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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第四章「後宮物語/奥様は魔女?」

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134/1003

視線の行方/Don’t Look !

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/三人称】


地球側呼称《頭目/お母さん》

現地側呼称《頭目》

?歳/女性

:太守府の有力都市、港街の裏を取り仕切る盗賊ギルドのボス。昔エルフと恋に落ち、ハーフエルフの愛娘がいる。赤毛のグラマラス美人。娘さんはお母さんに似ているらしいが、ちょっと耳がお父さん(エルフ/故人)似。


【用語】


『アムネスティ』:日本の異世界転移後、国連より早く再建された国際的な人権団体(NGO)。売春合法化の実地試験を兼ねて、日本で育成した娼婦を雇用し異世界大陸国連統治下で営業している。なおアムネスティの「売春合法化論」は現実に準拠しており小説上の設定ではない。ただし、支部ごとの独自性が強い団体なので全体の総意と言えるかは微妙。

(詳細は第28部 「アムネスティ」 より)


『アムネスティガールズ』:太守領にやってきたアムネスティの人員のうち娼婦の10人。他に管理職、料理人、専門医、エステスタッフなどがいる。

名前が出ているのはシュリのみ(第35部 「奴隷市場ろうどうしじょう」冒頭 )。





確認終わったわよ~。

惚れ薬ってわけじゃないけど、ここを弛緩させるから自制心がゼロ?っていうよりマイナスになるかな。でもやっぱり、アドレナリンに弱いわね~。

瞬間的にリセットされちゃう。ってか、薬効が一瞬で消えちゃうところの方が、応用効く・・・・・・・うんうん。

そー。

体質強化はそのまま蓄積されるよ。たぶん。女の子には効かないけどね。まあ、ざっと概略だし、WHOに出しておくから。半年くらいあれば臨床実験できると思う。

・・・・・・あ、もう始まってるんだ?スープ??肉詰め????お茶?ハーブティー???へー、これ美味しいんだ?こんど作って。うん、収集サンプルから回しておくよ。

・・・・・・・・・・・・・・いーよいーよ。

この、仮名めんげれ参謀に任せなさいって。・・・・・・・・そーよ?自分がやってることを忘れられなくなるでしょ。

じゃーね。

はな・・・・・仮名イシイ参謀。


《軍事参謀委員会レポート/WHO回覧文書より抜粋》





【太守領中央/太守府壁外門前/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本部(前衛)】


「アテンション!!!!!!!!!!」


俺はマメシバ三尉を見つめた。


「HE~~~Y!Bro~ther~~?Look ME!Look ME!」

「なんか言ってますよ?」


苦笑するマメシバ三尉。

見られるのも、男が近いのも慣れっこ。

って顔だ。


「パッシング!イジメカッコワルい!」


神父め!聞こえの悪いことを

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キコエナーイキコエナーイ。


「ま~め~し~ば――――――――――」


冷や汗をかく、俺とマメシバ三尉。


「耳を逸らしたいのはわかりますけど、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だんちょーキレちゃうんで

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あと、凄く見られてますよ?」


ん?

まあ、元カノがM-14の銃口を向けてるのは、いつも通りだが。

横にいるから、射線は逸れている

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺からは。

ここ、重要。


「いやいやいやいやいや!!!!!!!!!!

向けられてるのこっちこっち!

命かかってますからね?

暴発で戦死処理なんかゴメンですから!!!!!!!!!!」


チッ。


「だんちょーに自分が殺されないからって、よゆーですけど、死地にあるのは閣下も同じですよ?」


囁くマメシバ三尉。

なんだ?

と思いマメシバ三尉に更に身を寄せ!!!!!!!!!!


背後からオーラが!!!!!!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・背後?


俺は横、やや前の元カノを確認。

分裂の傾向は窺えない。


「だんちょー見つめればいーじゃないですか!襲われますけど!!大尉殿が!!!性的に!!!!!」


何がどういいんだ!

貴様、上官を売る気か?!?


「部下と言えば子供同然!!上官と言えば財布も同然!!!子供を盾にしないでください!!!!!!!」


オマエなんか言ったよね?

全国のお父さんお母さん(地球限定)が泣き出しそうな真実を!!!!!


「トリガーに指をかけられてる時にうちのバカ親なんかどーでもいーです!!!!銃口がそれている時はムカつくから思い出さないですけど!!!!ネーミングセンスを鍛え直して人生やり直せばいーんです!!!!!!」


マメシバ・ハナコ(仮名)さん、魂の叫び。キラキラネーム(本名)はそんなに辛かったのか。判るけどね。爆笑してしまった身としては。

俺は仕方なく、振り返った。



「ちょっ~~~~~~~~~~と来なさいドロボーネコ」

「にゃ~~~~~~~~~~ん」


余裕じゃねーか、マメシバ三尉。銃口外されたからか?

