俺らは情報も食っているんだ。
【用語】
『欧州19世紀』
:産業革命末期。経済は資本と技術に集約され生産限界突破し土地の制約を失った農本経済が崩壊。消費し様が無いのに制約も無い過剰生産は交換部品に過ぎぬ人間の価値を喪わせ経済循環と称する偶然任せのジェットコースターが事故記録更新中。地域利益共同体の破綻は伝統、習慣、地域といった因習から人々を解放してしまった。いわゆるアノミー。要はアイデンティティー・クライシス。
群生動物の本能的恐怖。
犬を室内で一匹だけにすれば壊れるのと同じ。
なお壊れた動物はゾンビ化つまり動く死体。
刑務所、義務教育、強制収容所、等お馴染み。
それが社会全体を覆う
……社会的な精神病です。
本来は生産調整による社会構築で治療出来るので処方箋も造られましたが、まあ、20世紀初頭に合衆国に拒否され過剰生産大暴走事故転覆した経済に再度処方箋がリトライ中の21世紀。
は、さておき。
治療を受けない受けられない拒否した患者が求めたアヘン。
国家。
民族。
主義。
みんな19世紀に思い付かれ、後付けで史実に名付け、あたかも宇宙開闢以来の真理であるかの様に刷り込まされ、疑わない。
まあ、あれ。
日本史の「幕府」って言葉が明治以降の創作で、大正時代ですら徳川幕府ではなく徳川政府と呼ばれ、幕府が定着したのは憶えている大人と子供が死に絶えた昭和初期。
……知らないよね?
タイムスリップ・ファンタジーで鎌倉時代を舞台とし、鎌倉幕府と呼んだら斬られた承久の乱直後なら反乱軍もとい朝廷方かと思われますよ鎌倉殿と呼ばないと、なんて書いても洗脳されてる読者一般には伝わるまい。
先生方もみんなそう教えられて疑わなかった。
そりゃ、破滅する。
現実を視ない訓練だけされりゃ。
斯くして19世紀末からは民族主義と自己責任主義のテロリズム全盛となってしまいましたとさ。
それが後に世界的に拡散し猛威を奮っている最中、今。
あのね。
法律の前に社会は在ったの。
国家の前にも在ったのよ。
民族の前にも、だけど。
造ったのは19世紀くらい。
後付けで史実をカテゴライズ。
法が無くても。
国が無くても。
民族が無くても。
社会は何にも困らない、ワケ。
別に異世界だから、ではなく。
国を出たら。
絶対に厳禁。
テンプレートでカテゴライズ。
《国際連合武力制裁派遣前研修より》
【異世界大陸東北部/占領地域/軍政主府/軍政司令部/軍政司令官私室/青龍の貴族】
俺は食べてる、咀嚼中 。
大変に美味しゅうございます。
「10歳女児の汗と汁と液の結晶ですぜ!」
それは確かに愉しめそうだが。
沸騰中の魔女っ娘弄りは食後。
「ツッコミ待ちなんですが」
おいおい娘どもたちの前だぞ。
「♪︎――――――――――変な意味は後に決まってるでしょ~が!正しい意味です!夫婦の常々の開示不可を無理強いする気だな判っていたけど!」
俺は皆を視る。
「みちゃいけません」
妻を名乗る不審者はスルー。
「「「「「「「「「「「「「「はい!観てません聴いてません言いません!」」」」」」」」」」」」」」
俺の注意に揃って返事。
目撃者が居なければ世界の終わりもスルー出来る。
「証人を創る国に住んでる人が何を」
検察が常と変わらず自殺あり拷問脅迫で創った証人が全員そろって特捜部の主張を否定しても有罪判決が出るのが日常な国、は海の向こう。
「国の義務から解放されてるだけに」
いつものに理由付けが楽になった。
まあ理由付けも面白いんだけど。
「国に相応しい国民ですねぇ」
おかげで国を替える必要がない。
ギャラリー気分で眺めて愉し。
「クーデターは誰か任せ」
誰かに巻き込まれるかもな、いつか。
今の裁判権は国際連合がもっているから心配ないぞ。
黙秘権とか三審制も無いが謀殺や非存在化は起こる。
民事訴訟なら普通の裁判、中立公正な証人で結審。
「愛する男が悦ぶならなんでもなんだって言うでしょうね」
将来が心配だな。
「たいちょーの掌の届く処に一生縛り付けて置けば大丈夫」
なら大丈夫だな。
「世界で唯一、見栄を張りたい男に向かって、隠して置きたい正直な欲求を、大きな声でハッキリ日々繰り返し言わされているだけですからね」
性格以外に心配の無い娘ばかり。
魅舞わせば何もかも判るものだ。
人を知るのは当人から、だけじゃない。
その人の本棚を視ろ、何て言うけどね。
むしろ当人から視線を外した方が良く視える。
「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」
「どうしてワザワザ伝わる様に視線を外すから泣きそうじゃないですか」
此処は正しく食卓。
昔の人も偉かった。
今の皆は言うまでもなし。
空間。
うちの娘たちの揃い踏み。
状況。
メイド五人衆の一生懸命。
情報。
メイド長アイコンタクト。
「情報を喰う、ってそ. ~いう」
料理は舌だけで味わったら、もったいない。
常に、ではないけれど。
それぞれに最適に食う。
「TPO。TimeじゃなくてTiming」
一杯の牛丼で始める朝も佳い。
「カレーじゃなくてカレーライスは飲み物」
手料理で遅刻させるのも愉し。
「仕事の為でも食う為でめたなく」
魔女っ娘を味わうなんて最高。
「いっそ女体盛りがいいのでは」
背景あっての主題だよ。
バックとのコントラストが作品を生む。
レシピは毎回違うと知ろう。
真似も出来ない魔女っ娘料理。
料理?
