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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

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――では、当のオオボラはどうなったのだろうか。

 ――では、当のオオボラはどうなったのだろうか。

 ここから先は、神の視点を持つ読者の皆さまにだけ明かされる物語である。


 話を少し遡ろう。

 そう、オオボラが小門から駆け出した、その後の出来事だ。


 小門を飛び出したオオボラは、森を抜けて小汚い町へと駆け戻った。

 一般街のはずれにある、見るからに年季の入ったアパート。

 錆びた階段を踏み鳴らすたびに、ぎしぎしと不吉な音が響く。

 窓もない薄暗い廊下の奥――そこが、オオボラの部屋だった。


 ドアを乱暴に開けると、すぐに机の上へ金貨と手紙を放り出す。

 金貨七枚が、差し込むわずかな陽光を反射してきらりと光った。


 ひび割れ、くすんだ鏡に自分の姿を映し、オオボラは髪を撫でつける。

 ――髪も服も、このままじゃマズいな……。


挿絵(By みてみん)


 誰もいないことを確認すると、手紙を机の下の木箱へと慎重に隠した。

 それから、数枚の金貨をポケットに突っ込むと、勢いよく部屋を飛び出していった。


 ……そして、しばらくして戻ってきたとき。

 薄汚れた部屋のドアを開けたオオボラの姿は、もう別人だった。


 ぴったりと身体に合ったスーツ。

 ぼさぼさだった髪は、きっちりとオールバックにまとめられている。

 清潔感すら漂うその姿は、一見すればできる男――いや、どちらかと言えば詐欺師のようでもあった。


 オオボラは箱の中にしまった手紙が無事であることを確かめると、それを胸の内ポケットに丁寧に収めた。

 静まり返った部屋を、もう一度ゆっくりと見渡す。

 部屋の中をゆっくりと見渡すオオボラ。

 ――おそらく、もうここには戻ってくることはないだろう……

 椅子の背もたれに手をかけ、名残惜しそうに指先でなぞる。

 いざ離れるとなると、不思議と胸に重さが残る。

 だが、意を決したように大きく息を吸い込むと、オオボラの足はドアへと向きを変えた。


 外に出たオオボラは、そっとドアを閉め、確実に鍵をかける。

 暗い部屋の中に背を向け、光り輝く外の世界へと歩き出した。


 むき出しの土道を踏みしめながら、オオボラは一般街の石畳へと出る。

 足取りは重いが、迷いはない。

 彼が向かうのは、近くの第六の城門ではなく、なぜか反対側――第一の城門だった。


 やがて、その門前に立つ守備兵がオオボラを呼び止めた。

「おい、ここから先は神民街だ。通行証はあるのか?」


 オオボラはちらりと兵の顔を見上げた。

 第六の守備兵とは違い、この男の目つきは悪い。

 ごろつき、チンピラ、半グレ――そんな類が鎧を着て立っていると言っても過言ではなかった。


 だが、オオボラは怯むことなく、静かに一歩踏み出す。

 そして、低く囁いた。

「こちらの通行証で、よろしいでしょうか」


 その手には、きらりと金貨が四枚。

 兵士の手を取り、その掌にすべてを握らせる。

 金の感触を確かめるように、兵士の口元がにやりと歪んだ。

 周囲をぐるりと見回したのち、彼はわざとらしく声を張り上げる。


「うむ! この通行証で問題ない! ……ただし、早めに戻るようにな!」


 この芝居がかったやり取りこそ、第一の守備兵らしい。

 第六の兵では、こうはいかない。

 秩序を捨てたごろつきの集まり――だからこそ通る抜け道があるのだ。


「ありがとうございます」


 オオボラは深々と頭を下げた。

 その目の奥には、ただならぬ光が宿っている。


 そして、顔を上げると同時に、視線をまっすぐ前へ向けた。

 そのまま、静かに、しかし確かな足取りで――

 神民街の奥へと姿を消していった。


 神民街に足を踏み入れたオオボラは、ためらうことなく王宮へと向かった。

 そこは、宰相にして第一の騎士――アルダインが住まう場所。

 白く磨かれた石畳を踏みしめながら、オオボラの影だけが長く伸びていく。


 王宮の正門前に立つと、彼は静かに守衛へ言伝を告げ、胸ポケットから一通の手紙を取り出した。

 それを両手で差し出すと、守衛は訝しげに眉をひそめながらも、無言でそれを受け取る。

 そして、面倒くさそうに扉を押し開け、王宮の中へと姿を消した。


 オオボラはその間、直立不動のまま動かない。

 風がスーツの裾を揺らすたび、彼の横顔にわずかな決意の色が浮かんだ。

 残った守衛が、その様子を不思議そうに一瞥する。――まるで、ただ者ではない気配を感じたかのように。


 やがて、先ほどの守衛が息を切らして戻ってきた。

 その顔には明らかな動揺が走っている。

 慌ただしく扉を開け放つと、緊張した声でオオボラを呼んだ。


「入れ――とのことだ!」


 その言葉を聞いた瞬間、オオボラは静かに一歩を踏み出した。

 迷いも恐れもない。

 まるで結果を知っていたかのように、落ち着いた表情で王宮の中へと足を進める。


 厚い扉の向こう――

 その先には、第一の騎士アルダインが待つ謁見の間があった。



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