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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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第349話 ショッピングバトル!(5)

「これなんかエメラルダさんに似合うんじゃない」

 コウエンが一つのネックレスを持ち上げた。

「いやいやこっちのほうが似合うと思うよ」

 ビン子も負けずに張り合った。金属のプレートに宝石をあしらったネックレスを掲げ押し付ける。

 それを嬉しそうに、見比べるエメラルダ。

「うーん、こっちかな」

 さんざん悩んだ末に、ビン子が手に持つネックレスへと手を伸ばした。


 それにこたえ、嬉しそうなビン子がエメラルダの首にネックレスをかけた瞬間の事であった。


 彼女たちの目の前で商品を見せていたネコミミオッサンが服の懐から短剣をさっと取り出した。

 目の前のビン子たちに向かって突きつけられる短剣。

 誰も予想していなかったその動き。

 三人の女たちなど、全くその動きが見えていなかった。

 その証拠に、いまだに笑みを浮かべている始末。


「ビン子っ!」


 タカトがとっさに、手に持つ指輪を投げつけた。

 手首のスナップを効かせて投げられた指輪が、光を引いて一直線に飛んでいく。


 ネコミミオッサンが突き出した短剣が、エメラルダの首に届こうとした瞬間、タカトの投げた指輪が、オッサンの右目にヒットする。

 さすがに、目玉は鍛えられない。

 ネコミミオッサンは反射的に目をつぶり、体をよじる。

 そのせいか、短剣はエメラルダの首をかすめ、首にかかるネックレスのひもを切り落としただけだった。

 とっさに、その動きを見たカルロスが、エメラルダの体を引き寄せる。

 落ちゆくネックレスとエメラルダの体が離れていく。

 短剣をすぐさま引き戻し、構え直したネコミミオッサンの体が、まるで猫のように己が背後へと跳ね飛んだ。


 ネックレスのプレートが地面に落ちると、高い金属音を響かせる。


 その音を合図にするかのように、コウエンとビン子の悲鳴が大空洞に響きわたった。

 その悲鳴を聞き、洞穴の中の全ての住人たちの目が、ビン子たちに集まった。


 初撃を外し、ターゲットであるエメラルダはカルロスの背に隠された。

 ココで追撃をしても無駄な事。

 後方に下がったネコミミオッサンは、冷静に判断した。

 そして自分の着ていた服を脱ぎ捨てた。

 そこには、黒ずくめの鋭い目をした小太りのオッサンの姿現れた。

 どう見ても商人の恰好ではない。

 これは暗殺者。

 でも、ネコミミは、しっかりと頭の上にのっていたけどね。

 暗殺者の手の動きが、プランBへの移行を仲間に指示した。


 その瞬間、商品を並べていた絨毯に座っていた他の商人たちもまた、さっと、着ていた服を脱ぎ捨てた。

 たちまち、十数人もの黒ずくめの男達が現れたのだ。

 そう……こレモノワが手配した暗殺者であった。



 


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