夏だ! 海だ! ラブコメだ!?(驚愕)3
しばらく砂浜で満喫していた俺達だったが、空腹には耐えられず、一度戻ることに。
「あら、みんなもう戻ってきたの? まだ遊んでてもいいのよ?」
「はしゃぎすぎてお腹すいちゃって」
「あら、そうなの? でも困ったわね。一応お弁当は作ってきたのだけれど、こんなに大勢じゃ全然足りないわよね」
困った様子で頬に手を当てる大家さん。
「よし! ならお前達何人かで海の家で色々買ってこい」
そう言って財布から一万円を取り出す。
「それなら、私が買ってきますよ。みんな疲れているでしょうから」
「ありがたいですが、大家さんは座っててください。こいつらに行かせるんで。絶対にここから離れないでください。一人になるようなことしないでください」
「え、えぇ?」
捲し立てるほどここにいさせようとする松本先生に困惑する大家さん。
しかし、ここにいる全員が松本先生と同じ気持ちだろう。
大家さんを一人にさせてはいけない。
絶対にナンパされて、性格的にそのままついていってしまいそうだから。
「やっぱりここは男の俺達で」
「いや、一人は残っててくれ。女性だけになると、変な輩が纏わりついてくるからな」
「なら、俺と守谷で買ってくるから、三島は留守番だ」
「了解です!」
「ならあと三人くらいついてってやれ」
ということで、女性陣のじゃんけん大会が始まり、負けた三人が俺とアニキと一緒に海の家に向かうことになった。
「よし、じゃあ綾、水原、百鳥さんで決まりだな」
「よろしく廉君! 飛鷹さん!」
「れっちゃん、アニキさん。よろしく」
「あ、あはは……」
「……悪い三島、やっぱり俺が━━」
「逃がしませんからね?」
考えられる最悪のメンバーに逃げ出そうとするアニキを捕まえ、予定通り五人で海の家へと向かう。
「何買おっかなー」
「海といえばやっぱり焼きそばじゃないか?」
「れっちゃんは何が食べたい? 色々食べたいならおねえちゃんと半分コしよね」
左右には水原先輩と綾先輩が距離を詰め、後方には肩に手を置くようにして付いてくる美鶴さん。
そして俺はアニキが他人の振りができないよう、背後をピッタリとついていく。
「……東雲、水原、百鳥さん。頼むから少し廉から離れてやってくれ。困ってる」
「え? あ、ごめん!」
無意識だった水原先輩はすぐに離れたが、逆にしがみついてくる他二人。
「何故です! 私は廉君の彼女です!」
「そして私はおねえちゃんです!」
「どちらも自称だけどな」
すごい……雫以外でちゃんとツッコんでくれる人と出会えた。
「そんなこと言って、れっちゃんを独り占めする気なんですねアニキさん!」
「ないから安心してくれ」
「だが、花田さんから『守谷君と飛鷹さんを二人したら大変なことになります! その時はこの写真で現場をおさえてください』と言っていたんだが……」
何に期待してんだ花田さん。
「何もない。だからそれ以上はやめてくれ。俺が疲れる」
「ほら、飛鷹さんに迷惑かかってるから、美鶴ねえも綾も守谷から離れなって!」
水原先輩の手助けもあり、二人は俺から離れてくれる。
「んで、海の家に着いたのはいいものの、結構な人だな」
どこの海の家も列をなしている。
「ここは二手に分かれるか。百鳥さんは俺と。守谷達は他の店で色々買ってきてくれ」
そう言ってアニキと百鳥さんは列に並んだ。
俺も綾先輩達と一緒に別の店の列に並ぶ。
「えーっと、焼きそばはアニキは達が買ってきてくれるから、焼きとうもろこしとか買ってけばいいですかね」
「小毬と沙耶未用にかき氷も買っていこう。きっと欲しがるだろうから」
「あ、ならあたしも!」
「あとは、フランクフルトも買っていけば充分ですかね」
「私はフランクフルト入らないかな」
「え、じゃあ代わりのもの買いますか?」
「いや、後で廉君のフランクフルトをいただきたいがいいだろうか?」
「それがフランクフルトなのか別のフランクフルトのことか怪しいんで、綾先輩の分も買っておきますね」
「別のフランクフルト?」
