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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第三章「掃討戦/文化大虐殺」

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126/1003

星(恒星)に願いを

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/一人称】


『俺』

地球側呼称《司令官/閣下/大尉/大尉殿》

現地呼称《青龍の貴族/ご主人様/ご領主様/我が君》

?歳/男性

:地球人。国際連合軍大尉(陸上自衛隊三尉)。太守府軍政司令官。基本訓練以外は事務一筋。


『あたし』

地球側呼称《エルフっ子》

現地側呼称《ねえ様》

256歳/女性

:異世界人。エルフ。『あの娘』の保護者。姉貴分。ロングストレートなシルバーブロンドに緑の瞳。長身(数値不明)。革を主体とした騎士服にブーツに剣が常備。


『わたし』

地球側呼称《魔女っ子/幼女》

現地側呼称《あの娘》

10歳/女性

:異世界人。赤い目をした魔法使い。太守府現地代表。ロングストレートのブロンドに赤い瞳、白い肌。身長は130cm以下。主に魔法使いローブを着る。


『わたくし』

地球側呼称《お嬢/童女》

現地側呼称《妹分/ちいねえ様/お嬢様》

12歳/女性

:異世界人。大商人の愛娘。ロングウェーブのクリームブロンドに蒼い瞳、白い肌。身長は130cm以下。装飾の多いドレスが普段着。



【登場人物/三人称】


地球側呼称《神父》

現地側呼称《道化》

?歳/男性

:合衆国海兵隊少尉。国連軍軍政監察官。カトリック神父。解放の神学を奉じる。



地球側呼称《元カノ/団長/だんちょー/一尉/一尉殿》

現地側呼称《青龍の女将軍/団長/主》

?歳/女性

:国際連合軍大尉/陸上自衛隊一尉。国際連合軍独立教導旅団団長。『俺』の元カノ。ドワーフやエルフに異世界人と地球人類が同じ戦列を組む、初の多世界複合部隊「黒旗団」指揮官。



地球側呼称《三尉/マメシバ/ハナコ》

現地側呼称《マメシバ卿》

?歳/女性

:陸上自衛隊三尉。国際連合軍独立教導旅団副官。キラキラネームの本名をかたくなに拒み「ハナコ」を自称している。上官の元カノが勝手に「マメシバ」とあだ名をつけて呼んでいる。



奇跡がないから、神が要る。

奇跡があるから、神は居ない。




【太守領中央/太守府南街道/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本部(前衛)】


三佐はひとしきり笑い転げると、馬首をめぐらし走らせ始めた。


俺も続く。

いやいや。

しかたなく。

万やむを得ず。



――――――――――いつの間にか、合流していた三佐。


合流ってか、後ろをとられたけどね。

俺たちの現在位置を確認するのは、上位指揮権限を使えば簡単だ。

ヘリで先回りして待機。ローター音の可聴範囲を避けて、遠回り。間違いなくエルフっ子の聴力も計算に入れたな。


敵を出し抜きもせずに味方だけを出し抜く、ムダ策士。


待ち伏せは、平坦で射界を広くとれる場所。

当たり前にIFF(敵味方識別装置)は警報を発しない。もちろん、哨戒気球や偵察ユニットは外周警戒にあたっている。

これらの器機は三佐の接近を感知していた。機械処理されオペレーターが最適化した外周視覚データには、三佐がどんなアイコンで刻まれた居たのやら。


だがしかし。


俺は、警報が鳴らなければ周辺状況なぞ見ない。第一、馬上で投影ディスプレイは閉じていたし。開いている時は魔女っ子か、交代で前にのるお嬢が遊んでいるだけだし。


二人は地球映像や高空映像がお気に入り。


地球のっても、見られて問題ない範囲。ミュージックビデオやナショナル・ジオグラフィック所蔵、今は無き地球の大自然など。

・・・・・・・・・・NHKドキュメンタリー≪映像の○紀≫なんか見せられないよね。あれは刺激が強すぎると思うんだ。マニアには人気だけどね。N○Kドキュメンタリー≪映像の世紀≫。


