継承者
地球魔法辞典
:異世界では地球の科学が魔法と認識されている。地球側も特に説明する気がなく、異世界人との接触も制限しているために異世界なりの解釈で理解/呼称されている。個々人の知識の範囲、かつ印象に基づいて呼ばれるために表記は揺れる。地球人と密接な関係がある協力者や軍属、国連軍雇用兵士は地球の正式名称を覚えつつあるようだ。
『竜殺し』
:銃器の総称。7.62mm小銃で竜を殺すのはなかなか難しい。だが、竜を駆逐していく国連軍兵士の大半が装備するので異世界人からは「竜を殺す青龍の象徴」とみられている。
『水鏡』
:各種情報ディスプレイの総称。異世界魔法でも距離の影響をある程度克服して映像をやり取りする魔法を「水鏡」と呼ぶ。ただし魔法の名称や性質は異世界でも専門知識なので、水鏡に例えるのは一般的ではない。一般の異世界住民ならば例えを見出せないだろう。
『使い魔』
:各種遠隔操作ユニット。これは目的や機動が異世界魔法の使い魔と同じであるため
『竜』
:車両や航空機、艦船などは基本的にこのカテゴリ。航空機は飛竜、車両は土竜、艦船は海竜。F-16は「大隼」と呼ばれ鳥とみなされるなどの例外アリ。F/A-18が知られたらオオスズメバチ扱いされて昆虫とみられるのかもしれない。
『龍』
:車両や航空機、艦船などの乗員が内部から外部スピーカーで呼びかけを行う場合、異世界でも伝説になっている「知性ある龍」とみなされる場合がある。
『煙獣』
:各種軍用ガス。魔法生物/魔獣の一種。影響範囲確認の為に着色し一般的な煙とは違う動きをして見える為に、生物の一種ととらえられている。
「へんなの~♪ふぎゃ!!!!!!!」
僕は後ろ頭を殴った。
とっさに新議長の足を払う。
前から後ろへ。
蛙のように正面から広場に伏したバカおん
・・・・・・・・・・新議長。
後頭部を鷲掴みにして、僕も平伏した。
何も声に出せず、ただただ、平伏。
「なに!あぎゃ!ふぃ!いた!ふきゃふk」
左手で後頭部を鷲掴みにしたのだが。
右手で顔面、口を押えた。
そのまま、コイツの額を地に押し付け、足元から青龍の貴族を見あげた。
「新議長は錯乱しておりますので、落ち着くまでしばしお時間を!!!!!!!!!」
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本陣(前衛)】
胸を張り、胸元を抑えながら、口元を隠す淑女
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・淑女、なんだろうな、高笑いがアレだが。
口元胸元を隠す扇が無かったのか落としたのか。
俺から見ても豪華なドレス。
布地が幾種類も組み合わされ、フリルとレースもふんだんに。
装飾の種類こそ多いが、量は少ない。
なので動きやすいだろう。
布地だけで人ひとりを支える耐久力。
絹のような自然素材は、かえって化学繊維より丈夫って聞くしな。
だから問題は、頭から足元まで全身ずぶ濡れなこと。
デザインをいかに工夫しても、これじゃ動きにくかろう。
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/大きな街の広場/青龍の騎士団本陣】
この女は、あたしが知っているそのまま。
髪先足元肩口装身具から水を滴らせ、完全に化粧が落ちた素顔。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・面影はない、けれど、物腰でわかる。
常と変わらぬ本人、つまり、何もかもわかっていない。
強い光は無知特有の瞳。
己しかわからない子供のような瞳。
上下左右の誰にも遠慮しない配慮もしない眼。
・・・・・・・・・・・・・いや、しない、じゃなくて、出来ない、か。
ソレが近づいてくる。
それは構わない。
人に迷惑をかけても、危害を加える力はない。
むしろ仕方ない、か。
だから、問題は、吊されたまま移動させられていること。
さっきまでドワーフに文句を言っていたけれど、あたしたち、をみて見栄を張っている。
たぶん。
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/大きな街の広場/青龍の貴族の前】
僕は荒れる海で帆先にしがみついているような気分だった。
いや、それこそ現状だ。
迫る黒雲、遠のく晴れ間、迫り来るバカの姿。
なぜコイツが参事会のまとめ役、議長になったのか。
――――――――――なり手がいなかったから。
前議長、それはバカ女の祖父。
青龍の貴族を買収しようとして、失脚。
あろうことか、青龍の貴族を襲った暴行未遂犯、その赦免を願い出たのだ。
反逆者?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実際には、チンピラ。
富裕な商人職人の次男三男からなる厄介者たち。
ヤツらが愛国者を称して、帝国失墜後の混乱に乗じた略奪暴行を重ねていた。
旧太守に連なる下級役人、その家族や知人、恋人や友人などを狙って狼藉三昧。
侵略者を討て!
