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創世する世界のイヴ # Genesis to the world's Eve  作者: 遍駆羽御
本編―――― 第3章 眠れる天賦
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第107話 神様の創った箱庭内の戦い

 

 第107話 神様の創った箱庭内の戦い


 視点 神の視点  ※文法の視点名です。

 場所 バベルの空中庭園都市 宿願の塔 謁見室

 日時 2033年 4月10日 午前 2時00分


 夜よりも暗く、海の深さよりも混沌なる存在――――それが華井恵里という存在だ。華井恵里は玉座に座り、これから来るであろう人物を待っていた。それが近づいてくるのはそれが放つ圧倒的な魔力で解っていた。隠そうともしない。それの思惑はやぁ、これから来るよんの挨拶だろう。


 恵里「全く、ふざけた天上のお偉い方」


 この待っている瞬間、所詮、私達は神様にとって虫レベルの存在なのだろうと思った。怒りを沈める為にワインをそのまま、豪快に瓶口に口をつけて一口、飲む。


 華井恵里の他にはエルスエデンの研究長 ハルイ・レードがいた。ハルイには転生者であり、ハルイの前世はホロコーストに関わり、そこで研究をしていた科学者だ。

 ハルイは今回のディスター3体を失ったことについては全く、怒りを感じていなかった。ディスターに仕掛けていた小型カメラにより、少女神 リンテリアが使う神魔力球しんまりょくきゅうを撮すことができたのは最高の実験材料だ。


 ハルイ「しかし、恵里様。少女神 リンテリア……いや、未来神 ミル・リンテリアの神魔力球の撮影に成功し、データとして回収できたのは成果でした」


 恵里「ばぁかね。未来神……。”神の国の頂点 リンテリア神王家を長年、引っ張ってきたミル・リンテリア前女王様”は私達が再現できないと知って手の内を明かしているのよ。所詮、私達は神の創り出した箱庭の中に住むしかないのよ。辛うじて……生かしてもらっているのよ……」


 華井恵里はまた、ワインの瓶口に口をつけて一口、飲む。凄絶な笑みを浮かべて、華井恵里は恵里の笑顔に怯えるハルイに再び、話しかける。


 恵里「……今はね。でもね……そろそろ、神の引いたレールから抜け出したいところね」


 ???「残念。それは無理ねん♪」


 認識できない闇から、左右の壁に備え付けられているキャンドルホルダー内で灯る蝋燭の炎の明かりが届く場所までそれは……未来神 ミル・リンテリアは足を進めた。

 少女神としておちゃらけていた時のだらしのない服装とは異なり、豪華な宝石を鏤めたドレスを着ている。右手には神剣 ロストクイーンを鞘に入れたままの状態で持っている。その神剣 ロストクイーンは華井恵里やハルイは知らないが…………一振りで世界を滅ぼす威力を保っていた。まさに神様が神様に闘いを挑む為の決戦兵器といえるだろう。

 銀色のおかっぱ頭に低身長、銀色の瞳。それは華井恵里が嫌いなリンの娘 凪沙南イヴの特徴に似ているので華井恵里はいつも、ミル・リンテリアを観ただけで神への反骨精神をより成長させることができる。それは大変な精神的苦痛を要してではあるが……。


 恵里「今日は何のよう? こんな処へと来る身分ではないでしょ、ミル・リンテリア前女王様」


 ミル「今日はお礼に来たよ。今日も私の未来予想通り、いーちゃんの経験値、ありがとうございますって」


 天真爛漫に微笑むおかっぱ頭のミルの顔を何発も拳を喰らわせたい気持ちに華井恵里は襲われた。


 ハルイはミル・リンテリアの登場に震えてただ、直立不動に立っていることすら、できない。恵里はハルイを臆病者だとは評していない。


 神には階級がある。味方側の神や邪神から恵里が学んだことだ。

 王級、特級、専属級、属性級、階層級という階級に分かれている。勿論、目の前で微笑むミル・リンテリアは王級の神だ。

 ミル・リンテリアが本気になれば、地球と異世界 リンテリアは5秒もしない内に崩壊するだろう。


 恵里「よく言うわ。未来神の視る予知は多くのルートこそ、あれ。百発百中。ならば、未来操作なんてお手のもの。さぞ、心配せずに貴女の育てている神 いーちゃんを見守れたでしょう。一体、いーちゃんをどうしたいのかしら? 神様。どうして、いーちゃんとミル・リンテリア様は似ているの? あら、私、質問ばかりね」


 ミル「うーん、まぁ、良いか。これからもいーちゃんの経験値をくれる大切な虫だものね。ちょっとくらい、私の計画を話してあげるよ」


 そう、ミル・リンテリアが言った瞬間、ミルの姿は消えた。それが古代魔法 テレポートの効果だと解る。

 テレポートを防ぐ方法は意識的か、無意識的に相手を拒絶すればいいのだが……ミル・リンテリアの古代魔法 テレポートはそのルールさえも破って発動する。

 案の定、ミル・リンテリアは華井恵里の耳元までテレポートを成功させた。そして、耳元でミルは華井恵里に囁く


 ミル「――――ってことなんだよ。どう、これでいーちゃんの正体と、私の素晴らしい人類救済計画が解ったでしょ! でしょ! やぁー、ミルちゃん、頭良い」


 恵里「ふざけるな! 神如きが人間を管理して! 私達はそれを望まない!」


 ミル「ああ、一応、恵里たんにも女の嫉妬って理由以外にバベルの塔を創り上げた理由があるのを忘れてた。ごめんねん。でも、未来は止まらないよ、恵里たん」


 恵里「私が止めてみせる。神が管理する世界なんて認めない」


 ミル「でもでも、他の神は虫には容赦しないよ。人間が殺虫剤を使うみたく、破壊神辺りはぷちっと人間全てを滅ぼしちゃうけどねん♪」


 ミルはその言葉を残して、幻のように謁見室から姿を消した。


 直立不動のまま、立ち尽くしていたハルイは神様が去った事に安堵して溜息を吐く。


 恵里は玉座の肘当てに肘を載せて、低く、高笑いをする。


 恵里「そう、ありがとうミル様。いーちゃんを殺さなければならない理由が増えたわ」


 ハルイ「増えた?」


 恵里「私達の地球と異世界 リンテリアは……………………いーちゃん、無限を司る神  無限神 イヴの保育園だったってこと。私達、バベルの塔はさしずめ、いーちゃんのお食事ってわけ。経験値よ」


 ハルイ「…………無限を司る神? 無限神? しかし、それは…………」


 ハルイの言いたいことは解る。

 無限を司る神 フール・リンテリアはこちら側の邪神や神の情報では死んだはず。その無様な死を怒ったフールの兄 現神王はフールという栄光なる者の意味を愚か者に改変して全ての世界に伝えたはず。

 転生?

 いや、その可能性はない。いーちゃんに前世の記憶がないからだと、恵里は頭を振ってその考えを否定する。


 恵里「こちら側の邪神や神が未来神 ミル・リンテリアにまだ、いーちゃんに直接、手を出すなって言われた理由がこれで解った。いーちゃんのLevelが低すぎるからよ」


 ハルイ「まるでRPGですね。そうでしたら、私に提案があります。保管していた機械兵を使うのはどうでしょう」


 恵里「機械兵ね……。いいわ……その提案。私もそろそろ、いーちゃんに直接、挨拶に行かないとね。現実はRPGのように弱い敵から出てくるわけではないと教えてあげなくちゃ。このえりりんが」


 イヴの知らない場所でイヴに対する害悪が動いた。

 しかし、イヴがこの事を知るのにはまだ、時間を有する…………。




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