そして残るコッチは



―――――――――ヤバい――――――――



16の瞳がジト目です。

なぜだ、なにゆえ、どうしよう。

とりあえず、目を逸らしたら負け?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺と目が合うと、ひとりひとりが何かを訴えかけてくる



――――――――――瞳で――――――――――



潤んだ紅い瞳。

燃え上がる青い瞳。

凍りついた緑の瞳。


――――――――――シスターズの三人。



何かを期待するような

――――――――――――――――――――白(F)、朱(C)、翠(E)、蒼(D)、橙(C)のColorful5人娘。

※年齢順/(サイズ)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔法翻訳は、アイコンタクト非対応です。

――――――――――――――――――――――――――――――わかんないから。


空気を読み、敢えて無視するのが成功者の秘訣。他人の成功を期待する空気なんか無いからね。


とはいえ、この空気は判らない。

だから、野暮を承知で覚悟をキメて、汝等に問う。


「何が欲しいか言え」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・間違いなく、伝わった。

シスターズ&Colorfulに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全員、赤面して、俯いた。


俺?

へんなこと、言った??????????

歴史家の呆れるような目つき。


――――――――――なにゆえ??????????



「OK

――――――――――Lecture Start!」


おめーじゃねーよ!神父!




【太守領中央/太守府東街道/青龍の騎士団本陣/青龍の貴族の後ろ】


あたしが青龍の道化に感謝したのは、初めてかもしれない。さっきまでは青龍の土竜、その角先に柱を立てられて、掲げられていたんだけれど。



――――――――――いつの間にか、抜け出したのかしら?



「ヌシ、気づいたか?」

「おぬしこそ見たのかの?」

「縛りはワシじゃがな」

「切れとらんぞ」

「ほどけとらん」

「どうなっとるのかの」

「ニンジャかの」

「それよそれ」


一応、見張っていたドワーフ達が皆一様に首を傾げている。腕を左右に伸ばし、足は一つにまとめられ、高く掲げられた柱に縛りあげられた姿。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全周警戒の片手間とはいえ、目に映らない時間が在るわけ無い。


のに、誰にも気づかれずに柱に縛り付けた縄を抜け出した道化。


青龍の貴族に、道化が絡まなければ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大惨事、だったわよね。


気がついたら、マメシバ卿をうらやんでいた、あたしたち。二人で身を寄せ合って、耳元で囁いて、気軽に触れ合って

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・妬んでいたことも、マメシバ卿にはミエミエでしょう。


だって、口づけしてるようにすら見える距離よ!?

してないのは判るけど!

スッゴく気安い関係よね?


そしてようやく、マメシバ卿が青龍の貴族から引き離され、青龍の女将軍に責められて。



「男と付き合った事もないのに、訳知り顔でなにしてくれてるのよ!!!!!!!!!!」

「初恋一直線の一尉や、恋に憧れゴッコ遊びなフツーの女より、男を知ってますよ~~だ!さんざんからかってきましたからね?」

「自慢か!!ドヤ顔か!!!!男の敵!!!!!!」


・・・・・・・・・・・・なにやってるのかしら

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知りたくないけれど。


あたしたちの視線に気がついた、青龍の貴族。

真っ正面から見据えられ、彼に問いただされた、あたしたち。貴男と触れ合わんばかりに笑いあっていた、マメシバ卿が嫉ましかった



――――――――――――――――――――言える訳ないじゃない!!!!!!!!!!



・・・・・・・・・・・・見抜かれていても。


そして、あたしたちは、逆らえない。

言えと望まれたら、言わずにはいられない。責めるタチな、青龍の貴族。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・せめて、人前くらい、避けてくれてもいいのに!


どこまで弄ばれるか、判らないわね。



「行くぞ」


あたしたちはまた、歩み始めた

――――――――――青龍の道化が邪魔に入らなければ、何を、言わされたかしら。

青龍の貴族、その注意が逸れたから助かったけど。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちがうちがう。

よかったのよこれで。



「話は後で聞く」


――――――――――え。



「夜になれば時間が空くな」


!!!!!!!!!!




【太守領中央/太守府壁外門前/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本部(前衛)】


「Brother OK?YA!YA!」


俺は隊列再編成待ちの間、神父の相手

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不毛だ。


子守のほうがまだマシ。


で、奴は手元のディスプレイに動画を流した。



=================


――――――――――石造りの建物、重厚な門、驚愕から歓声にかわるどよめき。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・太守府、か。

城壁上から見下ろす人々は、歓声をあげる。


大音量で響く日本のダンスミュージック。

街道を進むトラック、周りには現地の大道芸人、そのトラック上には肌も露わに踊る黒髪黒瞳の女たち。


==================



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この娘、アムネスティのシュリだろ?


