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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第四章「後宮物語/奥様は魔女?」

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142/1003

かみさまのいうとおり

【V-22「オスプレイ」】

レシプロ機とヘリコプター両方の性能を兼ね備え、高速長距離飛行と垂直離着陸高機動を併せて実現しようとしたアルアル兵器。万能兵器開発構想が常にたどった道を忠実に再現。更に先進技術を惜しみなく導入した結果における兵器開発暗黒史を忠実に再現。何度も何度も何度も開発中止が決定されて何故か生き残ってしまった。


予算を検討する上院議員の選挙情勢がアレだったり、国防長官のスキャンダルで決済が宙に浮いたり、国家予算が承認されず全省庁が停止したどさくさの後一気に再開した事務処理の洪水に中止書類が押し流されたり・・・・・・・・・・サム叔父さん(アンクル・サム)は250歳過ぎたから仕方がないね。

そろそろ革命する?


量産開始後20年をへて米軍以外誰も買ってない。合衆国の友好国は口をそろえて「素晴らしい機体ですね!導入に興味があります♪」って言ってくれます。何年も何年も言ってくれます。「言って」はくれます。

本当です。

実話です。


そのカタログスペックはとても高い数値みたいです。

従来型輸送ヘリの倍の速度で1000kmも航続距離が長いです。つまり自軍の勢力圏から1000km以上離れた場所に、ゼロ戦初期型くらいの速度で部隊を特攻させることができるんですよ?

マリアナの七面鳥撃ちって知ってる?「遠すぎた橋」って知ってる?マーッケット・ガーデン作戦から何を学んだんだお前は!

コンセプトが行方不明。現場の兵士に撲殺されるレベル。


でも性能は高いです。

専門に訓練されたパイロットと潤沢な予備部品と高度な整備環境に熟練の整備兵を山ほど付けると、高度な性能を発揮して普通の稼働率を確保できます。だから穏便な戦場か訓練場で丁寧に利用してください。すごく高いので壊さないでください。

だから米軍でもなるべく使わないハイレベル。

危険で厳しい環境での特殊作戦を主な使用「目的」にされている本機が「米軍ヘリで一番低い事故率を誇る」ことで推して知るべし。使わなければ事故にならないよね。想定されている任務がすべて従来機種で対応可能である(だから要らない買わない必要ない)というのは合衆国陸軍の判断。


議会からの監査を避けたい合衆国軍が維持経費を現地持ちにできる場所にっぽん配備はいきしたいのも納得です。


チヌークでいいじゃんチヌークで。

なお、本作品の中では異世界大陸に派遣された最初で最後の国連特使がオスプレイに積まれました。形が斬新でカッコよく素人「だけに」ウケする珍しい機体で潜在いんぺい事故率が高いために要人を載せるのに最適です。列車を爆破するより自然ですよね。


※チヌークは半世紀以上前から生産が続いている大ベストセラー。20か国以上が正式採用し軍民両用で世界中に愛されている。



【製品開発の二大死亡フラグ】


「異なる目的を一つの製品で実現する」

戦闘機兼爆撃機など、どちらにしても中途半端で専用機には勝てないトンデモ兵器列伝の主犯。必要製品の種類を省き調達費用を安く上げようとして開発費の高騰で自爆するのも王道。

虻蜂取らず、安物買いの以下略、二兎を追う以下略、などなど古典的課題ながら永久になくならない。


「最高性能の最近技術を追求する」

整備性や稼働率、操作性などなど持続的に利用する製品に必須の項目が抜け落ちている自滅の定番。実験室の中で運用するのならいいのだが、世に出すんじゃない。コストパフォーマンスを知りたくない技術者がダイブするブラックホール。金メダルと同じく瞬間数値記録をいくら上げても社会には影響しない。二番じゃいけない以前に、スペック競争など社会悪でしかない。でも目指すもの多し。中身が無いと虚栄に走るのは人の常。順番を自慢するようになったら、その人物/組織の死亡宣告。




上官が貴方に「死ぬな」と命令しました。貴方の対応とその理由を答えなさい。



回答

・対処:元上官を武装解除して拘束し、階級章剥奪の上で後送します。

・理由:指揮能力を失った者への対処は規定されております。自死多死はその本人への命令で対処可能なものではありません。よって、上官には戦争神経症/精神異常の疑いがあり軍務の継続はできません。


