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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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裏切り(7)

 一之祐は直感した。

 完全にラリってやがる!

 あの様子では……剣で切りつけたとしても、痛みは全く感じまい。

 おそらく、叩き切るだけでは、あの突撃の勢いを防ぐことは不可能だ。

 なら、力技で止めるか?

 いやぁ、まぁ、俺の剣技をもってすればできないことはないが、なんかやる気がしない。

 と言うのも、あの男魔人と女魔人のために一肌脱いでやろうと思ったとこまでは、確かにやる気はあったのだ。

 だが、迫りくる魔物たちを切り刻んでいるうちに、どいつもこいつも、もと居た方向へと帰っていきやがった。

 そして、その代わりに現れたのが、このハトネンだ。

 よりによってコイツ……

 だって、こいつと戦ってもマジで面白くないし……

 命と命をかけた戦いなんて、アホくさって鼻で笑うようなやつだし……

 本当につまらん!

 せっかくの俺の燃えあがるようなモチベーションが一気に萎えた。

 もう、店じまいでいいんじゃないかな。

 やる気が出ない!

 そう、全くやる気がない!

 今の俺は一人の力で、あんな大群を押しとどめることなど不可能! というか、やる気しない!

 と言うことで、ハイ! 閉店決定! 蛍の光!

「ハトネン! 俺は、逃げる! それじゃぁな!」

 一之祐は、きびすを返すと一目散に逃げだした。

 ――えっ⁉

 振り返ったハトネンは、逃げていく一之祐を呆然と眺めた。

 あの、喜んで戦いの中に飛び込んでくる脳筋バカが、一目散に逃げだした?

 俺の勝ち?

 俺の初勝利?

 俺の勝利だぁぁぁぁぁァァァァ!

 ………………

 …………

 ……

 いや……違うかな……

 と言うことは、どういう事?

 もしかして……

 ゆっくりと、魔物たちの方向へと視線を戻した。

 ハトネンの眼前に、白き唾液を引く魔物の牙。

「ひいぃぃ!」

 ハトネンは咄嗟に、騎士の盾を広げた。

 騎士の盾に弾き飛ばされる魔物たち。

 絶対防壁である騎士の盾の中と言う絶対安全圏にいるにもかかわらず、ハトネンは頭を抱えてうずくまり震えていた。

 裏切られた……

 やっぱりコイツらが俺のことを真剣に思う訳なんてないんだ!


「ハトネン! アリューシャの居場所を教えろ!」

 魔物の群れの中から女の怒声が響いた。

 ハトネンは、顔を上げてその声の主を確認した。

 それは、マリアナである。

 と言うことは、この魔物の襲撃もマリアナの仕業と言う事か。

「お前、裏切るとはいい度胸だな! アリューシャの事はどうでもいいのか!」

 ネタが分かれば怖くない。

 ハトネンは騎士の盾を展開しながら、高飛車に威張る。

 マリアナが、手をかざす。

 それに伴い、魔物たちが、次々とハトネンの騎士の盾に突っ込んだ。

 ブチ!

 ぶち!

 騎士の盾に突進した魔物たちの頭が嫌な音を立て、目玉やら、牙やらを秋血しぶきと共にまき散らしている。

 ラリった緑の目が、己が持つ全速力で光の壁に突っ込むのだ。

 その自らの圧力で、首が折れ、頭が砕けるのは仕方ない。

「お前が、居場所を吐くまで、全ての魔物、魔人たちを潰してやる。神民魔人どもも全てだ!」

 何だと!

 ビビる、ハトネン。

 このまま、魔物どもの攻撃を受け続けると、神民魔人の生気が尽きる。

 それどころか、神民魔人魔でも突撃させられて、魔物同様に潰されでもしたら、この門内の魔人国のフィールドが縮小してしまうではないか。

 それでは、ますます、聖人国のキーストーンの場所から遠のいてしまう。

 それは、あかんて!

 でも、ちょっと待てよ……

 あの女、すでに、聖人国の駐屯地でも神の恩恵を使っているはず。

 と言うことは、そろそろ生気切れではなかろうか?

 その証拠に、あの女の目は金色から赤色に変わっているではないか。

「ははは、やれるものならやってみろ! お前はすでに荒神化しかけているではないか!」

「なら、一緒に砕け散ろうではないか!」

 はい⁉

 ハトネンは目を丸くした。

 ちょっと待て。

 この場で、あの女が、荒神爆発を起こせば、この騎士の門内のフィールドは全て消し飛ぶ。

 おそらく、目の前の魔物も、魔人も、神民魔人も全てだ。

 ということは、神民魔人から生気で維持している、この騎士の盾も、もしかしたら消し飛ぶかもしれない。

 そうしたら……俺はどうなるの?

 いや、いや、いや、それはちょっとまずいじゃない!

「分かった! 教える! 教えるから、ちょっと落ち着け! なぁマリアナさま!」



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