DRONE WARS/ラジコン戦争
登場人物&設定
※必要のない方は読み飛ばしてください
※すでに描写されている範囲で簡単に記述します
※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします
一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。
次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。
以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。
(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)
【用語】
『シスターズ』:エルフっ子、お嬢、魔女っ子の血縁がない三姉妹をひとまとめにした呼称。
『黒旗団』:元カノが率いる国際連合軍独立教導旅団。ドワーフやエルフや獣人に人獣などの異世界人と、地球人類(ASEAN諸国兵大隊)が同じ戦列を組む、初の多世界複合部隊。
『佐藤』『芝』
:主人公『俺』の部下。選抜歩兵(物語世界での選抜射手)であり、異世界転移後の実戦経験者。曹長に次ぐ軍政部隊戦闘作戦の中心
『連合与党』:日本の政権与党連合。幹事長が全権を握っており、異世界政策が与党連合最大政党内の会議で決められていく
『国際連合』:the United Nations/連合国、の超訳。異世界転移後の人類社会の総意を体現する組織。と国会で決まった。加盟国のほぼすべての外交防衛権を委託されている。黒幕は日本の一衆議院議員であるとマスコミに報道されている。
「次期首相が決まりました」
「知名度十分な与党の反主流派。すでにコントロールしております。逮捕に合わせ批判の口火を切らせましょう」
「野党からは無理か」
「選挙結果を覆せるレベルじゃありません」
「国粋主義者ばかりで使いモノに・・・・・・口を開くごとに票を減らしていますよ」
「参院なら常識人が残っているだろう」
「党指導部が慣例通り衆議院議員ばかりですからね」
「相変わらずのキレ味で分裂しそうです。大日本帝国が懐かしいのか、日本民主主義人民共和国を創りたいのか・・・・・・・秋をめどに分裂させるにしても、今は」
「で、次期首相は」
「いずれも完璧な」
「何をしでかしても落選しない惰性に満ちた選挙地盤、実効性のないイデオロギーに強く執着しそれ以外に無関心、知識はあっても知性がないし自覚もない、古参でありながら党内に基盤がない」
「なるほど」
「みな、閣僚ですからスケジュールは全てこちらで」
「勉強会、報告書から手紙、見るテレビまで管理しています・・・・・まあ、そこまでしなくとも大丈夫ですが」
「選挙後に現首相は幹事長と一緒に辞任させ、どれかに新内閣を創らせます」
「与党連合は崩壊するでしょうが、徐々に野党と入れ替えますから、あと四年は安泰ですね」
「ははっ四年後もこんなことを繰り返さないように、根絶やしにしておかないとな。あまり形式を無視するのは良くない」
「神輿(議員)は軽くてパーにしろ」
≪事務次官会議盗聴記録≫
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本陣(前衛)】
偵察ユニット。
ドローンじゃない!!!!!!!!!!
ラジコンだ!!!!!!!!!!
ここ重要。
俺みたいなSFマニアにだけじゃない、よね?
ともあれお嬢の館を出て、北上中の俺たち。湯治の効果で元気いっぱいである。はずである。そんな俺たちの先導をしている偵察ユニット。
国際連合軍、ってか、先進国軍隊ではおなじみ。
電波誘導で動く各種航空機。サイズは縦横0.5~2m、国連軍では。プロペラ機を模しており、垂直離着陸から滑空まで可能。
機体にはカメラや各種センサーが載せてある。もちろん、オプション装備は野外で交換可能。オペレーターが遠隔操作する。
な?
ラジコンだろ?