「OHー!Ω(オメガ)高い!アムネスティNO1 Shawty(女)!明るく爽やか!トークもイケるしアソコも締まふぁが」


神父の首を締めながら、俺は背後の気配を探った

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よし。

シスターズ&Colorfulは、まだ固まっている。




「詳しい話は後ほど」

「合点承知」


――――――――――しばらくお待ちください――――――――――


===========================



で、本題。

まあ、この映像は5日前の、輸送部隊帰還時の報告資料。


港街を半壊させた後、俺たちは太守府へ帰還した。

まあ、三佐の命令で、やむを得ず。いや、もちろん、軍政本部は太守府だから、いずれは帰らざるをえなかったのだが。


その際、国連軍専用の娼館を運営するアムネスティが、加わった。

NGOだけに国連の指揮下にあるわけじゃやないが、民間人の保護は駐留部隊の責任だ。




――――――――――国際連合軍の作戦に支障がない限り――――――――――




作戦上の必要はありとあらゆるすべてに優先される

・・・・・・・・・・・・安全保障理事会も軍事参謀委員会も、その点は部隊に念を押している。



ここ、大陸の他地域から、つまりは国連軍占領地域から孤立した太守領。


元々の軍政部隊、増強分隊程度なら常設の娼婦などいらない。だが、ここ太守領に黒旗団のASEAN兵士が加わった為に、方針が変わった。

現地人兵士ならば現地で遊ばせておけばいい。元カノとその副長たちが鞭を振り手綱を引いてる限り、めったなことはおきやしまい。



・・・・・・・・・・・・起きたら、軍政司令官の俺のところに、現地からの苦情が殺到するんだろうな。



だがしかし、地球人兵士の場合はそうはいかない。

防疫対策の為に、現地住民との接触は、会話すら制限されている。黒旗団についてはテストを兼ねているために、そこまでではない。

だが、感染症の発生を招きかねない行為は厳重に禁止されている。

これはむしろ、異世界人の女性戦士、人間以外の種族まで混在している黒旗団のほうが厳重に監視されているといえるだろう。



ひとたび未知の感染症が発生した場合、地球も異世界も破滅する。真面目に国連軍はおろか日本列島を、ひいては大陸をパンデミックから守るための規制だ。


だからこそ、アムネスティの売春合法化実験が国連軍の支援を受けている。本土で募集され訓練を積み、様々な規制で守られた彼女たちは、出島のような大規模拠点の中だけで活動している。


