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⑤俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部4章~ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編  作者: ぺんぺん草のすけ
第一部 4章 ダンジョンで裏切られたけど、俺の人生ファーストキスはババアでした!~美女の香りにむせカエル!編

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ミズイの巨乳

 その様子をじっと見つめるオオボラは、自分の腕一本を犠牲にする覚悟をしていた。

 それほどまでに、小門の所在を知ることには大きな価値があったのだ。

 だが、たとえ大金を手に入れて望む未来が開けたとしても──片腕を失えば、できることは限られる。

 いや……それでも構わないと、オオボラは腹をくくっていた。

 この世界の多くの貧しい人たちが救われるのならば、と。


 しかし、実際に犠牲になったのはタカトだった。


 大きな望みを抱くオオボラにとって、タカトが噛まれるくらいはどうということもない。

 仮にタカトが人魔症を発症しても、自分が生き残れば多くの人を救える。

 それこそが、この世界にとって最良の幸せだと信じて疑わなかった。

 そう思えばこそ、今一番危惧すべきことは、神の機嫌を損ねて“小門”の情報を得られなくなることだった。

 だからこそオオボラはためらうことなく──白目をむいて硬直するタカトをミズイの眼前へとさらに突き出す。


「それだけでよろしいのですか?」

 その声は、丁寧でありながら、どこか冷酷だった。


「ぷはぁ~! 十分じゃ。」

 口元を拭うミズイ。


 しかし、顔をあげたその姿は、先ほどまでのババアとはまるで別人だった。

「命の石とは違って、さすがに生気の直吸いは違うわい」

 言うなればアラサーのマダム、いや、美魔女そのものだ。

 イメージするなら、少し古いが『エルハザード』に登場する女王バグロムの「ディーバ」のようである。


 その変貌ぶりに、ビン子とオオボラは驚きのあまり声も出ず固まってしまった。

 仕方ない。これは仕方ない。だって……


「まぁ、今はこんなもんじゃろう」


 胸を反らせるミズイの身体には、ハリを取り戻した深い谷間がプルンと揺れていた。

 しかも、身にまとっているのは老婆の時のローブ。

 かつてくたびれた布だったローブは、今やその質量を支えきれず、縫い目が悲鳴を上げていた。


挿絵(By みてみん)


 ――ふんwww


 そんなミズイが、ビン子のまな板胸を見つめて鼻で笑う。

 まるで完全勝利を宣言するかのような、得意げな目つきで。


 その瞬間――


 ビン子の中に、激しいライバル心が火をつけられた。

 さっきまでただの老婆だと思って甘く見ていたのに、いきなり巨乳美女、大人の女にジョブチェンジしていたのだ!


 ――そんなの反則よ!


 だが、それは紛れもない事実。

 自分の格が、一気にミズイの足元まで落ちたように感じた。

 めらめらと燃え上がる闘争心――いや、嫉妬心。

 あんな巨乳をタカトが見たら、目の色をピンク色のハートに変えてしまいかねない。


 ――巨乳は敵よ! 巨乳は!

 そう、この女は敵!

 絶対悪に違いないわ!

 

 だが──ビン子の心配は的中した。

 首を噛まれて失神していたかに見えたタカトの頭が、パンッ!と勢いよく跳ね起きたのである。


 しかもその目は、目の前にそびえる巨乳をド真ん前から凝視していた。


 にやけきったタカトの顔。

 もう、その口元からはだらしなくよだれが垂れている。


「垂れ乳が見事に……膨らんだ!」


 感嘆の声と共に、ふくらみに指を伸ばしかけるタカト。

 それに気づいたのか、ミズイはわざとらしく胸をぐいっと突き出した。


「まぁ、まだこの大きさでは完ぺきとは言えんな。もう少し生気を吸えば、もうちょっとハリが戻るはずなんじゃが」


 その言葉と共に、タカトを挑発するように、谷間を見せつけるかのごとくローブの前を引っ張る。

 小さなローブからは、はち切れんばかりの肉が今にもあふれそうだ。


 その隙間に、タカトの頭がゆっくりと動き始める。

 どうやら……もはや、ミズイがさっきまでババアだったことなど記憶の彼方らしい。


 ──元がババアでも、今が巨乳美女ならそれでいいんだよ!


 しかもそれは、ただの巨乳ではない。

 立派なスイカちゃんである!

 甘く、やさしい香りがただよってくる気さえする。


 ──はっ……もしかして、このスイカちゃんが……

 俺の探し求めていた、あの“伝説のおっぱい”なんじゃないか!?


 そう、幼い頃、崖から落とされ瀕死になったタカトを救ってくれた“お姉さん”。

 そのとき、そっと頬をあたためてくれた優しいおっぱいのぬくもり。

 顔はもう覚えていない。

 だが、おっぱいの感触だけは、魂が覚えている──!

 だからこそ、触れば確実にわかると思うんだ!

 だから俺は、確かめねばならない!このおっぱいがあの時のものかをッ!!

 (絶対、下心じゃないからな!)


 ……ということで、タカトは勢いよく両手を突き出し、深々と頭を下げた。


「おっぱい揉ませてくださいッ!!」


 それを聞いたミズイは、にんまりと口元をゆがめる。


「ああ、いいぞwww 好きなだけ揉めwww」


 そう言って、タカトの手に自らの胸を近づけようとした──その時!


 ビシッ!!


 乾いた音とともに、ビン子のハリセンがタカトの後頭部めがけて――ゴルフのドライバーショットばりに鋭く振り抜かれた。

 頭部を打ち抜かれたタカトは、きれいな放物線を描いて宙を舞う。

 ……だが、少々打ち損じたか、軌道が内側に巻き込まれてスライスしていった。


「ファーーーーーーッ!」


 悲鳴なのか掛け声なのか分からぬ声を上げながら、タカトの体はそのまま森の茂みへと一直線。


 ズボォッ!!


 きれいにOB。

 まるで、池ポチャならぬ“森ポチャ”である。


 「……ちっ」

 小さく舌打ちをしたビン子。


 その苛立ちは、タカトだけに向けられたものではない。

 ミズイの方を一瞬だけ鋭く睨みつけるが、すぐにそっぽを向いた。

 ――あのババアもシバキたいけど、さすがに変身しただけではシバけないでしょうが!

 というわけで、怒りの矛先を安全かつ合法にタカトへ全力でぶつけた――というのが、今回のスイングの真相であった。

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