―――――――――――国連軍軍政大尉に任じられた陸上自衛隊三尉の答え―――――――――――――



回答

・対処:撲殺して、あたしが指揮します。

・理由:兵の士気を維持する為にその場で処分しなきゃ。豚を屠殺場に連れてきて、死ぬなよって、豚に言ったらどうなります?豚は豚にしろ、バカにし過ぎってもんでしょ。利害無視して反乱起こしますよそりゃ。あたし、いや、自分がソレを殺せば部隊は維持できるんで。

命令以外でなら、兵隊に指揮官が言うべき言葉は決まってます。

「戦って死ね」


―――――――――――後にマジックナイト・スレイヤーと呼ばれる一尉の昇進前の回答―――――――――――――



回答

・対処:公開処刑が妥当ですな。

・理由:卑怯者には死を!これは戦場のみならず軍全体の鉄則です。部下の死に責任を負いたくないばかりに、死の危険を伴う命令と相反する命令で後ろめたさ上書きしておこうなど、人間にあるまじきこと。古来より将校が、虚勢であってさえ命を顧みないように見せていた理由を想像すらしていない。まともな教育を受けなかったのは気の毒ではありますし、事前に躾けてやれなかったのは残念に思いますが。常識が無さ

・・・・・・・・・まあ、戦争を考えたことのない温室育ちには無理からぬこと、かもしれませんね。

もちろん、処刑しなければ兵士たちが手を下します。よくあることではありますが、少ない方が良いことでもありますな。


―――――――――――インドネシア国家戦略予備予備軍将校の回答―――――――――――――


《国際連合軍事参謀委員会プランC適性テストより》



「あのさー」


ん?


「もしあんたがさ、部下に『死ぬな』って命令したらどーなる?」


はぁ?


「リアリティ持ち込むのは無し」


俺の部下は優しいから。

チヌークに放り込んでくれるさ。拘束着を着せて、な。・・・・・・・・衛生兵の対処範囲じゃないし、出島の精神病院は空き室がいっぱいだから。

名誉除隊は無理だろうな。依頼退職と労災申請をして・・・・三佐が許さないか。


仮病を疑われて自白剤で徹底的に尋問された後、カウンセリングで落ち着いたら、一生後方勤務ってところに落ち着く。

いや、まさか、択捉人格再生工場送りはないとおもうが。


・・・・・・・・・オスプレイ送り、は、要人だけだよ、な??


「まだ余ってるよね。墜落事故予定機」


シ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関前/軍政部隊先頭】


俺は王城内郭正面扉をくぐると、Colorfulに休憩を命じた。命令しないと休まないんだ、この娘たちは。

・・・・・・・・・・・目を離すとサボるくらいの方が安心できるんだけどな。



勤務時間中ではあるが、人目を怖がるハーフエルフ。国連軍のパフォーマンス、ってか、軍政部隊のソレに付き合わされてヘロヘロである。

街中どころか邦中の注目を一身に集めさせたからな。

どんなイジメかと。



「全住民鑑賞のディープキスでしたしね♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪」

「――――――――――すんごくたのしそうにきもちよさそうにみせびらかしてたよねかんぜんにじぶんのおんなにしてるよね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


踊るような声はマメシバ三尉、怨念溢れる平坦な呪声は

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・元カノ。



平和だね~。この空の下、今日も三佐の命令で街が住民ごと消滅しているというのに。いや、屋内だけどさ。

・・・・・・・・・・・住民を消したら街が消えるの間違いかな?


「ねーねー?舌でサクランボの茎ってか、この部分結べる?あ、出来るんだね、やっぱり」


俺のトラウマをえぐりにくるシュリは、まあ、Colorfulのテクニックを盗みに来ている。プロフェッショナルの自己研鑽。


俺の前で勉強会は止めてくんない?

Colorfulのテクニックに圧倒されちゃったのは大変危険な思い出なんですよ?