それゆえに今回の派遣業務がアムネスティにとっても、良い機会、と考えられたらしい。軍政という分野に参加するのは、異世界社会中心に関わること。

アムネスティの活動で、売春婦の社会的認知は一ジャンルに過ぎない。

人権擁護全般が本業。

である故に、経験を積みつつ機会を得る、この邦での展開は渡りに船だった。

らしい。



実際、選抜され、ここにやってきたアムネスティガールズは、かなり特徴的だ。


若く健康で、ハードワークに耐えられる自己管理能力がある。まあ、管理についてはアムネスティのバックアップスタッフがついているが。

もちろん、娼婦としてキチンと学習して技能を身につけている。


自分の魅せ方、接客術、適度に客を利用する技

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ、体験できていないのが悔やまれる。

だが、一目でわかったね。



神父が展開する映像の中で踊る彼女たち。

おそらくはノリノリなだけで素で楽しんでいるのだろう。プロモーション的な不自然さが無く、ひとりひとりが魅力にあふれている。


シスターズ&Colorfulのような、幻想的な魅力ではない。

普通の、日本人の若い女の魅力だ。


たとえ俺が断色中でなくても、日本の街中で会ったら声をかけるところだ。

お店の中で出会ったら?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お財布の範囲内、でハイ。



でまあ、太守府への帰還にあたり、アムネスティの護衛も任務に加わった。


そこで俺は部隊を二分割。

戦闘部隊と輸送部隊。


戦闘部隊は農村地帯へ威力偵察を、太守府帰還ついでに行う。

輸送部隊はまっすぐ太守府にアムネスティ、つまり民間人をエスコート。



戦闘部隊には主に黒旗団、うちの双璧、佐藤と芝をいれた。

輸送部隊は安定の曹長が指揮して軍政部隊の兵士大半。


でまあ、輸送部隊は一路、太守府へ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故か、陸路。

俺はアムネスティガールズはチヌークで運びたかったが、拒否られた。


そうなるとトラックの隊列は、まっすぐ全力で、太守府へ。


港街から太守府へは、整備された主要街道がはしっている。

重量物を積んだ馬車が日常的に往復しており、幅が広い上に、路面保守体制は砂利などの資材から人足まで常備。


道は問題なし。

街道上は大きな街々で、参事会の影響力が強く、人口も多くて衛兵もいる。

つまり、治安もいい。


理想的な輸送ルート。



――――――――――トラックでなければ――――――――――



剣と魔法と竜の異世界。


こで自動車は異質の極み。

そもそも、軍用車両はデカくてゴツい。竜がいる異世界といっても、人里には馬サイズが上限だ。まあ、人里が竜で溢れていたら、人なんか住めないが。


そんな4t軍用トラック複数は、エンジンも大きく、排気ガスとガソリンは臭い。

異世界住民の印象



――――――――――――魔獣――――――――――


、だとか。

まだ、竜の方がマシ。


そんな非日常の権化が街道を走ったら?

皆、逃げる。


街道は馬車や旅人でいっぱい。

街道の先にはたくさん住民がいる大きな街。


みんなが逃げ出したら?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パニックだ。



何人死ぬかわからない。

いや、俺は既にやらかしちゃったけどね??


最初の小さな街でパニックが起きたとき。俺は頭を抱えたね、心のなかで。いや、シスターズな見られていたから、慌てふためくわけには、ね。


俺たちは騎馬を用意して、かろうじて任務遂行の準備を整えた。だが、人数が多く、しかも民間人が護衛の兵士より多く、車両も多い輸送部隊。


騎馬の先触れだけで解決がつくかどうか?

先触れに兵を割いて、民間人の安全に不安がないか?

始めて駐屯地外に出た民間人が、現地住民に何かやらかしてしまわないか?


・・・・・・・・・・・反発を押しつぶして、ヘリに放り込もうかとも考えた。



それを解決してくれたのが、盗賊ギルドの頭目、働くお母さん。

妙齢の美女で、港街有力団体、ぶっちゃけマフィアのボス。俺は彼女を拉致したり、彼女の地元を半壊させたり、彼女の娘さんを預かってあげなかったり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・われながら、ヒドいな。


だがなんか、親切にしてもらっている。

やはり、お母さんは子供に弱いのだろう。俺が頭目の娘さんに、お父さんと懐かれてるからな。


早くにご主人を亡くした頭目と、物心つく前に父親を亡くした娘さん(一桁)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いろいろあったんだろうな。




でまあ、輸送部隊が必然的に巻き起こす、ただ移動するだけで避けられない破局。

これを解決する、頭目の手際。


盗賊ギルドは娼婦、飲酒飲食、芸人関係に強いらしい。そのコネに、参事会経由で街々を巻き込んで、お祭りを始めたのだ。



――――――――――街道一帯で。



要は、非日常そのものなトラック隊列。それを祭りの非日常に巻き込んでしまった。かくして、デカくて騒々しくて、臭いトラックは、祭りの山車的扱いになった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・異世界の祭りに山車があるのかはしらないが。



この成功は、企画にのったアムネスティガールズのノリの良さに負うところも大きいだろう。なにしろ、彼女たち選曲のダンスミュージックを大音量で流しながら、トラックの屋根上で見事に踊ってみせた。


本人たちは好きで踊っていたのかもしれないが。


で、周りを巻き込んで騒ぐのが当たり前な、アムネスティガールズ。彼女たちは、街々の主に若者たちを巻き込みながら、太守府まで走り抜けた。



それが5日前。

これが、その映像。


まだ、太守府城門前には農民たちもまばら。街人の出入りが大いに城門前。お祭り状態であり門をくぐり抜ける輸送部隊。

俺たち国連軍だということで、だれも止められないから、水もさされない。


結局、街の若者たちを巻き込んで太守府内王城前まで進んだという。


そのあと?

施設科の作業で不夜城化して、明るい王城前広場で一部の連中は朝まで踊っていたらしい。まあ、迷惑に思った住民もいただろうが、プラマイ、プラス?


そして――――――――――


「Look?」


まあ、俺たちの周り、今。

大勢の群集。

数だけは、5日前なんか及びもつかない。






そして―――――――――

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――沈黙。




平伏基本、顔を伏せ、身を伏せ、それでなお、影から窺う息づかい。

お葬式かな?


5日前に通り抜けたのと同じ、地球人ですよ?


俺の視線。

凍り付く、衛兵。

胸壁に隠れる、市民。

地面に顔を叩きつける、農民。




「13階段の13番目ネ」



―――――――――――――――――――泣いていいかな。




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