高空映像は、哨戒気球の無加工でリアルタイムのカメラ映像。まさに俺たちが映っているようなやつ。なにかがわかるようなものじゃないが、楽しいらしい。



もちろん俺が無関心を決め込んでいても部隊で、行軍周辺管制はしていた。俺がいなくても部隊は回るのだよ。


太守府からモニタリングしている曹長。

ここにいて周辺に目を配る佐藤や芝。

実質的な行軍中指揮官のマメシバ三尉。

港街の軍政司令部(実質的には黒旗団駐屯地)のオペレータによる支援。



みんな知っていただろう――――――――――

――――――――――俺や元カノに、三佐の接近をわざわざ教えやしないだろう。

俺たちは、三佐を見て恐慌状態になるからな。



しかも三佐は意外に外面がいい。特定の将兵以外には、敬遠され恐れられ逃げられても、嫌われはしない。そんな度胸が誰に在るって話だが。

マメシバ三尉に言わせると、三佐にかかわると


――――――――――ひどい目にはあうが、――――――――――

――――――――――本当にひどい目にはあわせない――――――――――


なんじゃそりゃ。

謎の信頼

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、わざわざ、三佐の歩みを邪魔する者もいない。

被害者が自分じゃないしね。


だから、俺たち、俺や元カノは逃げられない。

――――――――――みんなの非協力と他人任せによって。



エルフっ子や魔女っ子にお嬢、異世界のみんなに気づかれないように配慮した三佐。地球人類には隠れ無き三佐。


ああ!!!!!!!!!!

人類の連帯やいずこ??????????

明日の我が身となぜ気がつかない!!!!!!!!!!


真の味方はシスターズだけとは。



だがしかし!!

俺はあきらめない!!

いつか、ニートになる。

大人は職探しにいそしみ続け、子供たちはゲームに興じる。

誰もが笑って過ごせる理想郷。


誰が諦めても俺だけは諦めない。

失業保険と年金と生活保護を駆使して、働かない世界を創るんだ!!!!!!!!!!


俺は涙をこらえて、朝陽に祈った。



・・・・・・・・・・・魔女っ子も朝陽を見てるな?祈る?異世界って宗教ないけどね。だから葬式も結婚式もいろいろな儀式が未発達。


そのあたりは、面倒がなくていいが。




【太守領中央/太守府南街道/青龍の騎士団本陣/馬上/青龍の貴族の胸元】


「何を願う」


突然の、ご下問。わたしは胸元に掴まったまま、ご主人様を見上げました。不思議と思う前に、わたしの口が答えます。


「ご主人様の願いがかないますように」


青龍の皆様は、幸運、というモノをご存じない。

調べ、確かめ、決めて、創る。


望まないで予定して、想わないで考えて、祈らないで組み立てます。


それはそれはすごいこと。

とてもとてもこわいこと。

そしてそれはまぶしいこと。


わたしは、役立たずな、わたしは、それでも、願わずにいられない。

・・・・・・・・・・・・・・です。




【太守領中央/太守府南街道/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本部(前衛)】


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――魔女っ子が俺を殺しにかかっている件。

俺は、ちょっと多少いささか致命傷

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヨウジョツヨイ。


『てってれ~~~~~~~~~~勇者はクリティカルを受けた』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺は揺るがない男だ。

たとえ元カノが口果音と判定ガイダンスを流したとしても!


『ああ勇者よ、死んでしまうとは役立たず』


即死判定かよ!!!!!!!!!!

などという死地に落ち着く俺ではない。


子供の願いを拒絶する?

否!

子供の好意に甘える?

断固、否!!


願いには願いで受け止める!!!!!!!!




【太守領中央/太守府南街道/青龍の騎士団本陣/馬上/青龍の貴族の胸元】


わたしの願い

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・考えると、答えになっていませんね。

ご主人様はいつも、考えろ、と仰います。

わたしは考えず、想ってばかりですから。

反省です。


願えるように。

叶えられるように。

きちんと、教えていただかないと。


なにもかも。


ご主人様の、願うこと。

わたしが使っていただけること。

わたしが、せめて、お邪魔にならない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?



