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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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隣あう二つの死(4)

 ビィィィィイィイイイィィィ!

 魔血ユニットが最後の警告音を上げた。


 ついに動いた。

 しかし、動いたのはヨークではなかった。

 それを合図にするかのように、ネコミミのオッサンたちが、一瞬早く、ヨークに向かって突進した。

 咄嗟に、ヨークは、足を出す。

 暗殺者を通すまいと、懸命に体を動かした。

 だが、瀕死のヨークの体は少し動くだけで精いっぱい。

 その横を、さっそうと駆け抜けていく暗殺者たち。

 その影を無念そうに見つめながらヨークの体が、ゆっくりと倒れていく。

 ナイフを己が胸に突き刺すためだけに残していた、力。

 その力も、とっさに足を動かすことに使ってしまった。

 もう動かない……

 もう、何も見えない……

 何も聞こえない……

 ――今、いくよ……メルア……

 ついに、ヨークの体が、地面に落ちた。

 ――ダメ……ヨーク……あなたはまだ……

 消えゆくヨークの意識の中、聞き覚えのある女の声が、かすかに聞こえた気がした。


 ビィィィィイィイイイィィィ

 魔血ユニットの警告音だけが、洞窟の中に響いていた。



 タカトはエメラルダの手を引き懸命に走っていた。

 洞窟内の岩肌は、しみ出す地下水でしっとりと濡れ、滑りやすくなっていた。

 エメラルダの足がもつれた。

 咄嗟にタカトがエメラルダの手を引っ張り、転倒するのを何とか防いだ。

 手を引かれるエメラルダは、岩肌に膝をつき、肩で息をしていた。

 先ほど、ネコミミのオッサンに切られた傷から入った毒が、全身に回ってきたのであろう。

「大丈夫?」

 そんなエメラルダの様子を心配したのか、ビン子が声をかけた。

「えぇ、大丈夫よ」

 エメラルダは、心配をかけまいと、笑顔を作る。

 タカトの手を引き、懸命に体を起こそうとするが、力が入らない。

「もしかして、エメラルダの姉ちゃん、毒に侵されたのか?」

 タカトは気づいた。

 先ほどまで元気だったのにもかかわらず、ネコミミのオッサンと遭遇してから、急に体調が悪化した。

 ここまで急激な変化は毒以外に考えられない。

 しかし、今手元に毒消しなんて持っていない。

 だが、ここで動かずにいれば、ヨークの手をすり抜けた暗殺者たちの追手が迫るかもしれない。

 一刻も早く、より遠くに逃げたい。

 タカトは、膝をつき、エメラルダに背を向けた。

「エメラルダの姉ちゃん、俺の背中にのって!」

 タカトは、エメラルダを背負って逃げようとした。

 ここで、立ち往生していても、状況は悪くなるだけ、ならば、背負ってでも歩き続ける方がまだましだ。

 エメラルダは、小さくうなずくと、タカトの背に覆いかぶさった。

 先ほどまで真剣だったタカトの目が、いやらしく歪んだ。

 ――こ! これはなんとイイ感じ!

 そう、エメラルダの巨乳が、タカトの背中に押し付けられていたのである。


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