青龍万歳!
などと叫びながら、男はいたぶり女はおそっていた。
当然、参事会の耳に入ってはいた。
バカなことを、と呆れた覚えがある。
没落した帝国の縁者。
まあ、小金は持っていたか?
貧民たちの気晴らしにすれば、参事会の、僕の役に立つのだ。
暇人の餌じゃ意味がない。
ヤツらは端金が必要な身分でもなく、単純な楽しみの為に襲っていたのだから。
ばーか。
参事会としては、そこで終わり。
僕もだが土塊同士の戯れに、時間を割くわけがない。
報告も、街の全景を耳にしておく、そのために一応あげられただけだ。
――――――――――それが最初の失敗。
手が足りない訳じゃなかったのだから、殺して置けばよかった。
それこそ、参事会に詰めていた僕が、体を動かしがてらに殺ってもよかった。
チンピラ共が魔女の家を襲う前に。
――――――――――青龍来訪後に、わざわざ、やりやがった。
参事会が、太守府全体が凍りついた青龍の貴族。
皆が視線を逸らせずにいる中で、魔女は青龍に、その貴族にすべてを捧げると誓った。
二人の契りにより、僕ら参事会、いや、太守府全体が救われた。
多くの市民の前で交わされた二人の契り。
「始まる前から、終わりの先まで、我と我が身のすべてを捧げます」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・およそ知るものがいない、史書に出てくる言葉。
愛の囁きか、忠義の誓いか。
覚えがあったが原典が解らない。
気になって調べさせた。
僕が後援している戯作者が探り出し、200年以上前の伝承にあったらしい。
そんな言葉を知っているとは、さすが魔女、と言うべきか。
しかして魔女は青龍の貴族、その人の女になった。
その日の内に街中が、今日となれば邦中が知っただろう。
それを、その日の太守府に居ながらに、まるで状況を理解していないチンピラ。
よほど、誰からも、おそらく実家からも嫌われ、皆が知っていることが耳に入らなかった連中。
魔法使い、魔女が帝国側だと、未だに帝国貴族に準じると思いこんだまま。
そんな馬鹿が魔女の家を襲ったわけだ、青龍の貴族がそこにいる時に。
なぜ、あの状況で青龍の貴族が街に出たのかはわからない。
王城に陣を構え、魔女たちと過ごす部屋をしつらえた後だけに、さっぱりだ。
あの時、青龍の貴族不在に参事会が気が付いた時。
城で忙しく活動する青龍たちに、皆が恐ろしくて声をかけられない。
恐れを知らぬ怒れる父。
いやあれは、イカれる、か。
大先輩だけが例外だった。
娘が見当たらない事に気が付いた、お嬢様の父親。
娘が青龍の貴族に猛烈に迫り、青龍の貴族も受け入れている。
まだ早い!!!!!!!!!!
と逆上する親バカ。
何を想像したかだいたい判る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・野暮なことだ。
僕はその前夜、着飾ってガウンに身を隠し、夢見るような眼をしたお嬢様に睨まれたからだ。
――――――――――青龍の部屋に向かう途中で。
顔を伏せ耳まで真っ赤にした魔女を連れ、相変わらず騎士服のエルフに守られて。
その時はエルフが青龍の貴族、その愛人だとは気が付かなかったが。
妻妾同居とは命知らずな。
しかも仕切りは愛人とはね。
というのは、思い返した感想。
その時は、なるほど、とだけ思った。
僕は、準備だけして失礼した。
いや、不測の事態に備えただけ。
多くの淑女、その床入りを助けた婆やをなるべく近い部屋に配置。
念のため二人。
執事長にささやいておく。
朝まで邪魔をしないように、湯殿の灯りを絶やさぬように。
必要があればすぐ対応出来るように。
まあ、僕の気遣いにも関わらず、お嬢様は父親に連れ戻されてしまったようだ。
五大家当主全員が城に住まわされた為に、親娘喧嘩が筒抜けだった。
「ゆるさん!」
だのと怒鳴る父、
「まだいたしません!!」
と言い返す娘、まあ、勝手にしてろ、と。
耳栓を各当主に配って小遣いを稼いだのは、僅か半月前の思い出だ。
そんな翌朝、早速、溺愛する愛娘が行方をくらました。
魔女がつつがなく同衾した事は聴こえていた。
朝に確認したら婆やは出番もなく、一安心したからだが。
そんななか、知ってか知らずか、金融を取り仕切る参事会の大先輩(親バカ)が、娘を探して青龍の騎士長に詰め寄る。
五大家の当主、参事一同が全員でしがみつき、僕が締め落とした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・幸いにして青龍は誰も気にしなかったが。
まったく、変わった一族だ。
一桁で妻や夫を持つなど、金がある家なら珍しくもない。
お嬢様の御歳12なら縁を探し始める頃合いだ。
もらわれていっても不思議ではない。
多数例なら15くらいではあろうが、誤差の範囲。二十に届けば余程の良縁を探る逸材か、売れ残り。
大先輩の一族は変わり者揃い。
親を庇い一緒に死のうとする娘。
娘を使わない親。
――――――――――ナニがしたいのやら。
だがその朝は、青龍の貴族が街に出た。
しかもお嬢様達だけ連れて。
それを聞いて、参事会の、街を邦を仕切る皆が錯乱。
城に残っていた青龍の僧侶に許しを請うて、ありったけの衛兵私兵使用人を街に繰り出した。
黒髪黒瞳を見つけろ!!!!!!!!!!