わたしのすべてをすいこんだ、黒い瞳

――――――――――ご主人様!!!!!!!!!!


突然、ご主人が、わたしの顎を上げさせます。

わたしと眼をあわされました。


「こちらから、願おう」


――――――――――わたしの意識は跳んでしまい、お言葉を、後日、思い出しました。


「おまえが願いを叶えるように」


――――――――――わたしが、従うべき、ご主人様、の、命令。




【太守領中央/太守府南街道/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本部(前衛)】


俺の願い。魔女っ子の願い。互いの願いの成就を祈って。これでイーブン

・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?


子供と、互角って、敗けじゃね??????????


いやいや、俺のささやかな願いが叶うより、魔女っ子の願いが叶う方が価値が貴いから、きっと魔女っ子の方がプラス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・損益計算がややこしくなってきたぞ。



BAM!

銃声。


『マメシバー!!!!!!!!!!策を!!!!!!!!!!策を言え――――――――――』

『軍師ハナコ、最初から推参ですが、なーに撃ってんですか気持ちわかりますけど!!!!!!!!!!』


軽装甲車に発砲、マメシバ三尉の額、の前に、7.62mm弾が着弾。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・防弾ガラスだからいいってもんじゃない。


『だんちょーにしてはまとめて四つにオデン刺ししないのは進歩ですけどね!!!!!!!???

人類にとっては小さい一歩ですから??????????』


姦婦姦夫を束ねて四つ、なんて誰がわかる?

忠犬マメシバ、趣味に古典読書追加。

多趣味すぎっぞ。


『アタシが幼女だった時にあんなコトしてくれなかった!!!!!!!!!!』

『ショタがやらかしたら怖いでしょーが!!!!!!!!!!』


元カノが喚き散らし、マメシバ三尉が叱りつける。いつもの内紛を始める黒旗団、ドワーフが斧、ってか、ハルバードを打ち合わせて、やんややんや。


HMMWVの窓から突き出すのは仕様なの?

車内に収まらないけどね?

異世界初の暴走族?




「ご、ご主人、様?」

――――――――――見ちゃいけません。

「ふゃ」

俺は魔女っ子の頭を抱いて視界を塞いだ。



『ファック!!!!!!!

いちゃいちゃイチャイチャItyaItyaしやがっって!!!!!!!!!!

サッサと妊娠シヤガレ!!!!!!!!!!

ダワイダワイダワイダワイ!!!!!!!!!!

シーンStart!

RECRECRECREC』


そうか。

撃ってもいい場合もあるんだな。


『Don’t shoot!Don’t shoot!!OK!!!ダンゴウしましょー!Sound ONLY.私的利用に限り無許可の商業利用はイタシマセン!話せばわかる!!Scene Start!!!』


問答無用。

って、誰かわかる?




【太守領中央/太守府南街道/青龍の騎士団本陣/馬上/青龍の貴族の乗騎横】


あたしは朝陽を見て気がついた。青龍の貴族、胸の記章。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・太陽、なのね。


青い龍の帝国。

その中心となる部族の紋章。


あたしが見た限り青龍の帝国は、人と龍しかいない。

種族は二種類なのかも。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そのわりに、エルフやドワーフを見てもまるで驚かない。


大陸を征服するのだから、当然、事前に調べた?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ううん。


あれは知識として、知っている、程度じゃない。

飽きるほど、慣れ親しんでいる。

エルフ、ドワーフ、人魚、他色々。


何を見聞きしても、ああやっぱりか、って様子だしね。


青龍の貴族は飽きるほど慣れている、だけど、青龍の世界にはいない?少ない?

・・・・・・・・・・・・滅ぼした?


でも、エルフが嫌いって様子はないし

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う違う。

あたしだからな訳がない、から。

うん。


第一、青龍の発想なら?


