表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

380/644

運命の歯車は巡りだす(3)

 そのアリューシャの能力を鑑定したミズイは、恐怖した。

 そこには、アリューシャの燃える姿。

 そして何も残らないアリューシャの未来。

 この神の恩恵は、アリューシャ自身を滅ぼす。

 ミズイはその力からアリューシャを守るためにも、森の奥で隠れて済むことを選んだのだ。

 ここでは、周りにいるのは動物と植物だけ、いかに、運命が気まぐれでも、こんな森深くにくる人間や魔人など、めったにあるわけではない。


 しかし、ある日、突然、ミズイの前からアリューシャの姿は消えた。

 いや、アリューシャ自ら姿を消したのだ。

 アリューシャの神の恩恵は、邂逅。

 マリアナとミズイの神の恩恵とは異なり、常にその力が発動している状態なのだ。

 そのため、生気の消費もミズイや、マリアナに比べると大きい。

 自分の生気の枯渇を感じたアリューシャは、ミズイやマリアナに心配をかけまいと、姿を消した。

 どこか小門をさがし、その中で、誰にも迷惑をかけずに爆発し、消えるつもりだったのだ。


 だが、マリアナは、そんなアリューシャの想いに気づいた。

 森を離れるアリューシャの後を追いかける。

 死ぬことはない、この世界のどこかには荒神の気を払ってくれる人がいると聞いたことがある。


 暗い小門の中でうずくまるアリューシャ。

 もう、自分は最後だと、膝を抱えて震えていた。

 でも、ミズイや、マリアナと過ごした生活は楽しかった。

 せめて、この記憶だけは消えないでほしい。

 せめて、姉さんたちの想いの中に生き続けたい。

 そう思っていた。


 そんな時、アリューシャの肩に誰かが手をかけた。

 ふと涙をたたえた顔を上げるアリューシャ。

 そこには、マリアナの姿。

 マリアナもまた涙をこらえて懸命に笑っていた。

 アリューシャの金色の瞳に赤みがさしている。

 荒神になるまで、そんなに時間は無いかもしれない。

 そう考えたマリアナは、アリューシャに提案する。

 「魔人国には、荒神の気を吸収して払ってくれる儀式があるんだって」

 どこの誰がやってくれるのかは知らないが、そんな噂を聞いたことがある。


 マリアナは、アリューシャの手を引き、小門を走る。

 そして、魔の融合国へと入ったのだ。

 だが、偶然とは常に幸運とは限らない。

 不幸と出会うこともまた偶然なのだ。

 本人たちの努力とは関係なしに、歯車と言うものが回りだす。

 小さな歯車が回ることによって、大きな運命と言う歯車が回るのだ。

 よろけるアリューシャを肩に抱き小門から姿を見せたマリアナの前に立っていたのは、なぜか魔人騎士のハトネンだった。

 魔の融合国に入った二人が最初に出会ったのがハトネン。

 これも神の恩恵である邂逅のなせる技なのか。

 だが、ハトネンのことなど知らないマリアナは、その前に膝まづき、荒神を払う儀式の事を尋ねた。

 それは、妹を助けたいという一心の行為であった。

 アリューシャの存在を消したりしない。

 せめて、もう一度、アリューシャとして再生させたい。

 そのためには、どうしても荒神の気を払ってもらうしかなかった。

 それができるのは、荒神を払う儀式ができる人間か魔人だけである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