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完全侵略マニュアル/あなたの為の侵略戦争  作者: C
第三章「掃討戦/文化大虐殺」

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102/1003

あなたは自由です/Freedom is Slavery

登場人物&設定

※必要のない方は読み飛ばしてください

※すでに描写されている範囲で簡単に記述します

※少しでも読みやすくなれば、という試みですのでご意見募集いたします


一人称部分の視点変更時には一行目を【語る人間の居場所】とします。

次の行、もしくは数行以内に「俺」「私」などの特徴となる一人称を入れます。

以下設定を参考に誰視点か確認いただければ幸いです。

(書き分けろ!と言われたら返す言葉もございません)


【登場人物/三人称】


地球側呼称《坊さん/係長》

現地側呼称《僧侶》

?歳/男性

:国際連合出向中地方公務員。得度した僧侶。浄土真宗らしい。軍政司令部文官。



【用語】


『魔法翻訳』:転移後、異世界と地球側、ともに民族の数だけあるような多言語が、双方向通訳されていることが判明。異世界内部においては翻訳魔法は確認されておらず、双方の内部でも翻訳はされない。異世界間限定自動通訳/翻訳効果。地球側では正体不明ながら「魔法翻訳」と呼称している。ただし万能ではない。文化の違いから同一概念がない場合は類似単語/表現へ置換されるが、法則性が不明。ニュアンスが話し手と聞き手の精神状態に連動するために、語調や語感が無視されたり逆転したり。しかも、ソレを検証する手段が乏しいために問題を生んでいる。



恋に不幸なし!


それがどんな結末であろうと不幸になることだけはありません。

そう、例えば。


互いに大切にしてきた三姉妹のような少女たちがいたとしましょう。

一人の男性に恋をしたとしましょう。


必ずみんな幸せになります。





「イエース!That’s Right!!みんな幸せオオオカ捌き!!!三分割してハーレムエンド!!!!産めよ増やせよ地に満ちよ!!!!」


邪教徒は消毒!!


URRyyyyyyyyyyyeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






オンリーワンとはナンバーワン。

相手のすべてを独占したい。今も過去も未来も、心も体もなにもかも。

それが、恋です。

相手を虜にして他の何もかも忘れさせて魅せる。



一夫一婦制度や倫理の話じゃありませんよ。愛しい相手の想いを無視して紙切れで縛り、罪悪感で縛り、その体だけを操ろうなんて恋じゃありません。



だから、勝者は二人きり。

四人いれば二人が負けます。恋の勝負はALL-or-Nothing!すべてを手にするか、すべてを失うか。


負ければつらいです。

憎いです。

妬ましいです。

苦しくて苦しくて喉をつくこともあるでしょう。

悲しくて悲しくて彼を殺してしまうかもしれません。

痛くて痛くて世界を滅ぼす位なら可愛いものでしょう。


でも、幸せでしょう?

出会えたんです。想えたんです。挑めたんですよ。

最高じゃないですか。


もし出会えなかったら、世界が生まれた意味なんかありません。

だから、応援します。

みんなを応援します。

・・・・・・・・ちょっとだけ贔屓します。


《インタビュー09with国連軍出向中自衛官》




【太守領辺境/廃神殿前の草原/表側/HMMWV車内】


『こちらの世界の、みなさん方は』


遠く本隊の坊さんが俺に解説してくれた。


『棄てられた、と感じたんでしょう』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・棄てるもなんも。


俺のじゃない。

俺たちのものじゃない。

彼らは彼らのものだよ?


『しかり』


だよねぇ。

自分は自分以外の誰のものでもない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、時々奪われたり盗まれたり操られたり洗脳したりはある。


だが、少なくとも俺はしない。今、彼らはそんな状態にない。まあ、自白剤は使ったが、薬効はきれてるハズだ。

村人たちは自分の意志を取り戻している。


『彼らは、ソレを、どう感じますか』


ソレ・・・・・・・・・・自分が自分のものだ、を?