自立駆動しないなんて、ドローンとは言わない。
言ってはいけない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、域内索敵モードや、指定対象追尾モードはある。
自動索敵は軍事参謀委員会が決定した定型条件、必要に応じて現地部隊でカスタマイズ可能、に合致した標的をマーキング。
近隣部隊ないし指定部隊、特定個人に警報を発する。
でまあ、定型行動、これもカスタマイズ可能、により追尾や監視を始める。
ドローン、もとい、ラジコンな偵察ユニットは同一作戦地域で複数で活動する。俺たちの上空では三機。だから一機が標的への行動、偵察やら監視やら、を始めると他の機体がその機体の穴を埋める。
もちろん、ユニット単体での索敵可能範囲は大したことはない。高高度哨戒気球の一つが俺たちについているが、その広域走査から特異点の有無を識別プログラムが弾きだす。
なんのことはない。
上位索敵系の末端ユニットに過ぎない。
プログラムが反応しない限り前衛哨戒。
特異点確認を指定されていたら、一機がコースを変える。
特定目標監視にあたる一機の為に哨戒線に穴が開く。プログラムに従い、他の機体が穴を埋めるコースに修正されるだけ。
任務中に一機が落とされ、墜落しても同じように動く。フローチャートの如き手順をたどっているだけだ。
自立行動なんぞとてもとても・・・・・・・・・。
今、偵察ユニットは定型条件で動いている。
行軍前哨警戒パターンC。
実際、パターンをカスタマイズする部隊は少ない。余計な分岐を生んで効率を低下、危険を増すばかりだからだ。
よって、偵察ユニットは俺たちの予定進路上を偵察中。
索敵システム全体の行動トリガーは大別して三つ。
30人以上が一定密度以上/規則配列で静止集合している場合。
5名以上が遮蔽物の陰で一定時間以上静止している場合。
複数いる場合は部隊に近いほうを優先。
偵察ユニットはマーキングをはじめ、オペレーターにアラートが飛ぶ。このアラートは部隊全体へのそれとは違う。いちいち自動判定に全体アラートを飛ばしていたら、誤報と緊張感の低下を生む。
自動判定以前にオペレータが気づけって話だろうが、小隊規模のオペレーターは一人。管理する哨戒気球に偵察ユニットは複数。
注視しているのは隊列近傍の対処優先度が高い範囲。
俺たちのオペレーターは港街にいる黒旗団、今日は・・・・・シンガポール兵の支援を受けつつ、太守府に帰還済みの担当兵士がダブルチェック。
恵まれてるね~無駄ともいうが。
オペレーターがアラートに反応しない場合は指揮官に、反応が無けりゃ部隊全体に飛ぶ。見落とすと最低でも指揮官の怒鳴られる。普通殴られます。
脅威判定はオペレータ以上が行う。オペレーターが要警戒と考えると指揮官へ。そこで判定がでると部隊全体へ対処命令と警報が飛ぶ。
一般論ですよ、もちろん。
が、偵察ユニットは判定前に自動で対処に入る。
異世界仕様で標的から50m圏外を維持しつつ、詳細確認。本来ならばシルエットや色から敵の所属や兵種や意図を推測するんだけどね。
異世界装備や戦術用の推測プログラムは作成中。戦争が終わるまでにできるといいね。
なんで50mかと言えば、まあ、銃器がないからこんなもんってこと。
魔法攻撃の中には、近代火器並みの威力の種類もあるし
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・実証済み。その時は一帯をMLRSで平面掃討したらしい。
魔法使いの居場所が分からなかった・・・・・・・人の多い街中だった・・・・・・ので。
いや、偵察ユニットを攻撃できる魔法使いは少ないらしい。
魔法使いが攻撃の威力射程を上げて伸ばす場合、集団で術を行うとか。相手が少人数であれば、50m程度で構わないだろうし、大人数であれば距離をとっても無駄。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうやってるかはしらんが、集団魔法で攻撃を行った場合、野戦砲ぐらいの威力が確認されている。
だから、小隊規模の、俺たちが戦える程度の相手ならそんな心配はない。逆に偵察ユニットが為すすべもなくやられたら、絶好のチャンス。
撤退の。
そんなチャンスが不幸にしてやってこなかった場合、弓だけなら仰角射程圏はたいしたことはない。上空30mまでの接近なら余裕なんだが、まあ、20mは余裕ってことで。
風向きや大気密度の影響を考えると、オートではこの程度遊びをもたせないと危ない。マニュアルならば30cmだって近づけられるが、まあ、やらない。
あくまでも、限界距離が50mってこと。
索敵にそんな必要ない。本来なら数100m以上は離れて偵察する。逃げるにせよ戦うにせよ、相手にこちらから偵察されてるって気がつかれてもいいことないしね。
それ以上近づいても、わかることは大して変わらない。
だが、その程度でも悪くない。
――――――――――――――――――――それは認めよう。
だが!!
