エロ本の読みすぎです! 反省してください!
そんなオレテガもあきらめない。
猛烈にコウセンにアタックし続けるものの、その攻撃はけんもほろろに袖にされる。
そのようすは、まるで日の暮れた学校の体育館裏で告白するオカマのよう。
きっと、それは100%かなうことのない片思い……
どだい、オカマ嫌いのコウセンに告白する方が無理筋の話なのだ。
暗い闇の中をオレテガの長い舌が《《蛇》》のように《《ビューン》》と伸びてくる。
だが、先ほどからその攻撃は、コウセンにとって「ありがたい」と思えるほど同じ場所を狙ってくるのだ。
当然、その場所へコウセンの! いきなり平手打ち!
ハイ! シュクール! ララバイ!
ちなみにシュクールとはインドネシア語で感謝の意味だそうだ。
勉強になったかな?
こんなやり取りが、リズミカルに何度か繰り返された。
チャララ~♪
100%片思い~♪
ヘビら! びゅ~ん! そう♪
無理! 無理! ベイビ!
そんな体育館裏の告白は、一度も実ることなく失敗に終わった。
「こんなに好きなのにつれないなぁ なぁ~♪」
だが、オレテガのそんな声を最後に、先ほどまで単調だった気配が消えた。
いや、消えたというより、なんか……暗闇のいたるところから無数にオカマの気配がしはじめたのだ。
それはまるで分身しているかのよう。
――早い!
コウセンは咄嗟に緊張した。
もしかして、先ほどよりもさらに速いスピードで移動しているというのだろうか?
――右、左?
その無数のオカマの気配に、コウセンは暗闇の中で首を振る。
足元からじとぉ~っとまとわりつくように見上げてく視線?
――違う! もしかして頭の上か!
すでに、どこから攻撃してくるのかコウセンには予想がつかなかった。
――ヤバイ……
焦るコウセンの額に汗がにじむ。
少々オカマの事を見くびっていたのかもしれない。
いや、オレテガのポテンシャルがこれほどまでとは想像がつかなかったのである!
もはや、尋常ではない。
確かに今思い出すと、アイナが言っていたような気もする。
……彼がスカートをはくと、浮くように移動するの……
だが、早い! 早すぎる!
浮くように移動するというより、この気配はホバー走行に近い!
そのスピードはZAKU……いやザコとは比べ物にならないほど早い。
これは!
もしかして奴は、人型機動兵器DOーMOストーカーなのかもしれない!
「可愛いわぁ~!」
暗闇中でオレテガの声が迫りくる。
コウセンが反応するよりも早く、
オレテガのジャイアントバズーカーのような口がコウセンの左ほっぽにキスをした。
ぶちゅー♥
直撃⁉
「やめろ!」
コウセンの回転を伴った右フックがそこにあるだろうオレテガの顔めがけて撃ち出された。
だが、自分の顔のすれすれに放たれた拳は、何もない空間に風を巻き起こしただけだった。
「オホホホホ」
――何?
そこにあったはずのオレテガの存在がすでにないのである。
――どこに行った?
と思った瞬間、今度はコウセンの右ほっぺに気持ち悪い感覚が押し付けられた。
ぶちゅー♥
ガンダリウム合金のように固いコウセンの精神にヒビが入っていく。
――クソ! バカにしやって
いつの間にかオレテガがコウセンの体の反対側に移動していたのだ。
―― 一体、いつの間に!
先ほど同様に、顔の右側へと拳を繰り出すも、またもや空振り。
「オホホホホ」
だが、コウセンは、キスをされるたびに体の中の生気を持っていかれているような感覚を覚えていた。
――ヤバイ! このままでは確実に逝ってしまう!
疲れを見せはじめるコウセンは左右を警戒する。
だが、今度は頭上からコウセンのツンツルテンの頭頂部にブチュー♥
とたんに、コウセンの体が急に重くなった。
――うっ! マズい! 逝くっ!
「オホホホホ」
見えないオレテガに焦りを覚えたコウセンは、混乱のあまり辺り一面に無秩序にパンチを繰り出しはじめた。
オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!
「このカマ野郎! 俺に近寄るな!」
「オラ❤オラ❤してて可愛いわぁ!」
そんなコウセンをオレテガがバカにするかのようにケラケラ笑う。
オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!
「ヘラヘラするな! お前の方こそイッてしまえぇぇぇぇぇエ!」
だが、コウセンが打ち出す拳の弾幕は体全体を覆えない。
弾幕の隙間を掻い潜るかのように移動するオレテガの声。
「オラ❤オラ❤オラ❤オラ❤オラ❤オラ❤オフェラ❤」
がら空きとなったコウセンの下半身にブチュー❤
とどめとばかりに、ジュボジュボジュボと淫靡な音を立て始めた。
瞬間、体中の力がどっと抜けた。
天を仰ぐコウセンの白目。
「ナマステぇぇぇ~~~~~~~!」
コウセンは完全に体内の生気を持っていかれてしまったのか?
いや、持っていかれたのはセイ〇! 白い悪魔の方なのかもしれない。
って、何言わせんじゃい!
だが、腰が砕けそうなコウセンは何とか気力を振り絞る
――ヤバい! このままでは、精魂尽きてしまう。
いや、精原細胞が尽きるの間違いでは?
いやいや今のコウセンは、ガンエンとの誓言を破ろうとしていたのだ!
ガンエンと取り交わした誓言。
「奉身炎舞 は決して使ってはならぬ!」
奉身炎舞は、命を削る技。
奉身炎舞の先には死しか待っていないのである!
だが、どのみちこのままでも確実にやられる。
しかし、暗闇の中を高速移動する奴の気配は全く捕らえることができなかった。
せめて、その姿だけでもとらえることができれば……
……見えないのなら、見えるようにすればいいだけのこと!
「奉身炎舞 ! 奉ノ型! 鳥面鵠形! わが命! 全て食らい尽くせぇぇぇ!」
コウセンの拳は白い炎が揺らめく闘気をまとっていた。
いや、拳だけではない、コウセンの体そのものから白い炎が勢いよく噴き出しているではないか。
揺らめく闘気の炎に照らし出されたオカマの影。
先ほどまでコウセンのへそに顔をうずめていたオレテガが、驚くような表情で見上げていた。
うずめていたのは股間じゃなくて! へそだからね! へそ!
股間と思った人は、エロ本の読みすぎです! 反省してください!
反省!……って、筆者自身もかい! オイ!