30分前のトラウマ。


「んーん?テクよりムードだよ?実際、初モンのセンセーたちを公然プレイでイかせたじゃん、たいちょ、きゃ!」


――――――――――黙れ――――――――――


俺はシュリの後頭部を掴んで不適切発言に釘を刺した。子供が聴いてるだろーが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・涙目で、頷いているシュリ。


マズいかな?

俺、そんな怖い?

ってかシュリ、プロフェッショナルな娼婦がColorfulを先生あつかいなのか?

そーいうもんだいじやない?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あー大丈夫大丈夫」


頭を離すとシュリが周り、いや、アムネスティのスタッフに手をふって抑えた。

――――――――――民間人への暴力で軍法会議。


不祥事隠蔽で解雇ならイケる?


「いーよ、うちらじょーしきないし、加減がわかんないし、止めてくれないと、ずっと判んないしね」


訴えてくれてもいいのよ?

シュリが周りを、曹長や坊さん、特に生きてた神父を睨んだ。


「ヤっていーのは、ボスだけだよ?」


誤解を生じるしかない言い回しだが、意味は判る。


・・・・・・・・・判れよ?

特にニヤニヤニヤニヤ笑って俺を見る、流し目がキモい神父。



つまり国連軍要員によるシュリ(アムネスティ要員)への干渉、強制を含む軍政作戦に関わらない関与。アムネスティを含

む民間人の安全や、作戦遂行上の措置以外について。


アムネスティは国連軍じゃない。


別組織に介入出来るのは、トップだけ。階級だけなら三佐が一番だし、元カノ(一尉)は俺(軍政上げ底大尉)と同じだ。

しかし、この邦、軍政地域のトップは俺なのだ。

だから、シュリに作戦を超えた干渉をすることは、俺しか出来ない。


緊急時以外は暴力振るわないけどね。

子供がそばにいる時の不適切行為とか、そーいうことだけ。


「なんか、むずかしいことコネてる目だけど、たぶん違う」


ジト目なシュリの、たいへんフワッとした異論――――――――――は、無視。


「うゎ!女シカトすんのなれきってるわ!」


無視ったら無視。

それよりColorful。

なにかフワフワした歩き方だし、今日は半日有給休暇、いや、勤務として休息。


普段の事務仕事は、軍事参謀委員会から送られてくるデータ翻訳。


ふん。


出来なきゃ出来ないで、あちらで何とかするだろう。そのあたりを俺は疑っていない。一点の作業が滞るだけで、支障が出るような組織じゃない。

支障がでるような無能組織なら、破綻した方がいい。

会社都合(倒産とか解散とか廃業とか)失業は中途解雇の次に美味しいしな。組織が無くなると、場合によっては労働債権の保全手続きが面倒くさいが。


なに、一番抵当より最優先されるのだから、取りはぐれる心配はない。


「翻訳が足りなくても砲弾はあまっておりますよ」



そうそう。

宣撫通告に代わって一斉砲撃

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいや。


坊さんは涼しい顔。

――――――――――まあ、何処で誰が何千人俺たちに殺されようが、Colorfulには関係ない、な。




【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関内/青龍の貴族の前】


青龍の貴族は、あたしたちに命じた。



Colorfulに付き添ってやれ、って。



雑多な人間がうろつき回る王城内。元々、Colorfulを迎える予定だった帝国太守に仕えていた連中は、ハーフエルフへの態度について仕込まれていたはず。


帝国太守(前任の領主)が、桁違いの大金を投じて買い求めた愛玩奴隷。ソレが太守自身以外に侮蔑され痛めつけられるなんて、許すわけがない。

・・・・・・・・少なくとも、王城の中では。


港で待機させられていたとはいえ、すでにこの邦に着いていたんだから。一刻も早く運び入れたがっていた太守が、そのあたりをメイドや執事たち奉公人に徹底させないはずがない。

だから執事長やメイド長の配下は大丈夫だろうけれど

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・五大家当主が連れてきた連中には、ハーフエルフを普通に扱うヤツがいるだろう。



