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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第二部  第五章 神民病院へご入院

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ミッション・ビンボッシッブル(2)

 タカトは、袋をガバッと広げると、中に手を突っ込んだ。

 ビン子もまた、自分の袋に手を突っ込んでいる。


「何が出るかな? 何が出るかな?」

「タララらッタン・タラララ!」


 タカトの手には、ケチャップが大量に付いたオムライスの卵焼きが握られていた。

 ビン子の手には、野菜の千切りが絡まった唐揚げが握られていた。


「あぁーーー。俺、そっちの唐揚げの方がいいなぁ」

「残念でした。これは私のでーす」


 ビン子はから揚げにかじりつく。

 仕方なく、タカトは卵焼きを口に入れた。


 次々に袋に手を入れて、中の食料に食らいつく二人。

 その手と顔には、赤い飯粒が大量についていた。


「今日も、腹いっぱい食ったな」

「タカトに出されるご飯だけじゃ足りないものね」

「だろう、でも、こんなに残しやがって」

「こんなにおいしいのに、どうしてなんだろうね……もったいないね」

「だいたい、神民たちは贅沢なんだよ」

「スラムには、ご飯を食べれずに死んでいく子もいるのにね……」

「あいつらにとっては、所詮、スラムの事なんて、人ごとなんだよ」

「悲しいよね……」

「まぁ、俺たちにとっては、その方がいいけどな。だって、その分、食えるからありがたいし」

「そうだけど……なんだかね……」


 悲しそうな表情のビン子は袋を横に置くとスッと立ち上がった。


「おっ! ションベンか? 俺のもついでにしてきて! よろピコ!」

「何言ってんのよ! 手と顔を洗いに行くだけよ! 大体、そんなの代わりにできないでしょ!」


 プイと横を向いたビン子は、ドアを開け廊下へと出ていった。

 タカトは、小指の外側についた糊状のでんぷん質までも丁寧になめあげる。

 その様子はまるで猫が毛づくろいをしているかのようであった。


 コツコツコツ

 タカトの背後から、足音が聞こえてくる。

 ――この足音、ビン子ではないな!

 なぜなら、こんなに早く帰ってくるはずがない。

 あれだけ食ったのだから、絶対に大きい方だ!

(絶対に! 絶対に違います! ※ビン子怒りの心の言葉)


 咄嗟にタカトは、手に持つ袋をベッドの下に投げ込むと、自分の体をベッドの中へと潜り込ませた。そして、急いでシーツを頭までさっとかける。

 この足音は、きっとフジコさんだ。

 近づいたところで、いきなり顔を出して脅かしてやろうっと。

 もしかしたら、イヤァ、タカト君たらぁってな展開もあるかも。

 シーツの中のタカトの顔はにやけていた。


 病室のドアが静かに開いた。

 シーツの中に隠れるタカトの耳に、近づいてくる足音が聞こえる。

 足音はタカトのベッドの横で止まった。

 今だ!

 ぱっと、シーツから顔を出すタカト。


 がぁぁ!

 緑の目をした人の顔ほどのハエのような顔がタカトを覗いていた。


 ぴgyぁぁぁぁ!

 タカトは悲鳴とも驚きとも分からぬ言葉にならない大声をあげた。

 その声は、開いた扉から、病院中に響き渡った。

 廊下から多くの足音が駆けつけてくる。



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