品名?
お品書き?
おおざっぱな傾向に過ぎず、レシピって言うより特色。
天才にマニュアルなし。
食材種類に出来と質が違う。
日差しに気温に風も違う。
体調気分に変化も違う。
これは世界背景とは、また別に。
生産。
保存。
輸送。
食材の安定供給がなされる先進国、にだけしか成り立たないのが、レシピという概念。
地球の現在多数派の国やら地域なら材料表を観て笑う。
――――――――――実験かよ――――――――――
誤差では済まない異世界。
動物の大多数には。
それを差違と感じる。
人間の大多数には。
そんな差異を生かす料理。
極稀な才能にだけ。
中世準拠な偶然偶発運不運。
決まった料理は有り得ぬ世界。
全てが創造、くじ引き次第。
プロフェッショナルとは何ぞ。
凸凹を許容範囲に収める力。
「基準線を最高に置けば手料理。底辺に置けば産業。無力ならメシマズ」
程度の差はあれ、先進国でも同じ。
標準化の進んだ分がマニュアル化。
なのに、常に違った満点をだせる。
それが魔女っ娘。
――――――――――料理の天才――――――――――
古今東西、何処でも生きられる、者。
殺し。
話し。
料理の、上手い人。
それが天才ともなれば、魔女っ娘は大丈夫。
・・・・・・・・・・世界に知ら示めよう。
「たいちょー専用をベースに各々向けにアレンジしますもんね」
その舌には追い付けない。
「常に舐めて吮って噛みしめてますもんね、専用を創る相手を」
専用は好いよね。
食事とはそれだ。
手作りってこと。
まあ異世界はオーダーメイドばっか。
既製品は古物しかない。
足を靴に合わせられるのが産業化以後。
られるだかららなくていいんだが。
みんなはみんなに合わせた。
足に靴を合わせるのが産業化以前。
だから個人に意味がある。
意味がある個人がいた。
今、此処に。
手作りは真心なんてくだらない話じゃない。
才能あるものにしか出来ない最適化の手法。
単にレシピ通りか不味いなら手作りに非ず。
先進国では完全に誤解されていますが。
「それ、お金が無い人たちだけの誤解」
最低でもカスタマイズ、クリエイトが標準。
舌を合わせるのではなく、料理を合わせる。
その真逆が料理に合わせる舌と財布って訳。
「それ料理?」
フランス一般大衆の感想。
製品、つまり餌。
嫌いじゃないよ。
レーションとか。
フランス一般大衆なら暴動。
「パンは黒パン」
それナポレオンはコルシカ人。
とは言え、わかる。
要は好きと嫌いは同じライン。
嫌いじゃない。
好きじゃない。
交差どころか平行すらしない。
ジャンクは悪食、嗜好品。
好きだから、じゃない。
つまり今。
つまり好き。
「つまり女、自分の」
魔女っ娘が不思議そうじゃないか。
「太陽が東から昇るっみたいな文章が聴こえたからでしょうね」
好みに合わせて味を変えれば不変。
今日の好みとは。
エルフっ娘が獲った肉。
魔女っ娘が料理。
お嬢が準備と御手伝い。
ご家族共同作業。
家族ってか、一族氏族。
社会的にはコレ。
一人〃が一つの共同体
「ハーレムってこれ」
お城の皆さんに頼る面もある。
副菜香辛料等々の準備。
肉の搬入部位への捌き。
下拵え以前の清浄作業。
自前でやるのは、効率が悪い。
お願いや説明でも良いが、お嬢が一番巧い人使い。
「だから使われ様と一所懸命片側キープ使ってアピール」
・・・・・・・・・・魔女っ娘、エルフっ娘の二人は王城奉公人を顎どころか視線や仕草で扱き使うことはできません。
「一度に三人、なら五人はイカしてイケるかな?
