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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−73:横浜ダンジョンライブ配信終了


 ヘルズラビットとホブゴブリンのドロップアイテムを集めつつ、第5層を目指して前進を再開する。

 ……とは言え、あと20段ほど階段を下りれば第5層なのだから、目的地は既に目と鼻の先だ。嫌な気配も感じなくなったし、俺たちの行く手を阻むモンスターはもう居ないようだ。


「さて、色々ありましたライブ配信も残り僅か! 変異モンスターからの妨害を乗り越え、遂にゴール地点の第5層が見えて参りました!」

『妨害……あ〜、確かに妨害か?』

『あれを戦闘とは呼びたくないなぁ……あまりに一方的すぎたし』

『並の探索者からすると、撤退前提で動くようなヤバい敵戦力なんだけどな』

『現時点の探索者トップクラスが揃うと、こうも簡単に倒せるもんなんだな』


 視聴者さんの言う通り、本来は特殊モンスター4体と同時に戦うなど狂気の沙汰でしかない。ゴブリンジェネラルとホブゴブリンが同時に出てくるだけでも苦戦するのだから、今回の敵編成は探索者側からすれば悪夢なのだ。

 ……そんな戦いも、これだけ戦力が揃っていればちょっとしたイベント戦で終わってしまうわけだ。そこには嘉納さん・菅沼さんも居るわけだし、改めて日本トップクラスの探索者の実力がいかに隔絶しているのかが、よく分かるというものだ。


『まあ、敵さんもよく頑張った方じゃね? 具体的には、小説1話3000文字分くらいは粘ったと思うぞ?』

『1行で"倒された"と処理されるよりはマシだな』

『それを言うなら、コマとコマの間で倒された某ハジ◯漫画の敵よりはマシだろ』

『某ハ◯ケ漫画て、そんなの1つしかないだろw』

『あんなブッ飛んだ漫画が2つも3つもあってたまるかw』

『でも、それっぽいノリのラブコメも最近出てきてんだよな』

『時代が追い付いたってやつか』


 おっと、視聴者の皆さんも某◯ジケ漫画の世代なんだな。俺もバッチリ読んでた世代なんだよね、あの時はだいぶ世間……というか主にP◯Aに嫌われたみたいだけど、ここ数年で急にそれ関連のイベントが開催されてたりするんだよな。

 視聴者さんの言う通り、時代がようやく追い付いたのかもしれない。今はギフトやスキルもあるし、案外そのうち某ハ◯ケ漫画の技を再現する探索者が現れるんじゃないか、とも思っている。


 ……あ、そうか。言われてみれば、そういう形でのアイデアもあるのか。1つ良いことを思い付いたし、今度試してみようかな。






「よし、第5層到着っと」

――ザァァァァ……

――チャプン……


 木の葉から(したた)り落ちる水滴が、川面に穏やかな波を起こす。穏やかに流れる川の音が響き、鬱蒼と茂る藪と木が視界を遮るさまはどこか日本の山奥のような雰囲気を感じさせる。

 ダンジョン第5層……魔の第4層を乗り越えた者だけがたどり着ける、雰囲気が大きく変わる節目の階層だ。今回のライブ配信における目標地点でもある。


「ほう、ここが第5層ですか」

「はい、先ほどまでの階層とは雰囲気が違いますでしょう?」

「そうですな」


 第4層も特殊モンスター軍団も無事にくぐり抜け、全員無傷で到着することができた。ヘルズラビット共を倒してからは、嫌な予感もすっかり消え失せ……平和 (?)なダンジョンが戻ってきたようだ。


「それでは、第5層の風景を背にエンディングシーンへ移りましょうか。こちら向きが良さそうではありませんか、岩守総理?」

「うむ、ぜひそうさせてもらおう。ちなみに、この川の水は飲めるのかね?」

「あ、それは止めた方がいいと思います。なぜかは分かりませんがお腹を壊したり、最悪は命に関わるそうなので」


 SPの人たちも、俺の言葉に同意するように頷いている。やはり飲めるか試した人がいるのだろう……。

 元々、第5層へ下りた直後の広場でエンディングシーンを配信する手筈になっていた。本来はモンスターを倒して安全を確保する予定だったが、直前まで特殊モンスターが居たからか近くに敵モンスターの気配が全く無い。そのままエンディングシーンの配信に入れそうだ。