ドローンではない!!!
しかもこのラジコン、標的の想定可聴範囲では滑空状態を維持したりする、マナーモード付
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・可能な限り。
普通のエンジンを使って飛行している以上、音がうるさいからだ。哨戒気球のように、バッテリー&太陽電池、中には風力発電併用、時々進路修正する以外は風任せ、なんて訳にはいかない。
だから偵察時、それが可能なタイプでも、ホバリングなんかしない。とはいえ、気づかれないほうが難しいからだ。ずっと、一瞬たりとも目を離さない必要などない。
こまめに近傍上空をフライパスすれば十分。
まあ、滑空でも風切り音はするしエンジン音を切るタイミング次第では聴こえてしまう場合もある。風向きや大気密度以下略。
まあ、「可聴範囲」の基準が地球人類だから、どうやってもエルフには聴かれる。エルフ基準で聴こえないようにするには、高高度偵察気球しかない。
証明済み。
うちのエルフっ子ではなく、黒旗団のエルフでもなく、あーあれ、開戦時に配布されたマニュアルに太書き大書されていた。エルフ基準で考えるなよ、と。
あたかも戦前から、異世界転移後の短期間で、拉致した複数のエルフで、徹底的なテストを繰り返したように
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねえ?
だがしかし!!!!!!!!!!
便利で充実高機能!!!!!!!!
だがドローンではないのだよ!!!!!
決して不都合な真実をごまかしたいだけではない!!!!!!!!!!
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/青龍の騎士団本陣(前衛)】
あたしたち、街道に入った青龍の先駆け5騎。
まあ、先駆けが青龍の貴族っていうのが、おかしい、いつも通りなんだけど。一番、偉い人間が真っ先に進むのは、青龍の貴族個人の資質?それとも種族の特徴?
昨日の夜は、妹たちが拗ねて嘆いて大騒ぎ。もちろん、青龍の貴族は無視。ただ、側にいることを許して、二人が寝込むまでは起きていてくれた。
・・・・・・・・・・大丈夫かしら。
――――――――――!!!!!!!!!!
耳たぶを揺さぶる感覚。青龍の警報。
『三十分街中把握開始維持』
あたしも妹たちも、ピクッとする。必ず気がつき、作業の、つまり魔法を使ったり戦ったり見張ったり、の邪魔にならないって触れ込み。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人による、と思うんだけどな。
同時に声が耳に、頭に響いた。
そろそろ先行して、街に先触れではいろうっかと思っていたのだけれど。
中止、ね。
あたしたちが身につけている、魔法の装具。青龍の貴族から贈ら、まあ、もらった首飾りに腕輪脚飾り。
これが、あたしたちの鼓動を青龍の貴族に伝える。
そして警報も伝えてくる。
どんなに離れていても伝わる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはない、って、はっきり言われた。
彼、青龍の貴族、本人に。
せいぜい太守領の1.5倍範囲にすぎない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すぎない?
それ、もう、どこにいても伝わる、でいいじゃない!!!!!!!!!!