『誰にも縛られず、誰にも命じられず、誰にも求められない』


結構じゃないか。


彼らは必要な全てを持っている。肥沃な土地に恵まれて、数世紀にわたり整備された農地があり、街に港、商人職人たち。


『人はパンのみにて生きるにあらず』


・・・・・・・・・坊さん坊さん。


『必要な全てを持ち、それを搾り上げる支配者から解放されてしまった』


しまった、って。

まあ、俺たちの一方的な都合ですけどね、

帝国を駆逐したのは。


『その結末は、幸せでしたか』


俺は周りを見回した・・・・・・・・・・・・・・・な、わけない、な。赤黒い草原、負傷した女たち、一角に積み上げられた血塗れの凶器。


野盗の跳梁。脅威への同化。


怯えて恐れて殺し合い。

昨日までの家族隣人を傷つけ殺して疑って。


帝国は楽しい支配者じゃなかっただろう。

元々この地から生まれた王国を滅ぼして、過酷な税と労役を課していたからな。


だが、その横暴なリヴァイアサンを俺たちが殺したせいで、ホッブズ流バトルロワイアル。



『強者にとっての理想を自由と言います』


強ければ楽しい、強くあり続けられれば。

――――――――――絶対的強者などいない。


野盗は村人に強い。だが街の衛兵や盗賊ギルドの愚連隊に野盗はかなわない。衛兵に愚連隊は帝国軍から無視される程度。


誰だって誰かに負ける。

相対的にはすべてが弱者だ。


『何処かの誰かは自由を楽しめるのかもしれませんが』


何処にもない何処か。

つまり、誰にとっても苦痛でしかない、自由。


『そんな地獄から解放したんですよ、閣下』


解放?俺が???


『命じてあげたじゃありませんか』


あげたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、

―――――――――――――――――――――――あれ。


確かに俺、命令しましたね。殺せって。


『自由に苦しんでいた村々の方々を、自由から解放してあげた』


意味は判るが語感が凄い。

ともあれ、お役に立ってなによりです。めでたしめでたし。


『とは、いきません』


何故なにゆえ。


『いらないと教えました』


――――――――――んんんんん?

・・・・・・・・・・・・・・・税はいらない・・・・・・・・・・・・・・・

この邦も。

人々も。

資源もなにもかも。


俺たちには、いらない。



つまり、おまえたちに用はない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って意味になる、か。


だから。


護らない、助けない、導かない。死ぬも生きるもお好きにどうぞ。たまたま今回は気が向いた。二度目があるとおもうなよ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その通りじゃないか。



『閣下は正しい』


この点については自信がありますよ?


『これは国連軍、国際連合、わたしくしども地球人の基本方針です』


それで何がいけない?

俺が多少脱線している事は認めないが。断固否認して軍法会議を回避するが。


『彼らから自由を取り上げて、あげたのに、また、再び自由に突き落とす』


まさに悪魔の所業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まてまてまてまて、なんかおかしい。


『閣下は村々が、街々が独りで歩けるように、歩かざるを得ないようにされた』


だよね~~~~~~~~~~まあ、気がついた範囲では。

俺たちがいなくても、どうにでもなるさ!!

たぶん。


『これ以上無いほど、キッパリした棄て方です』


まてまてまてまてまて!!!!!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあ、棄てたとしよう。


――――――――――なにがいけない?


俺たちは、彼らがいらない。

彼らも、俺たちは必要ない。


互いに必要ないだろう?

生きていけるハズだし、ずっと面倒を見る気はないんだから。


俺たちは支配者じゃない。

俺は王様じゃない。

俺はただの侵略者、その一人だ。


『なぜ、ソレを伝えるのです』


わざわざ伝えた訳じゃない、が、伝わった事が悪いとは思わない。

それが事実だからだ。



『事実を知らないと、誰かが困るんですか』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?


『事実を知ることで、誰かが幸せになるのですか』


知らなくても困らない。

むしろ、俺の命令、ってことで心労が軽くなるなら知らん方がいいか。

知ることで命令の権威付けが弱まれば、いざというときにためらうかもしれない。

ソレはよろしくない。


『正直に話す。嘘をつく。ただそれだけに意味はありません。意味は閣下が与えます』


は?


『この正直は怯懦の証』


え?


『嘘をついていないんだから自分は悪くない』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


『勝手に勘違いされて裏切った形になるのは後ろめたい』


――――――――――。


『それで護られるのは、閣下、アナタだけですよ』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





『という考え方も出来ますね』


おい!!!!!!!!!!


『どう捉えるのか、それは閣下の自由です』




【太守領辺境/廃神殿前の草原/表側/青龍の天幕】


姫巫女、か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あたしはあの娘、妹分の様子を見た。


二人とも意気消沈、ううん、固まってる。考えたくない事に、気がついてしまったわね。


――――――――――彼。


青龍の貴族が周りに価値を見いだして無いのは知っていた。

あたしたちを護ってくれている。けれど、護られなくとも生きていけるようにする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・青龍の貴族はそう考えている。彼がそう決めたなら、そうなってしまうのだろう。



なら、あたしたちも、街や村々とおなじ。





―――――いらない―――――





それはそうよね。それでも。彼が立ち去るだけならば、あたしたちを置き去りにするなら

――――――――――ついて行けばいい。



でも、青龍の貴族は、あの、簡単に身を危険にさらす彼は、自分にも価値を見いだしてない。

俺が殺されても問題ない。

別な者が対処するから、お前たちは大丈夫だ





―――――――――本気だったんだ―――――――――――





彼は、あたしたちに、そう言って、気遣う。

きづかう?