「水原先輩は知らなくていいことです」
店員に注文し、品を受け取る。
アニキ達はまだ離れられないようなので、先に戻ることに。
「結構買っちゃったね」
「まぁ、あの人数なら食べ切れるだろう」
「ねぇねぇ! そこの君達!」
やはりというべきか、綾先輩と水原先輩に声をかける輩が現れた。
お手本のような日焼けした金髪のチャラい男達が壁をなして俺達の進路を塞ぐ。
「かわいいね! ここら辺の子?」
「いえ、そういうわけでは」
チャラい相手でも丁寧な口調で対応する綾先輩。
「そんなに固くならないでよ! せっかく遊びにきたんだから気楽にいかないと!」
「お友達もかわいいね! どう? この後こいつの船でクルージングするんだけど、行かない?」
「あ、あの……」
邪な感情見え見えだなこいつら。
「あの、いいですか?」
「ん? 誰君?」
「この人達は俺の連れです。離してもらえますか?」
「あー弟さん? ごめんね、お姉さん達をちょっと貸してもらうから」
完全に下に見られてるし、まだ綾先輩達行くって言ってないだろ。
「ダメです。俺達忙しいんで」
「いいから、言うこと聞けって」
そう言いながら、手に持っていたコーラを俺の頭にぶっかける。
「あ、大変だ! 早くシャワー浴びないとベトベトになっちゃう! お姉さん達は俺達に任せてさ、早く行きな」
今にもキレそうな綾先輩が見え、すぐさま静止するジェスチャーをする。
「たしかにベトベトなっちゃいますね」
俺はおもむろに買ったかき氷を手に取り、男達に向けてばら撒いた。
「冷たっ!!」
「何すんだテメェ!」
「あー大変だ。みんなベトベトになる前にシャワー浴びた方がいいですよ?」
「ふざけんなぁ! 殺されてぇのか!?」
「誰が誰を殺すって?」
ドスの効いた声にチャラ男達が振り向くと、静かな怒りの視線を向けるアニキの姿が。
怒り心頭立ったはずのチャラ男達は見るからに怯えた表情を浮かべている。
「い、いやー、殺すなんて言ってませんよ?」
「そうか? てっきり、そこの女二人を連れ出そうとしたところ、そいつに邪魔されてムカついたのかと思ったんだがな。勘違いして、すまない」
「い、いえいえ! じゃあ、俺達はこれで」
「あー、一応言っておくが、もしかしたら、また俺が勘違いするかもしれないが、その時は、話し合う前に手が出るかもしれないが、気をつけてくれ」
そそくさとその場を後にしようとする男達に、遠回しに次はないぞとアニキが伝えると、脱兎の如く全員逃げ出していった。
「流石アニキ」
「お前も挑発するな。まぁ、おかげで二人が連れ去られることはなかっただろうが」
「廉君! かっこよかったぞ!」
「いえ、そんなことは。結局アニキが来なかったらボコボコにされてましたから」
「はっはっはっ! その時は安心したまえ! ……私があの人達の玉を潰す」
急に真顔で強い言葉を使わないでください。
ビビるじゃないですか。
「さて、戻るか……と言いたいが、守谷は一回シャワーを浴びてこい」
「そうします」
「じゃあ、れっちゃんの頭は私が洗ってあげる」
「上半身は私に任せてくれ」
「えっ!? そ、それ、じゃあ、あ、あああたしは、か、かかか、下半身、を洗ってあげない、と」
「いちいち明言しなくてもわかってください。一人で入りますから」
買ったものと三人をアニキに任せ、俺は一人シャワーを浴びに行く。
幸いすんなりとシャワーを借りることができ、髪や体についたコーラを洗い流した。
さっぱりしたところで、みんなの所に戻ろうとする。
「あ、廉」
途中、留守番をしているはずの卓也と出会うことに。
「卓也が離れてるってことは、アニキ達は戻ったんだな」
「あぁ、みんな先に食べてるぞ」
「んで、なんでお前はここに?」
「トイレだよ。一緒にどうだ?」
「連れションかよ。まぁ、いいけど」
ちょうど尿意を感じていたし、卓也についていくことにする。
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