店《てん》に北斗輝くとき! なんと!カメも輝く!
心配そうなクロトを見ながらタカトはニヤリ。
「いいんだよ! あのおかげで、開店、いや展開までの時間が稼げたんだからw」
「展開?」
「そう! 店に北斗輝くとき! なんと!カメも輝くのだぁぁぁ!」
自信満々のタカトに対して、当然意味不明のクロトは、「はあ?」となるwww
天ではなくて店? というか、ココは店でなく控室なんですけど……まぁ、百歩譲ってそれはヨシとしよう。
北斗ってなんやねん! もしかして北斗神拳? いやきっと北斗シイタケの事だろう。
ならば、店に輝く北斗シイタケって、あの風俗店のネオンサインの事なのだろうか?
って、クロトさん、なんで、あのお登勢の店の事を知ってるんですかww
いや、今はそんなことはどうでもいい!
だいたいそんな看板がどこにあるというのだ!
キョロキョロと電光看板を探すクロトに目に、なんと! まぶしい光が飛び込んできたではないか!
「なに!」
とっさに目を覆うクロト。
だが、こう見えてもクロトは頭の回転が速い。
だからこそ、すぐさま冷静になり指の間からあたりの状況を確認し始めたのである。
その光はクロトたちを取り囲むかのように無数の点として輝いていた。
――無数? いや、おそらくその数50にちがいない……
すぐさま状況を把握したクロトは、光の点の正体に気が付いたのだ。
それは先ほど飛び散った甲羅を持たない子亀たち。
その子亀たちが床の上で二本足で立ちながら光り輝いているのである。
しかも、その子亀たちは控室一面に散らばっていた。
――この配置……この飛び散り方……
クロトは気づいた。
――もしかして、これは夜空に浮かぶ星座なのか!
かつて聖闘士と呼ばれしものたちがいた。
ペガサス座の星矢をはじめ選ばれしものたちは、己の内なるコスモを爆発させるため守護星座の星命点をたどったという。
「ペガサス! 流星拳!」
ならば! この光り輝く点をたどっていけば、きっとペガサス! いや異なる一つの星座が浮かび上がってくるに違いない。
――その星座は!カメの星座! いや、この部屋いっぱいに広がる大きさからして、きっとガメラにちがいない!
クロトは確信した。
だが、床に立つクロトからは、その様子はハッキリと見えなかった。
その全体像を見ようと思えば高い所から一望しないといけなかったのである。
だいたい、ここは控室、そんな高い所に誰がいるというですかwww
いや、一人いたよ! 一人!
そう、デスラーである。
積み上げられた木箱の上でコンドーさんを発射し続けているデスラーからは、床に描かれた星座がよく見えていたのだ。
これでもデスラーは人間である。
人間である以上、デスラー砲の発射のたびに体力がジリジリと削られていくのだ。
かすむ視界……すでに目の前の物をはっきりの認識できなくなっていた。
度重なる発射によって砲塔を包む皮はすでにボロボロ……今ではもう、痛みすら感じられなくなっていた。
だが、ここで終わるわけにはいかない……いかないのだ!
もしここで止まってしまえば、もう、二度と届かないような気がしたのだ……
あの恋焦がれる、お登勢嬢に……
かつて繰り広げられたお登勢とのランデブーな思い出。
ホテルニューヨークを出禁になったデスラーにとって、その思い出は心のよりどころになっていた。
そんな思い出がデスラー砲を発射するたびに消えていくのである……
――年なのか?
誰しも経験があるだろう、若かりし時の聖なる妄想にはしっかりと色がついていた。
それがどうだ……年を取るごとに、まるで写真が色あせていくかのように妄想もまたかすんでいくのである……
もしかしたら、このまま消え失せてしまうのだろうか?
もしそうなれば、もうそこにあるのは一切の無、暗闇である。
言い換えるなら、それは妄想の中ですら、もう、お登勢にも会えなくなってしまうことを現していた。
そんな焦りにも似た焦燥感……それを追い払うかのように、デスラーは必死にコンドーさんをつけては外すといった刺激を繰り返していたのである。
――お登勢! お登勢! お登勢! お登勢! お登勢!
だが、限界は訪れる……
そう、デスラー砲の残弾が尽きたのだ。
それとともに、妄想の中のお登勢の姿もついに消えうせた……
――いやだぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!
デスラーは残弾がないにもかかわらず砲塔を無理やり奮い立たせる。
――もう一度お登勢に会いたい! お登勢! お登勢! お登勢!
しかし、タマタマにないものは無いのである!
そして、弾が残っていなければ、当然、我慢汁も出ないのである。
もはや、今のデスラーはただ、コンドーさんをつけては外すを繰り返すだけのむなしい存在になり果てていた。
だがそんな時、デスラーのカメが輝いたのだ!
そう! デスラーのそそり立つカメの口から、一滴のよだれが垂れおちたのである!
