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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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半魔の犬(3)

 ――クソ! せめて、このガキだけでも血祭だ!

 ネコミミオッサンは、ナイフをタカトに振り下ろす。

清浄寂滅扇しょうじょうじゃくめつせん!」

 大きな声と共に、オッサンの頭上にビン子の体が舞い上がる。

 エメラルダが作ってくれたほんのわずかな隙!

 このチャンスを逃すものかと言わんばかりに、ハリセンを上段に掲げたその体が、弓の様に反り返る。

 シャツが作る隙間から可愛いおヘソが、勢いよく落下する。

 引き絞られたその体の反動を使って、両の手に持つハリセンが一気にオッサンの頭上に叩き落ちた。

 ビシッ!

 ビン子の体が吹っ飛んだ!

 タカトと違ってネコミミオッサンは暗殺者。

 オッサンの腕が、天から落ちてくるビン子の体を薙ぎ払ったのである。

 うごぉおお!

 悲鳴が上がった。

 ビン子ちゃん……うごぉおおって、オッサンじゃあるまいし!

 って、この野太い声……オッサンじゃん!

 そう、今度はネコミミオッサンが、悲鳴を上げたのだ。

 股間を押さえ前かがみで、悲痛な表情を浮かべている。

 「ふっ! 決まった! 俺の必殺技ザ・セカンド! 煩悩退散キンタマパンチ!」

 そう、タカトの腕に巻き付いていたタマが、地面に飛び降りると勢いよく跳ねた。

 そのタマの頭突きがオッサンの股間をクリーンヒット。

 あれ? これって……タカト君のパンチではなくて、タマの攻撃ですよね?

 というか、タマの頭突きって、どこが頭やねん! 全体タダの丸い塊やん!

 いやいや、それより、煩悩沢山なのは、オッサンではなくタカト君のような気がするのですが、気のせいでしょうかねぇ? 

 もう、突っ込みどころが多すぎて、突っ込みが追いつかない。


 「ビン子、大丈夫か!」

 タカトは、ビン子のもとへと駆け寄った。

 そして、ビン子を抱き寄せる。


 エメラルダもまた、タカトもとへと駆けつけた。

 そして、半魔の犬からタカトたちを守るかのように犬をにらみ身構える。

 急いでビン子が、エメラルダを制した。

「この子は大丈夫」

 釈然としないエメラルダはビン子の顔を伺った。

 だが、その表情は嘘を言っているようには見えない。

 犬もまた尻尾を嬉しそうに振っている。


 ビン子は、半魔の犬の顔に手を添える。

「あなた、この前の子犬ね。ありがとう」

 それにこたえるかのように、半魔の犬は、ビン子の顔をぺろぺろとなめた。


「なに! この犬、あの豚と戦った時の犬コロか?」

 タカトは驚き、犬を見た。

 というのも、ビン子は子犬と言うが、どう見ても子犬ではないのだ……

 既にあの母犬の大きさをはるかに超えている。

 しかも、並みのオオカミ以上の大きさになっているのだ。

 どう考えても、この短時間でここまで大きくなることは不可能だ。

 やはり『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』の影響に違いないのだ。

 そう、ビン子のオッパイは大きくできなくとも、半魔の犬は巨大にできるのだ。

 ある意味スゴイ……ビン子はやはり迷コックだった。


 半魔の犬は、タカトの顔を見上げると、片足を上げた。

「汚ねぇ!」

 タカトはとっさに飛びのいた。

 そう、半魔の犬は、タカトに向かって、ションベンを飛ばしていたのだ。

「このボケ犬! 何しやがる! 汚ねぇだろうが!」

 タカトは半魔の犬に飛びかかろうとした。

「ちょっとやめてよ!」

 ビン子がタカトを制止する。

「この子、お前が不甲斐ないからこんなことになったんだって言ってるよ!」

「俺のどこが不甲斐ないンダぁァァあ! このボケ犬ぅ!」

 下唇を突き上げるタカトが半魔の犬をにらみ中指を立てた。

 犬もまた、負けじとタカトをにらみつけている。

 まるで猿と犬。まさしく犬猿の仲である。


「えっ? なにワンちゃん……この弱虫野郎! 豚の時、漏らしてただろうが! って、えっ! タカト、あの時、漏らしてたの?」


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