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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第五部 時を超えて!

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どうするよ……これ……

「で……なんで、俺が輸送業務をセにゃならんのだ!」

 揺れる荷馬車の運転席でタカトはぶつぶつと文句を言っていた。

 そう、ココは第七の騎士の門内のフィールド。

 あの巨乳をしっかりと堪能したのち、朝ごはんを食べたタカトとビン子は、座久夜さくやの命令で第七駐屯地へと物資の輸送業務に駆り出されていたのだった。


「仕方ないじゃない、タカトがお風呂場の柵を壊したんだから」

 ビン子はあきれ顔。

 だが、納得ができないタカトは腕を組んでふくれっ面。

「俺は金蔵家の恩人じゃなかったのかよ!」

座久夜さくやさんが言ってたじゃない、それとこれとは別の話だって」


 金蔵家の食堂で朝飯を食べ終わったタカトとビン子に座久夜さくやは言った。

「今日は忙しいんや。ヒマモロフの種を医療の国に輸送せなあかんし、第七駐屯地には物資を持って行かんとならん」

 顔に米粒をつけたタカトはキョトンとする。

「で?」

「いわんでもわかるやろ!」

「全然」

「要は、飯を食わせたんや! 働け! ちゅうこと事や!」

「いや……それなら戻すわ!」

 タカトは喉の奥に指を突っ込むと、えずきだした。

 オエェ! オエェ!

「こら! ぼけ! やめんか! 汚い!」

 少々涙が浮かべていたタカトの目がにやりと笑う。

「ならいいよな!」

「アホか! まだ、柵の弁償の件が残っとるわい!」

「ちっ!」

「今日はな、イサクが医療の国への護衛についとって、本当に手がたらんのや」

 そう言うと座久夜さくやはタカトに寄り添うように膝まづく。

 そして、タカトの手をやさしく取ると自分の胸にそっと押し当てた。

「だからな……お願いや。タカトさん……」

 へっ? 何? この色気?

 先ほどまでの態度とは急変した座久夜さくやの声。

 まさに大人の女性の色香を漂わせるかのようなそのしぐさ。

 タカトの目は瞬時にピンクに染まった。

「了解しました! 不肖タカト! 一意専心! 第七駐屯地の輸送業務に従事させていただきます」

 ビシッ!

 ピンと背筋を伸ばしたタカトが、おでこに手を当て敬礼を取った。

 ビシッ!

 タカトの後頭部に激痛が走ると、ピンクの記憶はそこでおぼろげとなった。


 揺れる荷馬車の運転席でその手をクンクン嗅ぐタカト。

「クソ! ついつい女の色香に惑わされてしまった。あいつもきっと誘惑チャームを使ったのに違いない!」

「そんなわけないでしょ」

「というかあの後、お前、なんかあのスイカップの姉ちゃんから何か預かっていたよな」

「あっ、これの事?」


 ビン子はカバンから一つの封書を取り出した。


「駐屯地に着いたらこれを騎士一之祐様に渡して欲しいんだって」

「俺たちは郵便配達かヨ!」

「でも、座久夜さくやさんが言うには、これが今できる恩返しだって」

「という事は、何か一之祐からもらえるのかな? 大金貨とか! ウヒヒヒ」

「いや、それはないんじゃない……お金だったら金蔵家の方がいっぱい持ってるでしょ」

「ならなんだって言うんだよ」

「分かんないわよ! 封がしてあるんだから」

「ビン子ちょっと開けてみろよ!」

「お兄ちゃん! ダメだよ! そんなことしたら母様に怒られるちゃうよ!」

 突然、タカトの後ろから幼女の声がたしなめた。


 ⁉

 えっ?


 その声に振り向いた二人の表情は固まった。

 荷台に積まれた大きな袋からちょこんと真音子が顔を出していたのだ。


 ――なんで真音子が……

 ――どうして真音子ちゃんがいるの?


 真音子はそんな二人を気にすることもなく、身を包む大きな袋から抜け出そうともがいていた。

 どうやら、この袋の中に入ってどさくさに紛れてついてきたようである。


 10台ほどの輸送隊の荷馬車は既に騎士の門内に入っている。

 今から、内地に戻るにもタカトたちだけでは心もとない。

 そう、ココは騎士の門内のフィールド。

 いかに聖人世界側のフィールドと言えども、いつ魔物が出てきてもおかしくはないのだ。

 タカトたちだけで戻って魔物にでも襲われたら、あっという間に食われてしまうことだろう。


 ――どうするよ……これ……

 ――どうもこうも、できないじゃない……

 顔面が硬直し、しゃべることすらままならないタカトとビン子は、アイコンタクトで相談しあう。

 だが、そんな二人の脳裏には、座久夜さくやが激怒する姿がハッキリの思い描かれていた。


 こんな時にイサクがいれば……

 だが、現在、真音子のお守り役であるイサクは、医療の国に向けてヒマモロフの種を輸送中である。

 いつもうるさいイサクがいないことを幸いにと、真音子は勝手についてきたようなのだ。

 袋からやっとのことで出てきた真音子はタカトとビン子の間に割り込むと運転席にちょこんと座った。



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