まったく。
そこまで厳密に考えなくても
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言ってくれるだけでいいのに。
まあ、何事もキチンと把握する、っていうのは多分、青龍全体の思考。
そして何もかも二重以上に整えるのは、嗜好かしら。
この装身具だけで、声も伝え合える、って話だけど。普段は使わない。あたしたちは別に、耳から喉に届く耳当てを与えられている。
まあ、青龍の魔法は大きな威力に大きな音。
青龍の貴族はまるで平然と受け流すけれど、あたしたちじゃ気絶しかねない。
毎回、轟音が鳴ると、耳当てが音を調整してくれる。
銃みたいに、龍みたいに、鉄馬みたいに。
あたしは、言われない限り首にかけたまま。
耳を塞ぐ気はないし、あたしが音を聴き分ける力は青龍の貴族も認める所。だから、この音の距離も動きも、耳だけでわかる。
青龍の騎士、サトウ卿とシバ卿が街道脇の藪から飛び出して、あたしたち、いえ、主たる青龍の貴族の前を交差。
二人がまたがる鉄の馬。
慣れれば、その音にも驚かない。
二人は主の無視を確認すると、皆の前で別れて消えた。
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本陣(前衛)】
俺にとっさの判断を期待する?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わけないよな。
だがしかし、俺が指揮官である以上、命令は俺が下さないといけないわけで。
残念ながら。
遺憾ながら。
不本意ながら。
よって、手順は事前に決めてある。
偵察ユニットが所定の条件を確認すると、佐藤と芝にアラートが飛ぶ。二人が情報を確認して、必要と考えると全員に状況連絡。
二人はその時には既に、対処に入っている。
もちろん対処とは、二人、つまり軍政部隊現有兵力で対処不可能な場合の支援要請を含む。支援とは、もちろん手近な元カノ黒旗団とか、遠くどこかのチヌークとか、遠い海の護衛艦からトマホークとか。
・・・・・・・・・・・三佐が管理している、治療を目的としていない医師団とか。
それらは俺はもちろん、遠いお空の曹長や元カノにマメシバ三尉もモニターしている。
誰か上位者がストップをかけなければ、そのまま二人が対処に入る。
状況は?
三十分街中把握開始維持。
「30分以内に到着する街の内部に脅威発見、二人で対処しておきますからそのまま進んでください」
もう街についているころか。
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/青龍の騎士団本陣(前衛)】
あたしは片手で手綱をさばき、背の弓を持つ。
行き過ぎざまに青龍の騎士、サトウ卿に目配せされたから。青龍の女将軍は馬体に添えた銃、留め金を外している。
万が一、別な伏兵がいたら、あたしと青龍の女将軍が彼を支える。まあ、青龍の使い魔が伏兵を見逃すなんて、有り得ないけれど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたしが、彼、青龍の貴族を助けるなんて、もっと有り得ない。
だから、あたしは、あたしたちを護る。
あたしの前の妹分と、彼の前の、あの娘を。
そうすれば彼、青龍の貴族が安心して突っ込める。
彼は毎回、独りで敵中に入り皆殺しにした後、あたしたちを振り返る。
我を忘れても、あたしたちを護る算段を欠かさない。
事前に護りを命じてあるのに、振り返って確かめる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・相変わらず、あたしたちは戦力扱いされてない。身構えさせるのも、万が一の時、あたしたちだけを逃がす為。
あたしの弓や剣は、最悪、つまり青龍が皆殺しにされている間に、妹たちを連れて逃げる時に使う
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・に使えってこと。
いまだに時々、言われる。
青龍の貴族に。
まだ何も与えていない女の為に、命を捨てる。
青龍の貴族、その騎士達には、当たり前。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――有り得ないわよね。
それを信じざるを得ないくらいに、あたしたちは
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、あれなんだけれど。
あたしは、あの娘が最優先。
だから
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼の為には、死ねないから、都合がいい。
それが
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後ろめたくもあり、情けなくもあり。
「嬉しいですわ」
あたしは、びっくりして妹分を見た。
「また、ご領主様がこちらをご覧になりました」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一瞬だけど、ね。
「ねえ様、今、とびっきりの笑顔ですわよ」
【太守領中央/太守府南馬乗一日程/軍政・黒旗団混成戦闘部隊本陣(前衛)】
第二アラートが来ない内は問題なし。
佐藤も芝も、感嘆するくらいに平静。もちろん、心拍数しか見てない。現場映像なんか、俺が見ても仕方ない。
現場のモニターをしている元カノが手綱も握らずに、悠然と腕を組んでいるから大丈夫。お前は三国志に出てくる武将か。
一部のサイズ以外は人並みだが。
しかし、両腕ですくい上げてるのかと。
ん?
俺を見て、じふ――――――――――あ、気づきやがった。
・・・・・・・・・・・・たゆんたゆん、いや、違う。ディスプレイを浮かべたのは佐藤と芝のバイタルチェックだから。
お前の胸をディスプレイに映すためじゃないから。
見かけ指揮官がキョロキョロ見回すのはみっともない。
だから、ディスプレイの反射率を操作
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
肩すくめてんじゃねー!!!!!!!!!!