近づく奴は誰であっても殺せ!!!!!!!!!!
昨日入城したばかりの街、占領直後の敵地に、実質一人で出るか?
わけがわからなかった。
その時まだ、僕たちは知らなかった。
・・・・・・・・・・・・・・青龍、一人の力があれだけすさまじいとは。
だから、あの時、心配したのは青龍の身の安全。
青龍の貴族が怪我をしたら、ましてや殺されたらどうなるか?
赤龍、帝国なら街中に血の雨が降り、街の、つまり参事会の資産は軒並み巻き上げられる。
――――――――――今となってはお笑い草だ。
青龍が血なんぞ流すものか!
金なぞ気が付くものか!
街一つで赦す、いや、済ませるものか!
邦を消滅させるか、毒の海に沈めるか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だいたい、僕らに青龍の貴族を傷つける力などない。
だが危機的な状況だったのは、間違いない。
青龍は実害が無くとも、敵意に反応する。
子供の罵声で街が滅ぼされかねない。
滅ぼされないかもしれないが。
もちろん、まだまだ判らない事ばかり。
判らないからなお怖い。
だから危ない。
青龍の逆鱗、その場所はツガイの三人娘にしか解らない。
だが、もっとわからないのはチンピラ共。
青龍の威を勝手に借りて暴れながら、とうの青龍の姿を知らなかったのだから。
その日以後、街中の話題がそれしかなかったにもかかわらず。
・・・・・・・・・・・知人という程度の相手もいない、哀れ極まるゴミクズども。
しかも当の青龍の貴族、本人に会っても気がつかない。
魔女の家から出てきた青龍の、黒髪黒瞳に、気が付かなかった?
特徴を知らなくとも、誰にも教えてもらえなくとも、青龍の来訪自体は気がつく筈だ。
街中を竜の咆哮が響いていたのだから。
外来の征服者。
初めて見る人ならざる色の髪と瞳。
あんな特異な特徴を、なぜ、外来の征服者に結びつけなかったのか?
――――――――――――――――幸い、非常に幸せな事に、チンピラだけですんだが。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・生きたまま引き裂かれたのは。
そして、チンピラの取り巻き、情婦が合わせて捕らえられた。
罪状は盗賊刃傷殺人に誘拐、その共犯者。
青龍の貴族、その人への反逆は問われなかった。
青龍の貴族自身が、気にとめていなかったから。
ただ一言、この邦の法で裁け、と。
つまり、裁いたうえで死刑。
やむを得ず、牢にぶち込み、さっさと死ねと思い、半死半生のまま地下牢へ。
コレが、雌ガキどもがまた、富裕商人職人の暇を持て余した娘たちだったから、救われない。
馬鹿なら馬鹿で限度がある。
そしてその親も馬鹿だった。
参事会議長に助命を願い出たのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・確かに、もったいないと思うかもしれない。
素行不良でも娘なら使い道がある。
格下との同盟、下層から人を親族に取り立てる証文代わり、などなど。
厄介者の息子に死なれた親が、使い道のないのに負担となり、自ら始末するには外聞が悪い
・・・・・・・・・・ゴミが勝手にえたこと、それ自体は喜んだのとは対照的に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・のんきな事だ、まったく。
参事会としては、捕えてしまった雌ガキを、さっさと絞めて埋めたかった。
死体は何も話さない。
だが、青龍の貴族が法にこだわるから仕方ない。
まったくなんでこんな面倒なことに!
捕らえる役、つまり真っ先に青龍の貴族を見つけて、かつ、凶行を止められなかった用心棒。
盗賊ギルドが参事会に派遣した腕利きたち。
殺せ!!!!!!!!!!
