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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

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プラズマジェットォォォッ!!!

 五方向からの機銃掃射。

 交錯する射線──逃げ道は、ない。

 空気に、火薬と金属の匂いが濃く満ちる。

 玄武の複合装甲に、無数の弾丸が容赦なく着弾。

 火花が散り、甲高い金属音が機体表面を震わせる。


 そもそも、高斗(タカト)が騎乗する玄武型は後方支援機。

 重火器による遠距離砲撃で敵を吹き飛ばすのが本来の役割だ。

 接近戦など、不得意中の不得意。


 対して、白虎型は汎用機。

 前線での運用を前提に設計されたタイプで俊敏性、反応速度、バランス──すべてが実戦仕様で、隙がない。

 その差は、玄武がターン入力に応じて機体を旋回しきる頃には、すでに白虎の姿は視界の外へと移動しているほど顕著に現れる。


 だが、高斗(タカト)は慌てなかった。

 いや、そもそも、白虎の性能など、高斗(タカト)自身がよく知っている。

 開発に関わったのだから、言われるまでもない。


 だが――


 今の白虎の挙動は、高斗(タカト)の知る動きではない。

 あれは、人間の限界を超えた動きだ。

 駆動リミッターを無視した挙動──操られているとしか思えない。

 となれば、相手が白虎であろうと玄武であろうと関係はない!


 しかも!

 高斗(タカト)の操る玄武は、ただの玄武ではない!!


 普通の玄武が“クサガメ”なら──

 こいつは“ガメラ”だ!!

 火だって吹ける!!!


 ……ということで──


 「プラズマ火球(ジェット)ォォォッ!!!」

 高斗(タカト)が叫び、同時にレバーを引き倒す。


 バキィィン──ッ!!

 耳障りな打撃音とともに、顎部ブロックが軸ごと下へと折れ、冷却蒸気を吹き出しながら強制的に展開。

 内部からせり出すのは、焼けただれた砲口──冷却塗料の一部が剥げ、煤の層が斑に付着している。

 ノズル周囲の耐熱ブロックには、融解痕と補修用ボルトが規則的に打ち込まれていた。

 すでに限界値を超えていると警告音が鳴るが、タカトは迷わずレバーを押し込んだ。


 直後、咆哮のごとき爆音が大気を切り裂いた。


 ズボオオオオオォォン──!!


 火の玉が、空気を押しのけながら一直線に射出される。

 周囲の酸素を巻き込み、プラズマ弾は真紅の尾を引いて一機の白虎へ突き進んだ。


 着弾。

 爆ぜる火球──


 ズガァン!!!!


 火球は一機を呑み込む!


 着弾点周囲の装甲板が膨張し、繊維構造を保ったまま炭化していく。

 表面のコーティングが剥がれ、露出した下層のチタンフレームにヒートクラックが走る。

 熱膨張に抗しきれず、関節軸が悲鳴を上げながら断裂した。

 金属が裂ける音──それは、まるで巨大な骨が折れるような響きだった。


 『ギィ……ギギギ……ッ!』


 外装が溶け崩れ、火花を散らしながら脱落していく。


 ――だが、これ程度の熱量ならば、コクピットは耐えられる。

 人型装甲騎兵に通じたタカトだからこそ、そう確信していた。


 白虎の機体がバランスを失い、膝をつく。

 そこへ玄武が突撃した。巨体に似合わぬスピードで、真正面から飛びかかる!


 ──迎撃、来る。

 残る四機の白虎型が、一斉に火線を玄武へ向けて展開!


 ──が。


 「玄武」は名のとおり、亀と蛇の合成獣。

 その本領は、まさに“守り”だ。


 ギィ……ギギギ……ッ!

 背部ランドセルから伸びた3本のアームが悲鳴を上げながら、同時に展開。

 既に魔物たちの攻撃を受けて凹んだ巨大な盾が、再び前面を覆う!


 シールドに銃弾が激突。

 鉛弾は弾かれ、装甲の縁で跳ねる。

 火花が弾け、ケーブルの一部が焼け焦げても──それでも盾は砕けない!


 この盾は高斗(タカト)がガメラの甲羅をイメージして作ったモノ! 

