表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 第五章 胸糞・・・胸糞・・・クソ!クソ!クソ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/644

ツョッカーの改造手術

 ゴリラマッチョ義男君は、「根アン♥出るタール神」のホストたちの凄惨ないじめによって死んだ――。


 義雄自身、あの時、自分は死んだと思っていた。


 だが……目を覚ましたのだ。


「ここはどこだ……?」


 目の前にはまぶしい光。

 義雄はとっさに手を掲げて光を遮ろうとした。


挿絵(By みてみん)


 ……だが、動かない。


 どうやら手首が何かで拘束されているようだ。

 いや、手首だけではない。首も足首もバンドのようなものでギュッと締めつけられている。


 バタバタと慌てふためく義雄。その頭上から、年老いた男の声が落ちてきた。


「フハハハハ……目覚めたか、本郷タケシ!」


「誰だ!? 俺は本郷タケシなどではない! 俺はヨシオだ! 人違いだ!」


 しばし無音……。

 マイクに拾われる紙をめくる音――パラパラパラ。


(おい……デスラー! こいつ、タケシじゃないぞ!)

(えっ!? ケテレツ様、誰でもいいって言ったじゃないですか!)


 そして二人の男のヒソヒソ声が筒抜けになる。


(誰でもいいのはソフィア様の餌の話だ!)

(そうだったんですかぁ……それならそうと言ってくださいよ!)

(もう手術は終わった後だ……仕方ない!)


 ケテレツと呼ばれた男が、咳払いを一つ。


「ゴホン! あー! あ……べ、別にお前の名前なんてどうでもいいんだよ!」


 ……逆ギレか。


 デスラーと呼ばれた男が、間髪入れずに合いの手を入れる。


「そうだ! ケテレツ様は、ただ単に、このシチュエーションをやってみたかっただけなのだ!」


「って、お前……俺のことアホだと思ってるだろ!」


「ケテレツ様はアホではありませんよ! 根っからのマッドサイエンティストです!」


「おっwww 分かってるじゃないかwww なら続けよう!

 ようこそヨシオ! 我が秘密結社ツョッカーのアジトへ!」


「ツョッカーだと……!? ふざけるな、俺はそんなものに――」


「遅いのだヨシオ!!

 君が意識を失っている間、我がツョッカーは、その肉体にあいた穴へ改造手術を施した。

 そう、今や君は私が作った第三世代の“融合加工人間”となったのだ!」


「融合加工人間⁉ 俺はそんなもんになった覚えはない!」


 義雄は必死に抗うが、体は動かない。


「俺は……俺は”根アン♥出るタール神”のナンバーワンになる男だ!」


「”根アン♥出るタール神”?」


 マイクの中で二人の声がハウリングする。


 ――神様なのか?

 だが、手術台のヨシオの目は黒い。どう見てもただの人間だ。


「何が神だ! このニシン野郎が!」


 怒りに任せてケテレツが怒鳴る。


「貴様のケツから凄まじい腐臭がしたせいで、ソフィア様がお前を食うのを嫌がったのだ!」


 そう――ヨシオの体は本来、ソフィアの餌になるため“人魔収容所”に運ばれたのだ。


 ソフィアは人魔管理局の局長にしてアルダインの愛人。

 権力の中枢に食い込んだ女だが、その正体は赤い目をした異形。

 常に空腹を抱え、血肉を求めていた。


 人魔収容所・貯蔵室。


 白い部屋の中央に横たわるヨシオの死体。

 ソフィアがゆっくり近づき、その体を指先でなぞる。


 確かに“ゴリラマッチョ”の名に恥じない体つき。

 舌なめずりをし、太ももからかじろうと顔を近づけた――その瞬間。


 ぷう~ん。


 ありえない臭気がソフィアの鼻を直撃した。


 ソフィアは顔をのけぞらせ、鼻をつまむ。


「これは……何の臭いだ!」


挿絵(By みてみん)


 ケテレツがヨシオの体をひっくり返し、ケツを確認する。

 すると中から、発酵しきったシュールストレミングのニシンが出てきた。


 本日の義雄君のお尻のフレーバーは、シュールストレミングだったようだ。


「臭いんだよ! このボケが!」


 とソフィアの怒りの鉄拳が義雄の顔にめりこみ、

 ミンチ状の頭が白い部屋に真っ赤な花を咲かせた。


――数時間前。


 義雄がまだ“根アン♥出るタール神”で働いていた時間帯。

 このシュールストレミングは、過去最高にウケた。


 ステージ上でケツを突き出すゴリラマッチョ義雄君。


「グレート・カブキの毒ガス噴霧!!」


 と客席へ屁をかますと、

 ケツに仕込んでいたシュールストレミングが店内を地獄に変えた。


 阿鼻叫喚。

 白目をむく客。

 泡を吹いて転がる黒服。

 もはやそこは地獄絵図。

 客たちは代金など払うことなく店から急いで飛び出していった。

「食い逃げ!」

 もはや本日の営業どころではない。

 そのため、ナンバーを冠するホストたちの売り上げはものすごいスピードで激減! 当然、義雄に対してマジ切れ100%!


「ヨシオ! マジで殺してやる!」

「今日こそは絶対に許さないからな!」


 と、かつてないほどの“反響”を見せた。


 ……そして例の路地裏の惨劇。今に至る。


 だが、そのシュールストレミングが、ここにきて義雄を救ったのだ。

 その香りによって、義雄の体はソフィアの餌とならずに済んだのである。

 まぁ、顔面はザクロみたいに潰されているが……

 すでに死体なので痛みもクソもない。

 体が残っただけマシというものだろうwww


 こうして生ゴミとして処理されるはずだった義雄の体は、

 研究材料を探していたケテレツとデスラーという、二人のマッドサイエンティストのオモチャとして回収されることとなった――。


 そして今、彼らの手によって“第三世代・融合加工人間”として改造されたのである。


 え……?

 なんで生きてんだって?


 それは……潰れた頭を別の頭に取り替えたからだよ!


 アンパンマンだって、頭を取り換えたらピンピンするだろwww


 そして、その“新しい頭”は、デスラーがツョッカー病院の地下にコレクションしていた謎のストックの中から、テキトーに選んできた一品である。


 ツョッカー病院のサンド・イィィッ!チコウ爵だって、ゾンビの癖に頭を替えたら生きてるだろうがwww

 それと同じ! おんなじ理屈! ……たぶん。


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