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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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死にたがり(4)

「お前、何か勘違いしているな。駐屯地の仲間が死んだのは、エメラルダが罪人になったからじゃない、エメラルダを守ることができなかったお前のせいだよ!」

 オオボラがせせら笑う。

「どういうことだ……」

 意味が分からぬヨークはオオボラを睨み付ける。

「分からないのか。お前が、エメラルダの命を守って門内の駐屯地まで逃げ込んで籠城すれば、駐屯地の仲間たちは死なずに済んだんだよ」

「……」

 ヨークは何も言えなかった。

「魔人国と通じていようが騎士は騎士だ。刻印がはがされるまではお前たちも神民のままだ。ならば、エメラルダという騎士を守り続けていれば、門内の駐屯地は他の騎士には全く手が出なかっただろうが!」

「ぐう……だが……それでは内地に残る仲間たちは……」

「頭を使えよ。そんな状況になれば、内地に残っていれば人質だ。すぐさま皆を従えて駐屯地に逃げ込むしかないだろうが……その算段もしてなかったのかよ?」

 確かにオオボラの言うとおりである。

 エメラルダが騎士である以上、第六の聖人世界のフィールドでは不老不死の無敵なのだ。

 他の門の騎士たちが第六の駐屯地を攻めようとしても、そこは自分のフィールド外。すなわち、不老不死でなくなるのである。

 不老不死のエメラルダと不死でない騎士たち。

 その勝負の行方など簡単に想像できる。

 エメラルダの圧倒的勝利に違いないのだ。

 ならば……なぜ、エメラルダは抵抗することもなく拘束されたのだろうか?

 自分が魔の国に通じているという国家反逆の自覚があれば、おそらく、すぐさま逃げだしたはずなのに……

 まるで、そこには反逆の意思などなかったかのようだ……

 なら……なぜ、仲間たちは死ななければならなかったのだろう……

 ――やはり……コイツのいう通り……俺のせいなのか……

 ヨークは歯を噛みしめ、拳を握りしめる。

「お前が、こんなところで、女のために泣いていたから、仲間たちは犬死したんだよwww」

 もうすでにヨークは顔を上げることすらできなかった。

 いまさらながら己の愚かさをただただ悔やんでいたのだった。

「まぁ、過ぎたことは仕方ないよな。ならば、せめてメルアにいい格好みせてから死のうぜ」

「しかし、今更……」

「だが、もし、エメラルダをもう一度、救うチャンスがあるとしたらどうだ? きっと、メルアは喜ぶぞ! はれて堂々とメルアに会いに行くこともできるってもんだろ?」

「そんなチャンスがあるのか……」

「おっ! やる気になったのか?」

「ああ、どうせ死ぬつもりだったんだ。お前の言う通り一つ格好つけてから死んでやるよ! エメラルダにも一発かましてやりたかったしな!」

「そうか。なら、お前には、商人隊の道案内をしてもらおうか」

 オオボラの顔が嬉しそうに微笑んだ。

 ――これでレモノワの作戦は、面白いことになるぞ……

 しかし、その目はどこかいやらしく、何か少し気味が悪い。

「そろそろ、人魔収容所にアルテラさまを迎えに行く時間か……詳しいことは、俺の奴隷から聞いておけ!」

 オオボラはそうヨークに告げると急いで酒場を後にした。

 この時、アルテラ達がどえらい目にあっていることなどつゆ知らず。その足はうわついていた。


「ヨークの兄ちゃんじゃないか!」

 タカトは叫んだ。

「よぉ少年、第一の騎士の門以来だな!」

 迫りくる暗殺者たちをいなしながら、ヨークが答えた。

 毒が回り膝をつくエメラルダが、はっと顔を上げる。

「えっ? ヨーク? ヨークなの?」

 暗殺者たちをどつきながらヨークは振り返りもしない。

 そして、ただ、小さく呟くだけ。

「ご無沙汰しております……」

 エメラルダは、立ち上がろうと膝に力を入れるが、力が入らない。

 だが、懸命に呼びかけた。

「ヨーク! あなたも無事だったのね!」

 ヨークは何も答えない。

 ただひたすら、とびかかってくる暗殺者の前に立ちふさがり、拳を次々と繰り出していた。

 しかし、暗殺者たちに対して、決定的な一撃はいまだに届いていない。

 酒のせいなのか。

 腕が鈍ったのか。

 それとも何か他の事を考えているのだろうか。



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