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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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単勝! 魔物券!

 リンはスタジアムの中に駆け込んでいくタカトを見送りながら、スタジアムの案内係に念を押す。

 タカトはミーキアン様の客人のため、勝手に食べるなと。

 案内係は、少々困った顔をした。

 レースが始まるまでは、ちゃんと身の安全を保障するが、いったんレースが始まれば、生きて帰れる保証はないと。

 リンは、すさまじい笑顔でうなずく。

「当然ですわ! バトルは正々堂々でなければいけませんわ! おホホホホホ!」


 タカトと分かれたリンとビン子とエメラルダ。

 バトルの様子を見ようとスタジアムの観客席に上っていく。

 途中、お上りさんだかバカだか分からない魔人たちが、よだれを垂らしながらリンたちに近づいてきた。

 そのたびに、リンはうっとうしそうに胸をはだけさせると、魔人たちは、いそいそと小さくなりながら離れていった。

 やはりリンの胸に記されたミーキアンの奴隷の刻印の影響力は絶大である。

 誰一人として、ミーキアンの奴隷と分かったリンたちを襲おうとしなかった。


 すでに何レースか終わった後なのだろう。

 興奮覚めあらぬ観客席にすわる三人。

 リンは隣に座る二人に尋ねた。

「どの魔物に賭けられたのですか?」


 と言うのも、この観客席に入る前に、リンが提案してきたのだ。

 せっかくだから、バトルに賭けませんか? と、

「その方が見ていても面白いかもしれませんよ」

 まぁ、ミーアの受け売りであるが、その方が、ただ単にタカトを待つよりも気がまぎれるというものだ。

 リンは、手持ちの大銅貨2枚を二人に渡した。

 大銅貨1枚は、魔物バトルの魔物券一単位の最低購入金額である。

 まぁ、ただ賭け事のあまり好きでないリンのこと。

 魔物券一つ買ったらそれで充分とでも思っているのであろう。

 もし、こんな時に賭け事大好きのミーアが側にいれば、複勝の買い方からワイドまで魔物券の買い方のレクチャーで半日熱く語られることになっただろう。

 だが、そんなことお構いなしのリンの様子は上機嫌だった。

 まだタカトのレースが始まってもないのに、さも万馬券が当たったかのようにうすら笑いを浮かべていた。


 エメラルダとビン子は嬉しそうにリンへと魔物券を見せる。

 二人ともかけたのがタカトの単勝であった。

 互いの券を見た二人の視線が嫌そうに火花を散らすと「フン!」と、そっぽを向いた。

 しかし、そこはやはり大人なのだろうか。

 エメラルダは、リンを気遣った。

「リンちゃんは、何を買ったの?」

「これですよ! シウボマ様の三頭蛇のグレストールです。この子凄いんですよ! 今のところ参加したバトルは負けなし! しかもすべてのレースで参加者皆殺しです!」

 ニコニコと答えるリン。

 えっ……負けなしの皆殺し……

 エメラルダとビン子は、お互いの顔を見合わせた。

 その表情には先ほどまでの険悪なムードなど消し飛んでいた。

 ただそこにあるのは、タカトは大丈夫なのだろうかと言う思考停止の状態だった。




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