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辛く、苦しい夏休みの課題事情(幕間)1

久しぶりの投稿です

 夏休みも半ば。

 溜まっていた宿題もほとんどが終わっており、残りの夏休みを遊んで過ごしても問題ない。

 これも松本先生のやる気の出る一言のおかげだ。


『守谷、この期日までに課題を終らせていろ。終わっていなければ……お前の男を潰す』


 いや本当、あの言葉でやる気というか、死ぬ気になったよね。

 ともかく、指定された期日の二日前である今日、生徒会室で課題を進めている俺は、今まさに最後一ページにピリオドを打つ。


「おわっ、たああぁぁぁぁ……」


 両腕を上げ、背もたれに体を預けて脱力する。


「ようやく終わったか。他の奴らを見習って、もう少し早く出来なかったのか?」


 と、松本先生が呆れた様子で俺を見ている。

 他のメンバーはすでに課題を終らせ、俺の課題の手助けをしてくれた。

 そのかいあって、こうして課題を終らせることは出来た……が。

 本来であれば、もう少し余裕をもって終わらせることは出来たはずだった。

 その原因というのが、主に手助けしてくれた人物に問題があったということだ。


 ~松本雫の場合~


 松本先生からの『潰す』宣言の次の日。


「潰されるのは嫌だ潰されるのは嫌だ潰されるのは嫌だ潰されるのは嫌だ」


 経験したことのない焦りと危険を背負いながら課題に取り掛かっていたが、解けない問題に直面したため少し取り乱していた。

 他の生徒会メンバーは自分の課題や仕事に集中しているから聞きづらい。

 自力でなんとかしたいが、課題しか持ってきておらず、教科書の類は全て自宅で絶賛お留守番中。

 松本先生もいないしな。


「……はぁ」


 ため息を漏らした雫は席を立ちあがると、俺の隣に立って問題集を覗き込む。


「どこが分からないの?」

「え?」


 俺が聞きかえすと不機嫌そう顔をする。


「だから、分からないところがあるんでしょ? 教えてあげるって」

「い、いいよ。雫だって課題が」

「私は今さっき終わったからいいの。ほら、教えてあげるから」

「その……ここなんだけど」

「ここはこの公式で計算して」


 スラスラと問題集に書かれる公式でようやく納得し、その問題を解く。


「出来た! サンキュー雫!」

「どうしたしまして。それで、お姉ちゃんに言われた期日には間に合いそうなの? 今の感じからすると、間に合うとは思えないんだけど」

「な、なんとかする」


 と、言ったけど、正直俺だけの力で期日までに終わらせるのは自信がない。


「しょうがないな」


 雫は自分の席から椅子を引っ張ってくると、俺の隣に置いてそこに座った。


「午前中はやることないから私が見てあげる」

「本当か!? 助かる!」

「なら私も──」

「綾ちゃんはやることがあるでしょ」


 立ち上がった綾先輩だったが、雫の指摘で肩を落としながら腰を下ろし、再び書類に目を通す。


「はい、じゃあ期日までに終わらせるわよ」

「はいはい。それにしても松本先生は酷いよな。期日まで指定してさ」

「色々予定があるのよ。でもお姉ちゃんのためにこれだけは言っとく。私達のためにやってくれてることだから」


 雫が言うなら間違いないのだろうけど。


「それじゃあ、この問題を解いてね」


 結果:期日が近いためか、それとも前回ので反省したのか、スパルタ指導ではなく、普通に教えてくれた。


 〜水原舞の場合〜


「午後はあたしが教えてあげる!」


 別の業務が入った雫に代わって、水原先輩が名乗りを上げた。

 その後ろで床に膝をつき、チョキの右手を震わせている綾先輩はほっといて課題に取りかかる。


「水原先輩、ここの答えって」

「どれ?」


 ソファで俺の隣に座る水原先輩が問題の内容を確認しようと、俺との距離を詰める。

 結果、俺の腕に暖かくて柔らかな感触がダイレクトに伝わった。


「み、水原先輩……」

「何?」


 自覚してないようなので、恥ずかしいさを堪えて指摘する。


「その、腕に……」

「腕? ……っ!?」


 状況を把握した水原先輩はすぐさま俺と距離を取る。

 余程恥ずかしかったのか、目に見えて赤面している。


「ご、ごめん」

「いえ、謝ることでは」


 その後も少しギクシャクしながらも課題は進んでいった。


 結果:甘酸っぱい青春を感じながら課題が進んだ。あと綾先輩の目が怖かった。


 〜小野寺小毬の場合〜


「今日の、午前は、私」


 これは生徒会全員が、俺の課題を手伝ってくれる流れだと思っていたら、やはりこうなった。

 というわけで、本日の午前は小毬先輩が俺の指導役となってくれるらしい。


「小毬先輩」

「なに?」

「お手柔らかにお願いします。課題進めたいんで、毒づかれて心おられたくないんです」

「…………善処、する」


 これ絶対に善処してくれないな。

 でも大丈夫。

 こんなこともあろうかと、俺には秘策がある。


「それじゃあ、お願いします」

「うん」


 今日は歴史の課題を進めることに。


「廉……なんでこんなこともわからないの? これ、前回のテスト範囲だったでしょ? なんなの? 記憶力ニワトリ並?」


 十分も経たないうちに毒が出始めた。

 さっそく秘策を使うことに。


「小毬先輩」

「何? 課題進めてる最中にわざわざ話すんだから、どうでもいいことなら潰すよ?」


 何を潰すか知らないけど、とりあえず、鞄の中を漁る。


「昨日、コンビニでお菓子大量に買ったんで、よかったら」

「……なるほどね。そうやってお菓子で私の機嫌を取ろうと。そんなことで━━」


 お菓子の袋を目にした途端、小毬先輩の目が大きく開いた。

 俺が出したお菓子は、小毬先輩のソウルフードでもあるポテトチップス。

 だがただのポテトチップスと侮ってはいけない。

 このポテトチップス……期間限定の味なのだ!


「小毬先輩、限定味の柚子胡椒ですよー。それにこっちは数量限定のコンソメミント。あ、小毬先輩がよく食べてる飴玉の会社が、期間限定でドラゴンフルーツ味を出してたんで、それも買ってきました」


 目を輝かせてる小毬先輩。

 さっそくポテトチップスの袋を開けて、頬張り始める。


「それで、ここなんですけど」

「あぁ、ここ。答え教えるけど、前のテスト範囲にも入ってるからちゃんと確認してね」


 効果覿面!

 スラスラ話す小毬先輩だけど、言葉から毒が抜けきっている。

 これでもう俺に怖いものはない!


 結果:一時間後に毒の刃で串刺しになりましたが、なんとか課題は進みました。

読んでくださり、ありがとうございます!

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