敵は根絶やし。

嫌ったら殺してる。


たいていの事は無視、っていうより、相手を見てなお気がつきさえしない青龍。でも一度事が起こると極まってしまい中間がない。


敵対すれば、ううん、敵の可能性を感じ取るだけで先制殲滅。

癇に触る前に先手完殺。逆鱗即殺、怒前皆殺。


そもそも、恨みが残らない、わね。

嫌悪憤怒苛立ちは暴力で、そんな可愛らしいものじゃないけれど、瞬時に発散される。だから、種族をどうこうって考えつかないのかも。

うん、きっとそう。


それに、青龍の貴族は、全体と個人しか見ない。

天上から俯瞰するか、相手の眼を見つめるか。ありえないほど広く高く、気がつかないほど小さく狭く。

それが龍の眼線。


世界中か、あたしや妹分あの娘か。

間にあるモノは無視。

種族、血族、生業、地位、過去、出身地、属する集団などなど。


それこそ、あたし、

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃ考えれられないから。

例えば頭目についてなら?

彼、青龍はどう見ているの?


性格や容姿が趣味に合うから不快にならない。

青龍が好む知識が豊富で説明が出来る。

子供を大切にするような価値観が似ている。

青龍の感性への理解と順応が速い。


――――――――――それで、傍らに侍る事を許した。


盗賊ギルドの頭目という有力な地位。

それがもたらす利用価値。

実際に役立っている事実。

人間であること、この邦に生まれたこと、過去に誰を愛したのか。


全部、無視。


うーん――――――――――

――――――――――あたしは遠慮会釈なく、青龍の貴族に近づける図々しさが羨ましかった、ハズなのに。


ちょっと、違う。

余裕ぶった頭目が、あたしをからかってくるのは

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・八つ当たり?

かも。


青龍の貴族に尽くそうとしても、地位や権力じゃうまくいかないモノね。

便宜をはかった分の見返りを、なんだかんだと受け取らざるを得なくされてるし。頭目が自分の色気で迫るのは、一方的に捧げられるモノが他にないから?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青龍の貴族、その反応も良・・・・・・悪くはないし。

頭目は、女として、間違いなく、彼の好みに合ってる。

どうしよう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、むりむりむり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちがうちがう。


第一、あんなの頭目自身が一番喜んでるんだから。何を与えたとも捧げられたとも、青龍の貴族は感じていないわよね。嫌ってないわりにそっけないし。

あたしが習う必要は、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんまり無いわ。


うん、遅れをとる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後先じゃないし。

先にこしたことはな、そう!!!!!!!!!!


青龍の帝国は人間と龍しかいないのよね??????????


きっと。

けれど人間だけでも多くの、毛色が違う部族を束ねている。


大陸と同じように、白い肌に金や茶の髪。

青龍以外にいない褐色、真っ黒な肌に、黒髪。

瞳は青、茶、色々。そして、青龍の貴族や公女は仄かに色づいた肌に艶のある黒髪黒い瞳。


青龍の帝国、その中心となる部族か王国が、太陽を印にしている。

つまり


「騒々しくて大変ね?」


騒音源から離れて速度を上げた、青龍の貴族。あたしたちも続く。必然的に、一番前で隊列を先導する、青龍の公女に近づくわけで。

青龍の公女は、馬に馴れている。だから馬を飛ばしながら、楽しそうに振り返り、あたしたちを覗き込んできた。


それぞれの馬に乗る、失神したあの娘、指をくわえる妹分。

青龍の貴族は、女の話に、我関せず。

そして、あたしは

――――――――――澄ましてみせる。


「な~~~~~~~~~~る、ほど♪」


なんですか?

と、言うに言えない。

あたしは青龍の公女を一睨み。

・・・・・・・・・・・・・・・・って、マズいわよね。彼の、青龍の貴族、その立場が


「しゃ――――――――――!!!!!!!!!!」


って、何を威嚇してるの??????????


「お止めにならないで!ねえ様!」


あたしに抑えられて、ジタバタする妹分。青龍の公女は面白そうに尋ねる。


「貴女の願いはなあに?」

「ご領主様の子供を授かること、ですわ」


ちょっと!!!!!!!!!!