・・・・・・・・・・あ、五人の二セット目連打は可?」
「「「「「「!――――――――――」」」」」」
「ジト眼」
部屋にはメイドさんたちが観える。
長年、使われなくとも、整えられ続けた部屋。
五人衆以外にも皆の手間暇が、ね。
「「「「「「・・・・・・・・・・♪︎」」」」」」
「チョロ!」
人手のかかった処は皆、同じ。
広間には執事さんたちが観える。
城には下男下女さんたちが観える。
曹長から、うちの連中が観えるようなもん。
料理から魅える、魔女っ娘自身の味。
「羨ましいなぁ♪︎
――――――――――食べて貰える側にも味わせて」
下拵え。
切り分け。
火を通しやすい。
頬張れる。
肉汁を逃がさず。
サイコロステーキかな?
ってサイコロよりも大きな四角に切り分けた獣肉。
軽く衣をふって、肉汁を封じたコンフィ。
油は脂。
獲物の油脂。
新鮮なんてもんじゃない。
まあ異世界では毎日絞ってるけどね。
保存技術が無い。
だから新鮮な物しかない。
コロンブスの卵。
でも作業時間を考えたら、街や村では昨日以前の油。
今の脂が一番だ。
もちろん脂自体が調理済み。
鶏の丸焼きを胸・腿・手羽・皮に切り分け、敷いたナン、みたいな異世界の小麦状穀物を使ったソレ、が油を受けている。
脂は炭水化物に好く似合う。
芋とか。
小麦とか。
マヨネーズはサラダに合わぬと思うんですよ、俺は。
脂は食べ物。
それを余さずに食べ物にする魔女っ娘料理。
安っい牛丼屋のセール期間中の白身肉ではない。
・・・・・・・・・・あのジャンク感、嫌いじゃないよ?
だが、ジャンクは料理じゃないんだ。
料理とは、こっち。
いや、料理の基準にしたら異次元か。
俺が造るのが料理。
魔女っ娘が創るのは、想い。
「ソコマデワカッテイナガラナンデカナァ」
焼き上げた後、野菜のソテーに合わせて別なソースを絡めてる。
別の山盛り炒めポテトっぽい根菜は煮込み肉塊と和えてあります。
無発酵バターのようなクリームがかかっているのはチーズの代わりかな。
もちろんサワークリームじゃない。
まだプロセスチーズは無い様子。
殺菌出来ないナチュラルチーズ、異世界の物は危険かもしれない。
その辺り魔女っ娘は判っている。
いや、発酵食品の原理は知らないし解ってもいないんだけれども。
俺以外が異世界種族との接触を制限されている理由付けと同じ。
ある種の手順が呪いを発動させ防げない場合がある、と。
必ずにすると敢えてやろうとする奴がでるだろう。
それで何も無ければ、禁忌が軽んじられてしまう。
かもしれないなら故意には為されず禁止も為せる。
多世界接触制限を揺るがすことになれば世界終了。
パンデミックの可能性は低くても有るなら起こる。
起こるくらいなら起こすのが国際連合の実験手順。
いつどこでどのくらいって決めれば始末は出来る。
それが此処でそろそろって決められてないだろな。
チーズひとつがコレもんだ。
でも料理ならクリームだよね。
ワインにも合うんだろうな。
常に食い物が店に並ぶ社会じゃない。
レシピってモノが成り立たない世界。
――――――――――人類史の大半。
必要な材料。
必要な時間。
必要な分量。
それが高確率で用意出来ないなら、レシピなんか成り立たない。
・・・・・・・・・・決められた手順で料理が出来るようになったのは、現代だから、だもんな。
軍政部隊料理担当、魔女っ娘。
「貴男の為の三食専任志願中」
その天才、輝く。
日本持ち帰り決定。
特権階級ょぅι゛ょ。
いけるかいけないか。
「イケますイカせれば」
そんな天才、魔女っ娘。
料理中は生き生き大活躍。
楽しそうで何よりです。
普段は蕩けた甘えん坊にしたのに。
「本当に寄る辺なき孤独ょぅι゛ょを蕩かしつづけてますね一生」
その魔女っ娘はカッコ好いなぁ。
人前でガチガチ俺の陰。
忘れて欲しいが現地代表
俺が選んだんですけど。
彼女の権限で色々してます、俺が。
「国際連合の書類上だから善いってもんじゃないからね責任とって認知せな」
うちの娘なんですけどね。
法律なんかは置いといて。
やっぱりこの娘は料理人。
「特定個人専用の完全お世話しないと死んじゃう病で死にかけてますから欲求不満で」