青龍の騎士長が護衛に付く以上、安全は保証される。

でも、男性の騎士長や青龍の騎士には目が届きにくい所もあるわよね。そもそも、青龍の騎士は余り女に近づかないし。


まあ、主のもの

―――――誰が何と言おうと、あたしたち―――――

に近づかないのはともかく、大陸の女に、近づかない。


男にも近づかないけれど、女には特に。まあ、近づかないように言われているのは、判るけどね。血の呪いを避ける為に、大陸の女を抱くな、って。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青龍の騎士たちの固さなら、街娼が誘っても、引っかかりそうにないのにね。


念のため、ってことかしら

――――――――――青龍の貴族だけが、例外。



ふん

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無制限にする事はないのに。



まあ、だから女の隅々に目が届く、あたしたちがColorfulに付いていくのだけど。

ただ青龍の考える、安全、が単に命の話程度で済むわけがない訳よね。その辺は、察するやつは察している。

さっきから、若い参事が当主達や出入りする参事会の事務長らに釘を刺し続け。



あ・・・・・・参事会メイドの一人が、Colorfulを見て

――――――――――――――――――――――――――――――顔に剣の鞘をぶつけられ、昏倒。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鉄の鞘を投げつけた若い参事が、メイドの胸を蹴り上げ声を潰す。


さらに髪を掴んで引きずり起こしたわ。

そのまま、猿ぐつわをかませて私兵が抱え上げて運び

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、王城には二度と来ないわね。



――――――――――青龍が考える、安全。


侮蔑は当然、赦されない。

侮蔑があったかどうかは、青龍が決める。

事前に注意なんかしない。


知らなかった

――――――――――だからどうした?


っていうのが青龍の流儀。



若い参事は港街で、何人が吊され何人が殴り殺された知ってるけれど。だから繰り返し繰り返し、注意しているのに。


当たり前よ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・他人を嘲ったら、報復されるのは。


しかも嘲る相手が、圧倒的強者なら?

命があると思うのがおかしい。



ハーフエルフは圧倒的な弱者。嘲ろうが奪おうが踏みにじろうが問題なし。むしろ暇を見つけて嬲りに行こう。

――――――――――――――――――――――――――――――そんなルールは昨日までの話。


今日からは、絶対的強者、の側に立つ。



王城付きのメイドや執事は、目の前で起きた凶行に、知らん顔。

帝国太守の頃から、不始末をしでかした者がその場で斬られるなんて当たり前だしね。実入りがよくて、役得も多かった王城勤め。


目の前で首が跳ぶ。

疑われれば拷問。

過てば死ぬ。


その程度、権力者の周りにいれば慣れるよね。



五大家当主達のメイドや執事は、若い参事から目を逸らす。慣れては、いないか。さすがに、商家ではコレは無いかしら。

狼藉者を切り刻むならともかく、不始末で奉公人を殺したりは、あまり。


遺族が騒げば、競争相手の商家や権力者が介入してくるかもしれないし。評判が落ちれば商いにも差し障る。恐怖がそのまま役に立つ権力者とは違うから。



殴り倒されたメイドの上司にあたる執事長が、慌てて仕える当主に走り寄った。王城の執事長とは別に、5人も執事長と、おまけにメイド長がいるのよね。

ややこしいわ。


当主と共に執事長その2が若い参事に駆け寄り、小声で相談。

まあ、あたしには聴こえるけれど。



チラチラ、あたしたちの方を見ている。


青龍の貴族、その愛妾(Colorfulのことよ)に無礼(反射的に嘲りを浮かべた)を働いたメイド。

始末はしたが、青龍の貴族にお詫びした方がよいか?

邪魔に思われるだけだから、始末だけで終わらせるべきか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見られても。


あたしたちは、それどころじゃないんだけどな。

あの娘や妹分、あたしもだけど、特に二人は頭を抱えている。だから二人は、若い参事の視線に気が付かない。


どころか、今さっき、メイドが捨てられた事にも、気が付くどころじゃないわよ。


頭の中は後悔でいっぱい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青龍の貴族を、あたしたちで引き止めてしまったこと。

彼を助けるどころか、嫉妬にかられて邪魔してしまったこと。

――――――――――それだけで頭がいっぱい。




【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関内/青龍の貴族の右前】


わたしはなんて卑しいのでしょう!!!!!!!!!!

ご主人様に、動いちゃイヤ、なんて礼を逸した無礼を!!!!!!!!!!

いえいえ!!!