すでに全弾打ち尽くし、残弾が完全に尽きたものと思われていた。
にもかかわらず、デスラー砲が再び発射シーケンスを唱え始めたのである。
「タマタマ内、圧力上げろ! 非常弁全閉鎖!」
「タマタマ内、圧力上げます。非常弁全閉鎖!」
「デスラー砲への回路開け!」
「……回路開きます」
「デスラー砲内、圧力上がります!」
「白玉粒子! デスラー砲射出口へ。強制注入開始!」
「デスラー砲、安全装置解除」
「安全装置解除! セーフティーロック0 圧力発射点へ上昇中・・・あと0.2! 最終セーフティー解除。圧力、限界!」
「目標! 前方! ラブスター突入口! よくねらえ!」
カメの口がキラリと輝くと、また、デスラーも輝きを取り戻していた。
「お登勢ぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ!」
そんな咆哮とともにデスラーの最後の命が輝きを増した。
「わが命! わが精力が完全に尽きようとも! 必ずお前との間に子をなそう!」
って、はい? 聞き間違い?
……というか……この控室にはお登勢さん、いらっしゃいませんよねwwwなのに、どうやって子をなそうというのですかwww
というのも、床に描かれていたのは、ガメラではなくカメラ。
あのマリリン・モンローが『七年目の浮気』を撮影していた際に、地下鉄から吹き上げられた風によって持ち上げられたスカートを押さつけたという名シーン。
それをカメラが見事にとらえたのである。
まさに、そんなスカートを押さえつける女性の姿を、床に描かれた星座は見事にかたどっていたのである。
だが、惜しむべきは……少々画質が荒かった……だって、本来、100のドットで描くところを半分の50で描いているのだ……仕方ない。
そのせいで、本来スカートの中に描かれなければいけないパンツが描けていなかった……いや、これは、コレでいいのではないだろうかwww
だが、メインの女性の顔が全く描かれずにノッペラボウだったのだwwwwコレは、さすがにあかんやろwww
だが、高台から見るデスラーにはハッキリと見えた。
無いはずの女性の顔に、お登勢がつくるしわくちゃの笑顔が。
それはかつてホテルニューヨークで開かれたコスプレイベント。
マリリンモンローに扮したお登勢のスカートをめくるという企画に、デスラーは狂喜しながら机の下から扇風機で風をおくっていた。
というのも、一番激しくスカートをめくった者にはお登勢とのランデブー権が与えられるという企画だったのであるwww
といっても、お登勢のスカートに風を吹き込んでいる奴はデスラーぐらいしかいなかったわけでwww
だが、そのデスラーも愕然とした……というのも、めくりあがるスカートの下はパンツ……いや、鋼鉄の貞操帯だったのである。
それはデスラーに対するお登勢からの暗黙のメッセージ……もしかしたら、ランデブー拒絶の証だったのかもしれない。
しかし、今床に描かれているお登勢はどうだ。
あれほどまでに拒絶していたにもかかわらず、今はノーパンと来ているではないか!
まさに!コレこそ自分を受け入れてくれた証に違いない。
たとえ仮に、今のお登勢に魔がさしただけであったとしても、それは子供のいないデスラーにとってはラストチャンスだったのである!
それは意識が完全に混濁しているデスラーであってもすぐさま認識できた。
そう! こういう時のためにずっととっておいたのだ……
お登勢とのランデブー権……
ホテルニューヨークを出禁になって以来、もう使う事はないかと思っていた。
だが、それが今、実を結ぶのだ!
「お登勢!マガサス! 受精権!」
高速で動くデスラーの右手!
それはまるで星矢が打ち出す、いや、聖夜に打ち出された無数の白点が放射線を描くかのように飛び散っていた!
今、まさにデスラーは己が内に秘められた小宇宙!いや、小玉玉が爆発したのである。
まあ……こういうのってオスの悲しき性なのよ……女性には分からないかな……
空に舞うコンドーさんの数が一気に増えた! その数合わせて約300!
その全てがスカートの中心にむき出しとなっている卵子に向かって落ちてくるのだ。
卵子? そう、しかも、三つ子の卵子!
スカートの中心にはタカト、クロト、立花の丸い頭蓋が固まっていたのである。
そんな頭たちを、まるで受精させようとするかのようにコンドーさんたちは我先に道を急いでいた。
というのも、放出された子種たちは過酷な受精競争に打ち勝ってこそ次の世代を成しえるのである。
一回の射精で放出される精子の量は約3億個。
その中で、卵子とランデブーができるのは、たった1個だけなのだ。
これほどまでの熾烈な競争があるだろうか! そして、その競争を勝ち抜いた結果が今、この駄文を読んでいるアナタなのである!
ならば、コンドーさんたちのテンションが上がってしまうのは仕方ない……
ついには遅れて発射されたコンドーさんたちが、先発されたコンドーさんたちに追いついた。
そして、無数の精子が卵子に一斉に飛びつくがごとく、控室の空間では無数のコンドーさんたちがタカト達の丸い頭に引っ付こうとしていた!
そんな時!ついにガメラスッポンポ~ンモードが真の力を見せたのだ!
って、やっとですかwww