即答???????


「当面は、ですけれど」


だめだめだめ!!!

あたしは、青龍の公女を窺いながら、妹分を制する。


「先ずはあの、顎をくいっと・・・・・・ねえ様?」


肩を叩かれ、不思議そうな妹分。

青龍と、あたし、たちの、そーいう関係は禁止なんだったら!!!!!!!!!!


青龍の公女、青龍の規律を司る粛清者。

妹分の気持ちはわかる。

わかるけど、伝える相手が悪い。

今まで黙認されていたからといって、公には禁止のままなのよ!!!!!!!!!!


「わかったわ」


青龍の公女はあたしを見た。


「では」


否定も肯定もしない。妹分の、ささやかな願い。黙認?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・期待しすぎ?


「貴女も、この小さな淑女と同じかしら?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肯定、した。


(そんなに小さくはありません!おっきくはないですけれど、ご領主様はきっと、きっと、きっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)


妹分は、小さな、というところに引っかかっているのだけど、あたしは目の前の、黒い瞳に射抜かれた。


「貴女の願いは」


あたしは、あたしの願いを誰かの為に

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・使えない。


ううん、もう使ってる、か。

二百年前、くらい前、くらい

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いつの間にか、そんなにたっていた。


あたしの、エルフの記憶は褪せない。

はっきりと思い浮かぶ。


でも、むかし、なんだ。


あれから。

昨日のこと、が、去年のこと、になる。

あれから十年、が、百年くらい、になる。

目蓋を閉じなくても、はっきり判るのに。


思い出は美化される、人間は、ね。エルフには、ない。


アイツの為に祈り、祈って、祈った。巫女や神官でもないのにね。また、この朝日も、そのまま思い出す。寂しさとともに。


伝えたい。

あたしにも、好きな人ができたよ、って。

アイツはどんな顔をするだろう。


仲良く分けろ、って言うかしら。

身内に甘い、かったから。


「ねえ様?」




【太守領中央/太守府南街道/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本部(前衛)】


俺は一生懸命、ディスプレイを見てる、ふり。

いやいや、さすがに、乗馬を始めて三カ月。今年の初めに初めて乗ったぐらいなので、ながら手綱はできません。

・・・・・・・・・・・・・・・・俺が、異世界大陸に派遣されるって決まったのは、一月くらい前のハズ。

初めて乗馬をやらされた時には、国連特使の大陸派遣すら決まっていなかったよね。国連が再建される前だけどね。


ともあれ。


馬上で聞き耳をたてても、聴こえん。意外に馬の上ってのはうるさい。それでも難なく話している三佐、お嬢、エルフっ子。通信網を使わずに、肉声だから余計聴こえない。俺の方が前にいるから、風で音が後ろに流れてよけいに輪をかけて、聴こえない。

・・・・・・・・・・・・いや、心配なだけだよ?

・・・・・・・・・・・・さびしくなんかないからね??


骨伝導イヤフォンをイヤーパッド方式に差し替えて、集音してみるか??


「・・・・・・ご主人様」


!!!!!!!!!!

悪いことはできないものである。やろうとすると子供が目覚める。


「ふゃ」


とりあえず頭を撫でてディスプレイを見てるふり。偵察ユニットの映像は、外周状況図より見やすい。情報は少ないけど。

いや、図上のタグやアイコンの意味を考え考え見るよりはね?チラ見でわかれって話だけど、そこは曹長やマメシバ三尉にお任せ。




たくさん人が集まっているな~。

千や二千じゃきかないよねこれ。

太守府の城門前に大勢たくさん・・・・・・・・煙もあちこち。

・・・・・・・・・・・・気がつかないふりをしてUター



「HEY!!Brother!!!カーニバルGO!!」


HMMWVのフロントに立てた十字架に縛りつけられた神父。

全力で見えてますアピール。



――――――――――――――肉眼で見えてきちゃったぞ~~~~~~~~!!!




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