わたしごときがColorfulのみなさんを妬んで嫉んでお邪魔して!!!!!!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うぅ!ご主人様が、おっきくて美しくておっきい、Colorfulのみなさんを最初にされるのは、おっきいから当たり前ですのに

!!!!!!!!!!


しかも、ご主人様に申し訳なく思いながら、あぁ

――――――――――ご主人様に捨てられてしまう心配ばかりですぅぅぅぅぅぅぅ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぜんぜんダメですぅぅぅぅぅ。




【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関内/青龍の貴族の左前】


わたくしったら

――――――――――不甲斐ないですわ!!!!!!!!!!


ご領主様のご意志を頂きながら、心を乱すだなんて!!!!!!!!!!

間違いなく確かに間違いなくご領主様は、わたくし、と、あの娘とねえ様を奪い取ってくださっておりますわ。

お役目が忙しいばかりに、じらされておりますけれど。


殿方の方がお辛い

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、Colorfulの皆が教えて下さいましたし。


わたくしの我が身を振り返れば、ご領主様の苦しみが察し得ようというもの。

大海に漂う小舟で、餓えと渇きに晒されて半月余り

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさに、出会いから今日まで

!!!!!!!!!!


そんな時に朝露を口に含む、そのような事に心を狂わせてしまうだなんて

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わたくしなら、餓えと渇きで死んで見せますけれど。


ご領主様には、生きて、わたくしを迎えていただきます。

例えば仮にやむを得ず、他の女を喰らっていただいても!!!!!!!!!!




【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関前/軍政部隊先頭】


正座が異世界に普及し始めてはや・・・・・数カ月?

っていうか、王城内の床にペタンと座り込んでいるのは可愛いけどね。

でもやめようか


俺はなにやら悩むシスターズに向き直った。けっして、目前で起きた暴力沙汰にビビった訳ではない。

・・・・・・・・・・異世界じゃ時々あるよね。

港街でも時々起きてたな。

帆柱に吊るされる船員に、街頭で次々と撲殺される野次馬。



古代より治安が悪化して人命が軽くなった、中世ヨーロッパっぽいけどね。いや、異世界の古代なんか知らんが。

だが余りに似てるからな。

地球の欧州文明みたいな、進歩→発展→没落→停滞

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みたいな、流れがあったのかもしれない。


誰かが研究を始めてるだろうが。


未だに、研究しか考えていない学者学生の、国連軍志願は実現していない。まあ、ミリタリーマニアの自衛官みたいなモンだ。

――――――――――――――――――――――――――――――わかるよね。



いやいや、今はシスターズ。

えらく暗い顔だ。


いつもなら、零れるような笑顔なのに。時々涙目も可愛いけどね。今もチラチラとこちらを窺っているのがたいへん可愛いです。


だがしかし、これは父性愛的なものだと断言する

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、年齢的に無理があるのはさておき。


では、解決。

御家庭コンサルティングの老舗、浄土真宗僧侶たる坊さんから受けた必殺技。





【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関内/青龍の貴族の前】


あたしたちに向き直った、青龍の貴族。

あの娘の髪を梳いた。妹分の頬を撫でた。そして、見られた、あたしは

――――――――――彼に抱きついていた。


「おまえが欲するままに求めろ」





【太守領中央/太守府/王城内郭/正面玄関内/青龍の貴族の周辺】


「な、汝が欲望に、従え

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って」

「よし!」

「だんちょー!なんで拘束具を」

「ホトケ様がいいって言ったんだ~~~~~~~~~~」

「違いますから!!邪神ですから!!!!ゲームですから!!!!だいたい普段はホトケ様の言うことなんか聞かないでしょー」



僕が注意して見ていると、魔女がこちらに視線を流した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一任、か。


僕は参事に頷いた。

参事は自家の執事長に目配せ。


青龍の貴族には、お嬢様と競うように魔女が身を寄せている。

そのあたりはうまく宥めてくださるだろう。



・・・・・・・・・・・・・・・対処が早くて良かった。実際のところ、不快感を抱かれたら魔女にもどうにか出来まい。

いや、そもそも、青龍の貴族を不愉快にするバカを、魔女が許すわけがないか。


――――――――――危ないところだった。




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