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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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運命の歯車は巡りだす(2)

「いいのか! そんな顔をして! 早くしないとお前の大切な妹のアリューシャは、荒神爆発で消えてしまうぞ!」

 ハトネンは、嬉しそうに、腹を抱えて大笑いした。

 その横で、つらそうな顔をしたソフィアが、マリアナから視線をそらした。

 妹を人質にとってのこの所業。

 ハトネンはわが主なれど、コイツはクズだ……

 だが、神民の刻印を授かった以上、それに従うのも自分の使命……

 ソフィアは、魔人であるが、人間のように義と言う感情を持ち合わせていた。

 そして、その感情は、愛と言う感情もまた、芽生えさせていた。


「約束よ! 私が、人間どもを倒せば、アリューシャの荒神の気を払ってくれるって約束よ!」

 マリアナは、厳しい目でハトネンをにらむ。

 だが、アリューシャが荒神爆発を起こしかけている今、ハトネンの命令に従わざるを得ない。


 この魔の融合国に来るほんの少し前まで、マリアナは幸せであった。

 マリアナとアリューシャとミズイの三人は、聖人国の森の中で生活していた。

 深い森の奥底で人目につかぬようにひっそりと暮らしていたのだ。

 もし、人に見つかれば、神の恩恵をもとめて列をなしてやってくる。

 だが、おいそれと、神の恩恵を人々に授ける訳にはいかない。

 神の恩恵を授ければ、その分、生気を消費する。

 神の恩恵を与える対価として命の石でも持ってきてくれれば、何とか釣り合うのであるが、なにぶん命の石は高級品。それがなければ、生気の持ち出しである。

 だが、人と言うのはわがままで、自分に対して恩恵を施さない神と分かれば、すぐに手のひらを返して、迫害の対象にしてしまう。

 邪神だなどと声を大にしてののしるのだ。

 そして、その声は人々の心に伝播し、いつしか、積怨となる。

 そう、それは、かつての原始の神であったエウアのように人々から敵視されることとなる。

 そうなる前に、また、住む場所を替えないといけない。


 特にマリアナとミズイの神の恩恵は、人々に人気であった。

 マリアナの神の恩恵は誘惑である。

 人々を魅了することができるのだ。

 妖精の蜜のような惚れ薬を使わなくとも、人を意のままに操ることができる優れもの。

 老若男女、相手を支配したいと思うものは多くいる。

 以前、どこぞの商人の娘に神の恩恵を与えたとたん、男どもを誘惑し、逆ハーレムを作ってしまったぐらいである。

 だが、神とは違い人間には、限度がる。

 一度に誘惑できる人数が限られているのだ。

 まぁ、せいぜい一度に誘惑できるのは3人がいいところだろう。

 今ではその女、おでん組などという男性アイドルユニットをプロデュースしているという噂である。


 そして、義姉のミズイの力は、鑑定だ。

 その人が持つ秘めたる力の根源を、恩恵を授かった鑑定士は見極めることができるのである。

 人と言うのは、だれしも得手不得手と言うものがあるもの。

 その得意なところ、伸びるところを指摘してもらえるというのは、やはりありがたい。

 そのため、神の恩恵を授かったものは鑑定屋を開くことで一財産を築くことが簡単にできた。

 そして、神であるミズイ本人の鑑定の力には、未来を少し変える力もある。これは、今までのお話の中で出てきたから説明は特に必要ないだろう。


 最後の末の妹のアリューシャの力は、邂逅かいこうである。

 そう、アリューシャの力は、偶然の運命を呼び寄せ出会わせる力。

 運命と運命を偶然に結びつけていく。

 この引き寄せられる運命には、幸運、不運など関係ない。

 ただ、アリューシャという小さな運命が、連鎖共鳴して、大きな運命を動かしていくのである。

 その結果がアリューシャが望むと望まざるとにかかわらず、勝手に運命どおしが絡み合っていくのだ。

 そして、その大きなうねりはアリューシャ自身を巻き込み焼き尽くす。

 


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