――――――――――大丈夫な訳ないじゃない!!!!!!!!!!




現に!!!

あの娘も!!!!

妹分も!!!!!

あたしも!!!!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彼が追いかけられない場所に逝く、可能性に気がついちゃったわよ。


なにも、いらない、青龍の貴族。




―――――――――止められない―――――――――――





【太守領辺境/廃神殿前の草原/表側/HMMWV車内】


俺は深く深く反省した。坊さんの説法は心に染みました

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・程よく、概ね、だいたいは。


まあ、あれだ。

マメシバ三尉がフォローしてくれたから、良いよね?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反省してますよ?



ともあれ、今年の税は免除、って言い回しは秀逸だよね。


嘘を付かず、含みを持たせ、どうとでも解釈出来る玉虫色。来年からは徴税が始まる=統治体制が続く、と村々の皆さんは解釈したようだ。


実際、俺たちがどうあろうと、なんかしら政府じみた物は出来てるだろう。

俺は関係ないけど。


かくして村人たちは落ち着きを取り戻した、よーだ。


マメシバ三尉のレトリックは俺が皆に伝えた内容を希釈しただけで、否定したわけでもない。それで住民の混乱を防いでくれたのだから、ありがたや。



だがしかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔女っ子のお姫様扱いは、不味いんだよな。


来年以降の責任が、あの娘にいってしまう。マメシバ三尉に間違いがある訳じゃない。


魔女っ子は、国連軍的に正しく現地代表。俺たちの命令やら要求やらを承認する立場だ。しかし、現地代表ってのが俺たちの言い回しで、中世に相応しい言葉や概念がない。



ってことは、語感が魔法翻訳では伝わってないわけで

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・街の知的エリートである参事や大商人、多国語になれた船主あたりでもニュアンスがバラバラ。


この邦の住民の交渉人。

青龍(俺たちだが)の取次役。

青龍の代官。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・などなど。



まあ、そもそもが、住民たちから代表をだすなんて発想がないからね。村の長だって、合議制持ち回りの老人に押し付けられた雑用に近い。



だから、姫巫女、って肩書きはマメシバ三尉の造語。



村人たちやシスターズが凍りついたのを見て取り、とっさに場を取り繕う決断を下したマメシバ三尉。

国連軍の規定で現地習慣に介入する場合(この場合は税金、年貢について)現地代表の要請による必要がある。


俺が勝手にやらかしていた、魔女っ子を隠すような隠さないような、適当にごまかしてた流れを三尉は知らない。だから規定通りに魔女っ子にゲタを預けた。



俺のミスだ仕方がない。



姫巫女って造語を思いついた流れもわかる。あの時に始まりかけた混乱を一気に食い止める為、短時間で全員に理解させる必要があった。


語彙が少ない村人たちに、場の主体が端的に伝わる言い回し。


その舞台が、かつて村々を束ねていた神殿。



少なくとも帝国以前、農民たちを直接束ねていたのは神殿だ。

赤い目の、つまり巫女神官か魔法使いの素養がある子は神殿に引き取られていた。そんな関係で人の出生に必ず関与している神殿は、村を超えた唯一のコミュニティだったわけだ。

そのあたりは、時々徴税にくるだけの騎士や貴族より村人たちになじんでいる。

演出の中心になる魔女っ子の紅い瞳が、巫女のモノと同じ色。


エラそうな肩書が必要。

神殿という舞台になじむ言い回し。

魔女っ子最大の特徴。


そんな三題噺で新たな肩書きを考え実行した、してしまったのだマメシバ三尉は。



それは見事に受け入れられ、効果は村人たちを見ればわかる。造語とはいえ、現地住民に受け入れ易いモノだったらからこそだ。

やったことはしょーがない。そのあたりの政治的なアレコレをごまかすのは、まかせておけ!

俺が、坊さんにお願いしよう。


かくして村人たちは焚き火を囲んで野営に入り、酒盛りやら夕食やら和やかに。負傷している女たちは静かな臨時野戦病院へ。


めでたしめでたし。




「なわけ無いでしょう」


ねえ?


「お通夜みたいな彼女たちをどーにかしますよね?」


どうやって?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい、すいません。


「あの娘たちをどう想ってますか」


怖い顔のマメシバ三尉。


『言葉だけでは伝わりますまい』


まだ通信つながってましたか。ともあれ好都合。今度は身の上相談を一つ。


シスターズがガックリきている件について。


住職。

こういう時は、どうすれば良いんでしょうか?



