との境・山脈の始まり/西の山/その麓】
なんか、いい具合に気が抜けた瞬間。
俺は泣いてる魔女っ子の頭を撫でながら、よそのドワーフを見る。
感極まったのか、結構豪快に泣いている魔女っ子。
――――――――――子供らしくてよろしい。
ドワーフたちは、表情を固めたまま、つまり怒った顔で微動だにしていない。
なんか、うちの魔女っ子が失礼なことを言った気がしますが。
気持ちは判る
――――――――――困るよね
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・子供が泣くと。
なんか俺も、ヒドいこと言われた気もするけどね?
言われた内容なんか、どーでもいい。
真心は伝わる。
魔女っ子は、ドワーフたちを思いやっている。
ある意味で。
初めて会った、見ず知らずの連中。
似たような連中としばらく前から一緒だが、似てるだけだから。
同じ様にしか見えんが。
間違いなく、違う。
俺は背後の森をチラ見。
元カノが腹を抱えて大笑い
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・慎めバカ。
子分のドワーフは、訳知り顔で頷く。
まとめると、よそのドワーフたちと俺の心が一つになった。
なんか子供が泣いてる。
(それ以上はよくわからない)
俺の親友の一人は言いました。
怒鳴られたら勝ち。
世の中、悪人なんかいないもんだ。
怒鳴りつけることで、相手の心に負荷がかかる。
当たり前の人間にとって、怒鳴りつけるほどのことじゃない。
たかだか不意の訪問者に、感情的に振る舞う。
その心には、自省と謝罪の気持ちが生じる。
生じてしまう。
――――――――――ソコに付け込む。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プロフェッショナルってこわ!
でまあ、相手の心に印象を残す。
もちろん、悪印象じゃない。
だから、粘ったりしない。
相手が怒鳴り終え、我に帰った瞬間。
また火がつく直前に、退く。
再び吹き出しかけた感情を、さらに自省に積み増して負荷を増やす。
そこで、ささやかな、相手の負担にならない、軽いアピール。
――――――――――せっかく、おっかぶせた負荷を取り除かないように。
コレが初見なら名刺だけ残す。
名前を知られているなら、手土産を残す。
決して相手の行動を求めない。
あくまでも、一方的に、相手の意志を無視して、貸しを押しつけるのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、平凡な俺には窺えない世界だね。
日常的に7.62mm軍用小銃弾を撃たせている、その方が楽だよ?
俺の指示した先に、まだ生きてる人体があってもね。俺はウルウルしている魔女っ子を抱き上げた。




