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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第三部 第一章 病院ではお静かに

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第324話

「もう許さん! 死ね! 小僧!」

 ソフィアの爪が、タカトを襲う。

 二人の間の空間を切り裂く爪が鋭くまっすぐに伸びていく。

 だが、しかし、タカトは一向に動かない。

 やっぱり動けないのか……

 タカトの左目にソフィアの爪が。

 鋭利な爪先が、左目にかかる前髪に触れた瞬間、その黒線を切り分けて、はらりと落とす。

 さらに速度を上げる爪。

 白目を貫く!

 と、思われた瞬間、タカトの姿が突然、消えた。

 ソフィアの視界からタカトの姿が、瞬時に消え去った。

 鋭い爪がタカトの左目があったであろう空間をむなしく貫いた。

 そして、それと同じくして、ソフィアが口から胃液が吐き出されていた。

 勢いよく飛びちる飛沫が黒い空間に白糸を引き、落ちていく。


 ガハァ!

 ソフィアの表情が苦痛に歪んでいた。

 崩れゆくソフィアの腹部にタカトの右ひざが突き刺さっていたのだ。

 タカトの顔をかすめたソフィアの爪が力なく落ちていく。

 ――早い……

 徐々に下がりゆくソフィアの目が、体を接するタカトを見上げた。

 ――この私よりも早いのか……

 だが、そこにさらに、追い打ちが!

 がら空きとなったソフィアの背中に、タカトが剣の束を叩き込む。

 グホォ!

 もはやソフィアの口からは悲鳴すらも聞こえてこない。

 ただ、再び、白き液体をまき散らすのみであった。

 反り返ったソフィアの体が、床に叩きつけられ、激しく跳ね返った。

 紫色の長き美しい髪が遅れながら舞い上がる。

 既に緑の瞳孔が開ききり、その瞳の輝きを失っていた。


「今だ! タカト! とどめをさせ!」

 ミズイは叫んだ!

 だが、その声は涙で打ち震えていた。

 そして、ミズイは、ソフィアから目をそらす。

 両手を固く握りしめ、目をつぶる。

 マリアナの最後を見るのは嫌だ……


「へっ?」

 だが、タカトから返ってきた言葉は、間の抜けた返事。


 !?

 咄嗟にミズイは、タカトを確認した。

 そこには、剣を両手で持って、へっぴり腰で震えるタカトがいた。

 いつものタカトだ。

 もしかして、コイツ、正気に戻ると戦えないとか……

 だが、そんなことはどうでもいい。

 もはやソフィアは、今、タカトの足元でのびているのである。

「タカト! その剣で、ソフィアの胸を突き刺せ!」


「えっ! 俺が!」

「お前しかおるまいが!」

「えぇぇぇえ!」

「ビン子に手をかけた張本人ぞ! やれぇぇえぇ!」

 タカトは、剣を逆手に持って振り上げた。

 しかし、頭上に掲げられた剣は、そこでまた動きを止めた。

 ソフィアの胸先を指し示す剣先が小刻みに揺れている。



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