 製作予算をかなりオーバーして敏子が口からガメラ級に火を吹いたいわくつきの一品。

 そのため!ちょっとした機関銃などでは、まず貫けない。


 ついに、玄武の腕が白虎の腹部へと届く。

 外装の一部がわずかに沈み、隠された排出コンソールが姿を現した。


 玄武のわずかに展開した掌の装甲。

 その隙間から、蛇腹状の細いコードがするすると伸び──

 小型コンソールにぴたりと密着すると、鍵穴状の端子へとスルリと挿入された。


 ……強制排出モード動作認証中……

 センサーパネルに、次々とパスコードが浮かび上がる。

 ……パイロットID “B-072 高斗” ……認証成功。

 小さな駆動音が続き──

 ……強制排出モードへ移行します……

 まるで呼吸するかのように、コードがわずかに脈打つ。


 「コクピット排出!」

 高斗が叫ぶ。


 直後、白虎の頭部──装甲の付け根に埋め込まれた補助パネルに、鮮紅の警告文字が点滅した。


 『EJECT』


 ついでに、頭部装甲がガシュンと跳ね上がる。

 バンッ!という破裂音とともに、周囲の空気が一気に押しのけられる。

 爆ぜた風圧が、白虎の外装をビリビリと震わせた。

 ガス圧か火薬か──座席ごと、パイロットが空へと射出したのだ!


 だが、そこに人影はない。

 空になったシートだけが、宙を滑るように浮遊していた──


 だが、高斗(タカト)の目は、ある異常を見逃さなかった。

 頂点に達して、ゆるやかに落下へと転じたシート。そのすぐ後方──

 重力に引かれるように、わずかな遅れをもって浮かび上がる赤い繭。


 ぐにゃりと波打つように、その表面が粘性を帯びて溶け始める。

 ぽたり。

 そこから落ちたのは、見るも無惨な“溶けかけの腕”だった。


 ……おそらく、それは、かつて中にいたパイロットのもの。


 その瞬間、高斗(タカト)は息を呑んだ。

 同時に、前方のディスプレイを凝視し、視界の端々を再確認する。


 柱の影。ベンチの裏。通路の端。

 赤い繭──あれと同じものが、いくつも転がっている。

 今まで気づかなかったのが不思議なほどだ。


 だが、それらは微動だにせず、赤外線にも、モーションセンサーにも反応はなかった。

 間違いない。すでに“死んでいる”。


 あれは……仲間たちのなれの果てだ。


 高斗(タカト)は唇を噛みしめる。

「くそがぁぁぁぁあ……!」


 この駅のどこかに、仲間たちを“赤い繭”に変えた張本人がいる。

 ――ならば、そいつに落とし前をつけさせる!


 だが、センサーを切り替えても、ディスプレイには何の反応も現れない。

 それでも、高斗の中には確信があった。

 あれほどの死体を繭に封じ、わざわざ隠したのだ。

 見つけられぬよう、時間をかけてまで。


 ――奴は、必ず近くにいる!


 既存のセンサーで見つかるような敵なら、とっくに護衛の白虎が迎撃しているはず。

 だが、その形跡は一切ない。

 まるで気づかぬうちに、機体ごと侵食されたかのようだ。


 ――ならば、白虎に搭載されていないセンサーを使うしかない。

 玄武も基本設計は同じ──だが、唯一の例外がある。


 高斗の乗る『玄武RXバージョン5.03“改”』には、試験的にとあるセンサーが搭載されていた。

 「こんなもん、戦場でいつ使うんだよwww」

 そんなふうに、開発チームから笑い飛ばされた代物。


 だが、それを組み込んだのは他でもない高斗自身だ。

 開発期間、徹夜で三日。72時間の死闘を経て完成させたセンサーだった。

 没にするには、あまりに惜しい。


「ならば! 臭気センサーならどうだ!」

 ──そう、これは“匂い”で敵を探すための装備。

 だが、単なる体臭を感知するものではない。

 いうなれば、それは──魂のにおい!

 存在そのものを、かぎ取るのだ!

 

(って、この設計思想! まんま『美女の香りにむせカエル』じゃねえかよ!)

 ディスプレイをみるタカトは高斗(タカト)の中で声なき声で叫んだ。


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