夏だ! 海だ! ラブコメだ!?(驚愕)1
数日前、松本先生の提案により姫華先輩の別荘で一泊二日することになった俺達生徒会。
完全プライベートなため、面識があれば誰を呼んでもOKということもあり、卓也とアニキを誘った俺。
今現在は待ち合わせ場所である、白蘭高校の最寄駅で二人と一緒に他の人達が来るのを待っていた。
「早く来すぎましたかな」
と呟くと、呆れた様子のアニキ。
「一時間前は早すぎるだろ。わざわざ俺と三島も巻き込んで」
はいその通りです。すいません。
「まぁまぁ。とは言いつつもアニキさんも楽しみだったんじゃないですか? そんな大荷物で」
「……準備は大事だからな」
無理矢理誘った感じになってしまったが、アニキも今回の宿泊を少なからず楽しみにしていたようで安心した。
「なんだお前達、早いな」
今回の宿泊を計画した松本先生が待ち合わせの場所にやってきた。
時間にルーズな松本先生がこんな早くから待ち合わせ場所にいることも驚く点だが、それ以上に気になることが。
「先生? 俺の勘違いじゃなければ、隣にいる人って……」
「あぁ、お前が住んでるアパートの大家さんだ」
「よろしく守谷君」
微笑みながら手を振る大谷さんに目を丸くする。
「えぇ!? なんで大家さんが!?」
「私がいるとはいえ学生が多いからな。保護者役として大家さんに頼んだんだ」
「もしかして、迷惑だったかしら」
「いえいえ! そういうわけでは。でも、なんで大家さんを? 滝本さんを呼んでるものかと」
「あぁ、あいつは仕事で手が離せないらしいからな。それに……あいつに保護者役は無理だ。海に行ったら男をあさりに行く」
ごめん滝本さん。反論できない。
「それで、なぜお前達はこんな早くからここにいるんだ? 一時間前だぞ」
「守谷が楽しみすぎて急かされたんですよ」
「ちょっ! アニキ!」
「はぁ……お前『も』か」
呆れ顔で横目で何かを見つめている。
つられて視線の先を見ると、木の陰からスカートがはみ出していた。
それも一人ではなく、複数人。
「何してるんだ。さっさと出てこい」
「あはは、やっぱバレてたか」
木の後ろから現れたのは、雫、沙耶未、花田さんの同い年三人組だった。
でもなぜ隠れてたんだ?
「三人共、なんで隠れてたんだ? 俺達と合流してもよかったのに」
「あ、暑かったから、木陰で涼んでただけ」
「え? 廉みたいにはしゃいでると思われたくないから隠れてたんじゃなかった?」
「沙耶未ー? 飴あげるから黙ってようねー」
「なるほどな。花田さんも同じ理由で?」
「男三人が仲良くじゃれ合っているのに邪魔するバカがどこにいると思うの?」
君はもう少しキャラがぶれるぐらいはしゃいでもいいと俺は思うな。
「あらあら、みんなもう待ちきれないのね」
今度は姫華先輩、小毬先輩、水原先輩、美鶴さんの四人が合流。
「おはようございます。これであとは綾先輩だけですけど。まぁ、まだ集合時間前ですし」
「ん? 生徒会長さんならあそこで野鳥を観察してるぞ?」
「は? 野鳥? ここら辺は雀ぐらいしか━━」
振り向いて卓也の視線の先を確認すると、双眼鏡を覗き込む綾先輩の姿が。
「生徒会長さんの趣味なのかな? 俺達がここについてからずーっとあんな風に観察してたし」
いやあれは観察じゃなくて俺達を覗いて━━待て、俺達よりも先に着いてて、ずっと覗いてたの?
改めて生徒会長の奇行に恐怖を感じていると、綾先輩もこちらにやってくる。
「おはよう! みんな集まったみたいだな」
「おはようございます。高そうな双眼鏡ですね」
「あぁ、今日のために買っておいたんだ。これなら貴重な場面を逃すことがないからな」
……ちょっと。
俺の下半身から視線を外してくださいよ。
男のものがポロリすることなんてほとんどないですから。
「みんな集まったなら出発するか。早いに越したことはないからな」
さっそく目的地へ向けて改札を通る俺達。
ちょうどよく電車がホームに着くと、それに乗車。
朝早くということで、中はガラガラ。
どこでも好きに座れるほどだった。
「おい守谷。さっさと奥に入れ」
促されるまま窓側の席へ。
朝早くから来たから少し疲れた。
ありがたく座らせてもらおう。
「よいしょっと」
……はっはー、何だか気まずいな!
対面の四人席で綾先輩と水原先輩と沙耶未が座るかな!
おそらく松本先生に仕組まれたなこのー!
「海楽しみだね!」
対面に座る沙耶未が無邪気に笑う。
「あ、海行ったらスイカ割りしよ! 一度やってみたかったの!」
沙耶未に同調してはしゃいでいる水原先輩、
「やるのはいいが、近くに青果店があるか確認しないとな」
他二人とは違い、大人のような余裕をみせながら冷静に俺の太ももをさする綾先輩。
しかも前に座る二人以外には見えないようにやってきてる。
「ちょ! 綾! 手!」
水原先輩から指摘をくらい、渋々手を引っ込めた。
「ねぇ綾さん。折角ですしトランプでもしませんか? このために持ってきてるんですけど」
「いいね! 旅行の定番!」
「時間もあるし、ババ抜きでもするか」
「了解です! 用意するから待っててください」
でかい鞄を開けてトランプを探し始める沙耶未。
それにしてもでかい鞄だな。
旅行とはいえ一泊二日なんだし、大げさ過ぎじゃ━━沙耶未さん? なんか鞄の中がガチャガチャうるさいんですが?
まさかと思うけど遊ぶものばかりじゃないよな?
「あった!」
おい今ボードゲームみたいなの見えたぞ!
「じゃあ早速始めるか」
「なんか罰ゲームありでやる?」
「そうだな……勝ったなら一人になんでも言うことを聞いてもらことにしようじゃないか」
綾先輩が発言した瞬間、和気あいあいとしていた空気が止まり、三人の視線が俺に集まる。
「なんでも」
「廉に」
なんか生唾が聞こえた気がしたんですけど!
「……ハッ! だ、だめだめ! そういうのは一切なし! 普通にあそぶの!」
常識人の水原先輩が我に返ってくれてよかった。
「チッ、仕方ない。では普通にババ抜きでもするか」
この後はババ抜きで綾先輩のセクハラに耐えたり、沙耶未の圧勝だったり、顔に出まくる水原先輩が負けすぎて涙目になってたりして騒がしかった。
けど、まぁ……楽しかったし、いっか。
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