肌を触ったのは……(2)
フン! フン! ふん!
先ほどから鼻息荒く、あたりをキョロキョロと見回すタカト君。
ディシウスの手先であったウニ女の影を、町中に探す。
しかし、簡単に見つかるわけはなく。
いら立ちが募る。
そこに、先ほど飲んだヒマモロフの油。
この興奮作用、催淫作用にて、さらに、その鼻息が荒くなっているのである。
いまや、目は血走っている。
もう、魔人の女でも構わない!
今や、タカトの目はウニ女を探すというより、ウシ女はいないのかと物色していた。
お願いすればもませてくれそうな巨乳のウシ女。
乳しぼりのバイトでも何でもやりますよ! 無料で!
それについていくリン。
だが、目の前の男にミーアが心を許すとは、どうしても思えなかった。
先ほどから肩を怒らせ辺りを見回す男は、どう見ても紳士には見えない。
この男が視線を飛ばす先には必ず女の魔人、しかも巨乳がいるのだ。
その胸をエロい目線でガン見している。
まるでその視線、目からX線でも飛ばし服を透視せんと言わんばかりにまじまじと凝視しているのだ。
……ヘンタイ……
リンは、はっと気づく。
どうして自分は今の今まで気づかなかったのだろうか。
あの堅物のミーア姉さまが、こんな男に冗談を言う理由に。
それは、この男が特別な存在になっていることに他ならないのだ。
さっきから女ばかり見つめる変態男。
まるで、性欲の塊。
どこから見ても不審者丸出し。
どう考えても、この男はミーア姉さまのタイプではない。
どちらかというと嫌悪するタイプ。いや、見ただけですぐさまボコりそうなタイプだ。
ならどうして……
もしかしたら、ミーア姉さまは、この男に襲われたとか?
ありうる……
目の前の男は、先ほどから下半身にテントを張っているのだ。
魔人だろうが人間だろうがお構いなしの様子。
色欲のモンスターそのものだ。
……不潔……
ということは、この男が嫌がるミーア姉さまを押さえつけ、服を破り無理やりに乙女の純情を奪ったのでは?
そんな……
咄嗟に両手で頬を押さえたリンの顔が熱くなる。
あぁ……ミーア姉さまは……この男に支配されたのですね。そして、無理やり繁殖の相手として選ばれて……
魔人の繁殖力は限りなく0に近い。
だが、完全に0というわけではない。
要はめちゃくちゃ数うちゃ、そのうち一発は当たるかもしれないのだ!
そのため、魔人たちの性欲は人間のものに比べて大きかった。
しかしそもそも、繁殖確率が低いのは魔人同士の事である。
そこに異種の人間がかかわると、その確率は驚くほど跳ね上がるのだ。
魔物の種類によっては高い確率で人間の女を妊娠させることができる。
また、逆もしかり。
魔人の女も、伴侶を人間の男とすれば妊娠する可能性が高まるのである。
ただ、生まれてくるのは、忌み嫌われる半魔の人間。獣人などである。
そう、アルダインの神民ジャックによって無慈悲に殺されたメルアもまた、このようにして生まれてきたのだ。




