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第七十四話・宿泊期間


「それでお客様。今日ここにはお泊まりで来られたんですか?」


ん?お泊まりで...来られた??


ここは泊まる以外に何かあるのかな?


「なぁ、キミ。今、来られたって言ったけどさ、ここは泊まる以外に

何かがあるのかい?」


俺はちょっと疑問に思った事を、宿屋の元気な娘さんにハテナ顔で

聞いてみる。


「はい、ありますよ!あなたから見て右側をご覧下さい!」


「俺の右側......あ、何か入り口らしきものが見えるね?」


宿屋の元気な娘さんの目線の先に、俺の目線を向けてみると、そこには

暖簾の掛かった入り口と『お食事処憩い食堂』と書かれた看板が見えた。


「あそこは食堂となってございまして、この宿には泊まらずに

あの食堂だけをご利用になられるお客様も結構いらっしゃるんですよ♪」


「なるほど...そういう事か」


「それでお客様。お客様はどちらのご用で来られたのでしょうかぁ?」


宿屋の元気な娘さんがさっきと同じ元気なトーンで、そう聞いてくるので...

レンヤは「俺達は宿泊を」と答える。


「お泊まりの方ですね!ご利用まいどありでぇ~す!それでお泊まりは

今日だけですか?それとも何日かのご予定でしょうか~?」


「う~む、そうだな......」


ここまで来るのに結構てんやわんやだったから、しばらくこの町で

のんびりと過ごしてクエストとかをやっていたいなぁ。


けど、あの城から俺を捉える為、追っ手をこの町に送る可能性が

否めない。


いや、あれだけ暴れたんだ。


追っ手が来るのは決定事項だろう。


そうなってくると、この町に長居するのは面倒でリスクが高いか。


だけど、これからの事を考えると資金面が少々不安なんだよな。


戦闘、食事、休憩、そして遠くへ行く為の交通手段...等々。


だからこれらの路銀を稼ぐ為、城の連中がここに来るギリギリまで

クエストをやって、しっかり預金積み立てをしておきたい。


あいつらがこのリタイに来るとなると...


あの城からこの町に来る為にかかる時間と距離を計算するに、大体二日...

いや、三日間くらいだよな?


俺はギガン城からこのリタイの町までにかかった時間と距離を思考し、

計算する。


それにプラス、俺を掴まえる為の準備期間を入れると...


最短で五日間くらいはかかるか?


この短い期間内でどれだけ遠路の資金を稼げるか、それは分からないが、

とにかく頑張ってみますかね!


俺は心の中で資金稼ぎの予定を組み立てていくと、拳をギュッと握りしめ

気合いを入れる。


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