って命じたのに、半殺しで済ませてしまった。
しかも、なかなか死なないし。
嫌がらせか!
盗賊ギルドの頭目が、かなり前、戦争が始まる前から青龍の貴族に臣従していた。
関係があるのか無いのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その後の騒ぎを見ると、作為を疑いたくなる。
結果、時間が空いたために余計な騒ぎが連鎖した。
雌ガキの親たちに泣きつかれた当時の議長は、失脚する。
権力者に襲いかかった馬鹿の助命を申し出たのだ。
その権力者は青龍の貴族。
それだけでナニが起きたか判るだろう。
そんバカをするとは。
誰一人予想していなかった。
予想してたら、しでかす前に皆が毒殺している。
しかも、馬鹿が馬鹿なりに工夫して、さり気なく話を持ち出した。
昼餉に招かれたその場所で。
青龍の貴族その人の前で。
殴るも蹴るも毒を盛るもできやしない!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・老練の無駄遣い。
同席した僕たちが、議長の馬鹿に気が付いた時には、青龍の貴族は沈黙していた
――――――――――手遅れ。
まあ、その後の経過はどうでもいい。
馬鹿が馬鹿をやった、それだけだ。
参事会筆頭の失墜で勢力図は一変。
その機会に台頭した新しい主流派も、青龍に首輪を付けられた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕だ。
問題は参事会議長の椅子。
実力主義の参事会、役職には意味がない。
だが、分かり易い肩書きには使い道が多い。
青龍に切られた奴を議長席に置くわけには、いかない。
だが、新たに参事会を仕切る僕が座るか?
いや、マズい。
実質的な主導権を握った、とはいえ、実に加えて名を取ると、嫉妬心に脚を掬われる。
特有名物椅子取遊戯。
他の参事が議長になりたがるかと言えば
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・否。
五大家は皆、失う物を持ちすぎている。
今はわかるのかと言えば疑問だが、当時はなお、青龍についてわかっている事が少なすぎた。
知性がある伝説の龍を使役する。
今まで一国に一人いるかいないか魔法騎士ばかりで軍を編成する。
たった一人、素手で、無造作に人間を引き裂く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バケモノ。
誰が、更に、近づきたいものか。
ただでさえ、皆が王城に取り込まれている。
議長なんて、青龍の貴族、そのそばに居たいものか。
だがたとえ、自分が座りたくない椅子でも、他人が座れば不愉快だ。
ここで話が行き詰る。
だが、空席のままでは済まない。
ソレもみんなわかっている。
選択肢は三つ。
一つ。
五大家で一番立場の弱い参事を、生贄に座らせる。
二つ。
輪番制持ち回りとする。
三つ。
不利益覚悟で僕が座る。
・・・・・・・・・・・・・・・およそ、皆がやむを得ず推薦し、僕が誇示し、更に・・・・・・
ということになる。
「なら、アタクシが」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?????
皆が忘れていた。
五大家、元、筆頭。
祖父の失脚で、当主になった、バカ女。
参事は世襲制でこそないが、仕方がない。
他に後継ぎがいなかったので家を継ぎ、急速全力没落中とはいえ、まだ家の力が残っている。
序列最下位ではあれど五大家に加えられていた。
五大家は王城に移れと青龍に命じられている。
各家の当主の引っ越しで人の出入りが激しい王城。
参事会の中枢も様々な家の者たちが出入を繰り返す。
参事会の警備はそれぞれの当主に集中し、青龍はその貴族以外を無視。
王城全体の警備を取り仕切る者がいない。
よって、名の知られた五大家元筆頭の現当主が、当たり前のように王城に部屋をしつらえる
だから、次の議長を決める内々の会合に、参加していた。
珍しくおとなしかったせいか、誰も気がつかなかった。
警備の者も、あまりにも自然に入室するので見逃した。
紛糾してにらみ合いが続く中、手を挙げやがった。
そしてそれは、煮詰まっていた参事会に受け入れられた。
貧乏くじをバカに曳かせる、その一種とみなされて。
その程度を誰も知らぬまま。
そしてそのバカが、地に降り立った。ってか、ドワーフが石突をひっこめ、落とした。
俺に。
当たり前のように、俺に受け止めさせるバカ
・・・・・・・・・・・・・・;・・・新議長。
それが当たり前であるように、背筋を伸ばし園遊会の主役のように、向かい立つ。
ここは崩れた旅籠の残骸が飛び散り、破片と土塊、宿屋からあふれた家具が飛び散る広場。
新議長の取り巻きが落とした装備品を回収する住民で騒然としてるんだがな。
目の前にはバケモノじみた力を持つ、異界の権力者。
青龍の貴族。
そして一言。
「ほんとに黒いのね~目も髪も」
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