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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第3章 眠れる天賦
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第123話 闇ギルド

 

 第123話 闇ギルド


 視点 神の視点 ※文法の視点名です。

 場所 ダラーヒム学園王国 実験工場地区

 日時 2033年 4月10日 午後 11時30分



 異世界 リンテリアの化学水準は世界天秤条約により、地球の化学水準を超えることはできない。しかし、知識の流失は止められない……。例え、地球の化学水準のことを大規模に教えれば、禁固刑 10年~死刑に問われるとしても…………。

 闇ギルドの幹部 シンメイは思う。


 シンメイ「この国の上の連中は馬鹿だ。技術は一から学ぶからこそ、安全でより水準の高いモノになる。それを解っていない」


 汚い白煙で見えない星空を憂うようにその言葉は真摯に満ちているが……シンメイの唇は震えていた。

 震えていた唇から微かな嘲笑が零れる。

 その嘲笑を見守っていた黒ローブを着た男達はまるで石像のようにひざまずいたまま、シンメイに報告を始める。


 黒いローブの男1「シンメイ様、凪沙南イヴがダラーヒムの公害に興味を持ちました。こちらから意図的に流したとも知らずに……」


 シンメイ「勇者の後継者気取りの娘がまんまと我が闇ギルドの繕った網に引っ掛かったな。イヴにできることなんぞ、たかが知れている。どんなに世界連合に問い合わせたとしてもダラーヒムへの地球側からの技術提供は認められない。だからこそ、ダラーヒムは闇ギルドに依頼して地球側の技術を不正に入手したのだからな」


 黒いローブの男2「凪沙南イヴがこの国にやってくるのを狙って我々は動けばいいでしょうか?」


 シンメイ「そうだな、全ては我ら、闇ギルドが正義面をした凪沙南イヴを排除する為の仕掛け」


 シンメイは今も煙を吐き続ける工場の煙突を眺めながら、部下達にそう指示を出す。

 指示を出すと、黒いローブの男達はすっーと夜闇に消えるようにその場を後にする。


 シンメイ「我々は華井恵里やエルスエデンのような連中とは違い、様々な手段で凪沙南イヴ…………の暗殺を完遂する。我々は暗殺のプロだ」


 シンメイを含む闇ギルドはこれまで、イヴの政策により、徹底的に闇ギルド解体に曝されてきた。しかし、それは闇ギルドをより闇へと沈める結果になった。メンバーはより実戦の鋭利な刃を持つ者に………。


 シンメイ「星空の一つもない不毛な夜空。それをダラーヒムは望んだ。なんと、愚かなことか」



 視点 凪紗南イヴ

 場所 地球 旧世界 東京都 千代田区、地球 新世界 東京都 凪紗南市 女王の館

 日時 2033年 4月11日 午前 7時00分



 イヴ「闇ギルド?」


 予は食パンにマーガリンを塗りながら未来お姉様の言う闇ギルドのことを思い出す。かつて、異世界 リンテリアには当たり前のようにあったハンターギルドの闇バージョンともいうべき、暗殺、違法性の高い情報の奪取、盗難などを行う非合法組織。それを予の提案で予の国 クイーンと国境のある国々と共に壊滅まで追い込んだ。


 未来「あれは決して滅びたわけではない。人間の負の側面がある限り、あり続けるだろう」


 イヴ「どうして、闇ギルドの話が出て来るのだ?」


 真央「あんたが何の警戒も無しに地球とリンテリアを行き来している状況が狙われやすいって話でしょ。まぁ、来てもあたしが返り討ちにしてやるけど……」


 そう真央は宣言してから、ブルベリーをつけた食パンにかじり付く。

 さくっという音が真央の歯から零れ墜ちる。


 真央「あー、この食パン お金持ちようだって解るふわふわー。思わず、もう一枚、食べたくなるぅ」


 セリカ「真央ちゃん、それ以上、食べると豚さんになりますわよ」


 真央「それはいやだからこのへんで止めておく」


 未来「ダラーヒムの公害問題が他の国に悪影響を及ぼし兼ねないと考えて、皇女は治癒魔法を使い……環境をクリーンな状況にし、ダラーヒムに工場の廃棄を求めるのだろう?」


 アイシャ「しかし、ダラーヒムは何処からそのような技術を手に入れたですか……」


 未来「闇ギルドが関わっていると私は推測する。随分と皇女は闇ギルドから恨まれているからな」


 セリカ「色んな国と合同で行った闇ギルドさよならキャンペーンですわね♪」


 真央「うちの北庄はそれに加わってないけど……随分、高レベルのハンターをハンターギルドの協力で闇ギルドのアジトに送ったえぐい作戦の事ね」


 予は野菜スープを飲む。おっ、このスープ美味。


 イヴ「ふぅー、美味しい」


 未来「皇女、やはり……国家連合に問い合わせたところ、フィルターなどの設置は認められない。また、それに必要な知識も世界天秤条約により、教えることを許されない、と。これは予測できた回答だ。ダラーヒムがもし、地球の技術を不正入手したとするならば、その施設を破壊する為に国家連合の殲滅隊が組まれるかもしれん」


 イヴ「殲滅隊が……。しかし、これまで殲滅隊が動いた試しがないのだ」


 りりす「動いた場合、我らにはどうしようもできないぞ」


 りりすがフレンチトーストをナイフで四つに切りながら、深刻そうに喋った。


 未来「地球とリンテリアでは地球の文明があらゆる面で凌駕する。世界連合の意思次第で異世界であるリンテリアは崩壊すると言っていいだろう。世界は微妙なバランスでその崩壊を免れているに過ぎない」


 セリカ「ダラーヒムへはいつ、イヴは行くんですか? わたくし達もついて行きますわ」


 イヴ「日本の皇女として予がリトア・ダラーヒム王と会談する。その内容を記した書を寸命アリアがカムク・エレルに手渡し、カムクからリトア・ダラーヒム王に手渡される予定なのだ。その返事を待って日程は決められるのだ」







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