「よし、私の役目はここまでですね。岩守総理、持永局長、祭さん、締めの挨拶はよろしくお願いしますね〜」


 3人に引き継いでから、サッとカメラの画角内から離れる。そのまま撮影班の横まで移動すると、そっと三条さんが近付いてきた。


「……お疲れ様でした、恩田さん」


 小声で三条さんが(ねぎら)いの言葉をかけてくれた。


「……三条さんもお疲れ様。なんとか無事に終わったな」

「……そうですね」

「……ワタシもいるヨ〜」

「……もちろん、ハートリーさんもお疲れ様」


 お互いに労いあいながら、祭さんと岩守総理、持永局長が並んでエンディングシーンを配信しているのを眺める。ギフトの効果範囲外に出ないよう、撮影班のやや後ろで配信の邪魔にならない場所にそっと立っている。小声になっているのは、配信に声が入らないようにするためだ。

 向こうで祭さんがハキハキと喋れば、岩守総理が楽しげに言葉を返す。持永局長は聞き役に徹しつつ、周囲へそれとなく警戒の目線を飛ばしていた。


「……岩守総理、なんだか凄くイキイキしてるな」

「……そうですね。岩守さん自身、あまり自分は政治家に向いていないと言っておられましたから。総理大臣の立場を下りることになって、肩の荷が下りたのではないかと」

「……そうなのか?」


 総理の仕事振りをそこまで詳しくは知らないが、わりとそつなくこなしていたような印象はあるんだけどな……。


「……色々とあるんですよ。岩守さんのお父様も、地元選出の国会議員さんだったそうですから」

「……なるほど、組織票とかそういうやつか」

「……端的に言いますと、そういうことです」


 どうせなら子供に支持基盤を継がせたい、と。そうして世襲議員が増えていくんだろうな……まあ、それが有能な人なら別にいいのだが。たまにとんでもないのが混ざるからなぁ。

 志のある人もちゃんといるが、ピンキリの差が本当に激しいんだよ。


「……恩田さん、ここにいたのか」

「……ああ、嘉納さん。お疲れ様でした」

「……お疲れ様です、恩田さん」

「……菅沼さんも、お疲れ様です」


 嘉納さんと菅沼さんも合流してきた。

 ……どうやら、俺に話したいことがあるらしい。


「……恩田さん、折り入って相談があるんだが。この配信が終わって地上に戻ったら、少し時間を貰えるか?」

「……いいですよ」

「……ありがとうございます」


 嘉納さんと菅沼さんから相談、か。まあ、大体の予想は付いている。

 ……試練の間については、少し時間をおいてから挑戦したいそうだからな。そうなると、用件は間違いなく……。



 ◇



「うむ、今日はありがとう。おかげで充実した時間を過ごすことができた」

「……お疲れ様でした、岩守総理」


 ライブ配信を終えた俺たちは、ひとかたまりになって会話を交わす。最初は誰もが緊張しきりだったが、2時間程度の配信の中で少しは互いに打ち解けることができたようだ。


「もうすぐ、政党の総裁選が行われる。その後しばらくしてから、国会で内閣総理大臣指名選挙が行われる。そこで私はお役御免だ。

 あとは、次の選挙で議員を辞してから……ゆっくり探索者でもやろうかね。幸い、私はとても貴重なギフトを得たようだからね」

「無理は禁物ですよ、岩守総理。なにせ、ダンジョンは危険なところですから」

「ふふ、今回の探索でそれがよく分かったとも」


 憑き物が取れたかのような表情で、岩守総理が楽しげに話している。


「これで、思い残すことは何も無くなった。地元鳥取で、私もただのおじさんに戻ろうかね。老兵は死なず、ただ消え去るのみ……」






 ……それから、しばらくして。


 とある政党の新総裁選と、内閣総理大臣指名選挙が行われた結果……日本史上初の女性総理大臣が誕生したのであった。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
ハジケてそうな漫画から何を思いついてしまったのか
時代が追いついたというか世代の人たちが企画を押し通せるようになったというか……。 私も好きだったけど「こんな漫画見てたら頭が悪くなる」に反論できる人間はあんまりいない気がする
この首相のモデルとおぼしき人物には腹に一物両手に大荷物で言いたい事が山程有るけどこの人は好人物で何より
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