表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

405/644

魂の融合実験(2)

 ヨメルは繭を鎮めるディシウスをみながら説明しはじめた。


「これからやることは、初めての試みじゃ。

 だから、成功するかどうかワシにもわからん。

 だが、ソフィアを救える可能性があることはないこともない」


 繭がゆっくりと沈み、筒の底についた。

 ディシウスが名残惜しそうに、筒の底を覗いている。

 緑の液体に映るディシウスの表情が、波紋によって掻き乱れる。

 まるで、それはディシウスの不安な心を現すかのようのようであった。

 ヨメルは、覗き込むディシウスを邪魔だと言わんばかりに、手で払う。

 ディシウスは、仕方なしに頭を起こす。

 それを確認したヨメルは、筒のふちから立ち上がっている蓋に手をかけて、話をつづけた。


「そもそも、ソフィアは、荒神の気を吸収し神をもとの状態にリセットする魔人じゃ。

 すなわち、ソフィアは、荒神の気を取り込むことができるということじゃ。

 これは、ほかの魔人にはできないことじゃ」


 ヨメルは上部の蓋を占めながら続けた。

 もたもたするヨメルが心配だったのか、ディシウスも蓋に手をやり手伝った。

 完全に蓋が閉まると、ヨメルは続けた。


「そこで、これからこの繭の中の荒神の体を溶かしばらばらに砕く。

 おそらく、ソフィアの体も荒神の気を吸収するために溶けかかっているだろう。

 それよりも早く荒神の体を溶かすのだ。

 溶けた荒神の体は、その気とともにソフィアの体の中にに取り込まれていくじゃろう」

「それでは、中の二つの体はドロドロの状態ではないか」

「まぁ、焦るな。ここからがわしの本領発揮じゃ。荒神の気を吸収するソフィアの体を溶けるよりも早く、再生させるのだ」

「どうやって?」

「おそらく、今のソフィアの体は、部分的に溶け始めている。

 ならば、その溶けた部分を砕いた荒神の体を使って補うのだ。

 ソフィアにくっつければ、その部品に残った荒神の気は、ソフィア自身に吸収される。

 おそらく、現状から予想しても、ソフィアの体の半分以上は入れ替えることになるだろう」

「それでソフィアは生き返るのか?」

 ディシウスの質問に、ヨメルは少し間を取った。

 そして、勿体つけるかのように、自分の顎を撫でる。

「いや、ここからが問題じゃ」

「なぜだ?」

「荒神は荒神の気をソフィアに取り込まれることによって、神としてリセットされるだろう。

 すなわち、神の存在が一時的に消えることになる。

 ということは、ソフィアの体に置きかえた神の半身も消えることになる。

 ソフィアの半身が残ったとしても、その瞬間に即死だ」

「何がいいたいのだ」

「要は、ソフィアに荒神の気を浄化させてはいかんということだ。

 いや、違うな……浄化させ続けなければいけないということだ。

 その浄化が終われば、すなわち、神の半身が消える。

 消えないためには、荒神が荒神であり続ける必要がある」

「それでは、荒神爆発が起こるのではないのか?」

「理論的には、荒神の気はソフィアに吸収され続けるため、荒神爆発は起こらず、荒神状態を維持できるはずじゃ。一方、ソフィアの体も、荒神の気を吸うことによって本来なら溶け落ちてしまうはずじゃが、不老の神の体を使うことによってその形を維持できるだろう」

「なら、それをすぐにしてくれ」

「本当にいいのか?」

「ああ、それでソフィアが死なないというのであれば!」

 ――ふっ、まぁ、この繭から出てくるのはソフィアかどうかはわからんがな

 なにせ、二つの気を融合させるのだ。

 これは、肉体の融合というより、魂の融合。

 融合したものがソフィアなのかなど、分かりはしない。

 だが、こんなに楽しいことはありはしないのも事実だ。

 ――さて、さて、何ができあがるのやら。

 ヨメルはワクワクとしながら、実験を開始した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