オッパイこそ正義!(3)
暗殺者の体の上にのっているカエルが、ゴリッという音共に口を閉じた。
遂にカエルから解放された、暗殺者の体が、ゆっくりと後ろに倒れていった。
真っ赤な血しぶきを噴き上げながらゆっくりと。
カエルは、嬉しそうに口の中の頭を転がしていた。
まるで飴玉のようにコロコロと。
それを見た他のカエルたちが、一斉に、そのカエルに襲い掛かった。
まさに飴玉の奪い合いが始まったのである。
より強いものが、獲物を食える。
カエルたちは、自分が一番強いと言わんばかりに、互いに互いを襲いだす。
小門から、ネコミミのオッサンともう一人の暗殺者が姿を現した。
目の前には、首がなくなった仲間。
その前には、カエルたちが群がった大きな球が出来上がっていた。
ネコミミのオッサンは、瞬時に周囲を観察する。
魔の国に入ったとたん魔物と出くわすとは、ついてない。
と言うことは、エメラルダもすでに魔物の餌食になった後なのか?
残念そうな表情を浮かべるおっさんの耳に、風切り音が響く。
咄嗟に身をかわすネコミミのオッサン。
顔をかすめて何かが飛んだ。
頬には一筋の赤い傷が浮かび上がってきた。
オッサンは振り返る。
岩壁に、光の矢が突き刺さっているではないか。
この矢が来たであろう方向を、瞬時に睨む。
その先には、エメラルダの姿が映った。
生きていた!
というか、なんで元気やねん!
ネコミミオッサンは、確かにエメラルダの腕をナイフで切り裂いた。
ということは、確実にあの女の体内には毒が入っているはずだ。
この毒は、体の力を奪い去り、確実に動きを止める。
放っておけば、横隔膜の力も失われていく。
徐々に呼吸が細くなる。
真綿で首を締めるが如く、動かぬ体が酸素を求めてもがき苦しむ。
だが、なかなか死には至らない。
その苦痛の表情が、一興なのだ。
だから、ネコミミオッサンは、この毒が大好きなのである。
解毒の薬でもない限り、この毒からは逃れられないはずなのだ。
それが、目の前でピンピンと元気に、弓を引いているのである。
ありえへーん!
まぁ、相手が不老不死の騎士ならば、神民たちの生気を使い、回復したのかもしれないが、エメラルダはもう、騎士ではないのだ。
解毒剤も、その辺の薬草で代用できるようなものではない。
ネコミミのオッサンは、懐の中の小瓶を確認した。
解毒剤は確かにココにある。
と言うことは、勝手に治ったのか?
絶対にありえへーん!
だが、エメラルダの体から毒がなくなっているのは事実であった。
ネコミミのオッサンが絶対の自信を持つほどの猛毒である。
それがなぜ。
えっ?
簡単じゃん!
それは、エメラルダのおっぱいだ!