『抱けばよろしい』

「な!僧侶侮りがたし!」


坊さんの端的な回答に、仰け反るマメシバ三尉。


「さすが町内仏教。伊達に家庭内争議を解決してませんね」

『恋愛マイスターから過分な言葉を頂けるとは、これも縁です』


なんか、讃えあってますけど?ベクトル違わない?


「この際、それが一番です!」

『宗教によっては禁忌ですが、御仏は気に留めません』


まあ、開祖が妻子持ちですからね。


『俗なるは恥にあらず、といいます』


しかも坊さんの宗派は僧侶の妻帯も有りでしたか。


『肌を重ね、愉しみ、時を過ごす――――――――――心と体はともにあるのですよ』


それをもの凄く重大な禁忌にしたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・明治以降の国家神道でしたか。

どっかの国家社会主義政党みたいに、宣教師の影響を受けましたし。


『まあ理屈を組み上げる趣味人もおり、それが、いけないとは申しません』


言わないのは大切ですね。


『枝葉の言葉はさて置いて、何かを変える必要はありません――――――――――想い、伝える、それだけで十分ではありませんか』

「そうです!!!!!!!!!!

恋にゴールなし!!!!!!!!!!

愛に終点なし!!!!!!!!!!

今は迷子になってる彼女たちをどーにかしなさいしてください!!!!!!!!!!

だんちょーは一晩誤魔化しますから!!!!!!!!!!

この際さっさとやっちゃいましょ――――――――――」





【太守領辺境/廃神殿前の草原/表側/青龍の天幕】


あたしたちは青龍の天幕で落ち込んでいた。

あの娘たちは虚ろな目、あたしはかける言葉が見つからない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う。


あの娘たちに逃げてるだけ。心配して、自分の思いをそらしている。

どうにもならない――――――――――

天幕が開く。


「またせたな」


突然、青龍の貴族が、ふぇ?

――――――――――あたしが気がついた時には、なにもかも、終わっていた。抱きしめ、られた??

えええええええええええええええええええええええ!


彼は、あの娘を抱いていた。

強く強く、抱き上げて、抱きしめて。

耳まで真っ赤になった、あの娘。



降ろしてかがみ、今度は妹分を抱きしめる。

!!!!!!!!!!!!!!



まだ、腕に、背中に、胸に、感触が残っていた。

あの娘も妹分も笑顔で彼を抱きかえす。



彼は、あたしたちを見つめた。


「おまえたちはここにいる」


あたしを見つめた。


「役に立ちたいのか?利用されたいのか??」



――――――――――そうよ――――――――――


「ちがう」


――――――――――――――――――――――――――――――



「いたいから、ここにいるんだ」





【太守領辺境/廃神殿前の草原/表側/軍政部隊野戦指揮所】


エルフっ子に抱きつかれ、窒息しそうな俺。

左右両腕をシスターズの小さい二人に捕らえられ、危険が危ない。しかししかし呼吸さえ出来ればラッキーと言って良いはずだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・なわけがない。ラッキースケベとは、はたで見ている外野の戯言。

考えても見てみよう。


外見17~18くらい、娘盛りな美少女を抱きしめて、抱きつかれて、嬉しいか?

ちんまい二人に甘えられてる最中なんだぞ???

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――顔を創るだけで地獄である。


いやいや、二人っきりよりもましかもしれない。長き(二週間ほど)禁欲生活の果てに、エルフっ子に抱きつかれるとあれば、アレである。




ゴビ砂漠午後一時干物寸前。

目の前にかち割り氷のスポーツドリンク。

・・・・・・・・・の、ホログラフ!!!!!!!!!




なんて可哀想なんだ!!俺!!!

エルフっ子!!!力入れないでくれない????俺より強いよねキミ!!!


革鎧を付けず、フェルト地の上下のみ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ここが漢の死に所かも知れない。



とかくこの世はままならぬ

――――――――――魔女っ子、お嬢に表情を目撃されないだけマシか?腹上死ならぬ乳圧死とか考えてすいません反省しております。





「ハグ・・・・・」

『間違ってはいませんね』

「ちがう!そうじゃない!ハグって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だんちょー!」

「ん?」

「まだこっち来ちゃだめですけど、自分が間違っておりましたー!!!」

「そっかー」

「アレが、だんちょーを育てたんですね」



いつの間にか製造者責任を押しつけられている。きっと意識が遠くなるのは限界に挑んでいるから

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かゆ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぅま。



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