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第二百八十八話・ヒールの魔法擬人化


「お、おい!ちょっと待つのだ、竜女よ!我々の出現を

運が悪いと言うのは些か言葉が悪いのではないかっ!」


「そうっすそうっす!失敬極まりっすっ!その言葉、

今すぐ撤回しろっす!!」


ルコールの言葉を聞き、ホノカとユキがその言葉は幾ら

なんでもヒドイぞという表情で、ルコールに対して文句を

ブーブーとこぼす。


「......ねえ、おじさん。おじさんはさ、そんな事思って

ないっすよね?」


「......思っていないよな、我が主?」


ルコールに抗議の言葉を述べた後、ホノカとユキはウルウル

瞳の上目遣いでレンヤの顔をジィーって見つめてくる。


「え!あ、ああ。も、勿論だとも!そ、そんな事は微塵も

思ってな――」


――あ、


「光が収まっていく......!」


レンヤがユキとホノカの問いに戸惑っていると、目の前の

光球が目映い大きな光を放ち、そして辺り一面をキラキラと

輝かせながら光眩い景色へと変えていく。


そして約数十秒後。


光眩く景色は一瞬でパッと消えてなくなった。


消えて無くなった光球のあった場所には、清楚で可憐な

少女......年齢がホノカやユキよりも少し高いであろう、

イエローダイヤの如き輝くつぶらな金色の瞳に、艶ある

金色の長い髪を靡かせ、その艶ある金色の長い髪には

ワンポイントのシルバークロスの髪止めを飾る少女が

佇む様に立っていた。


そして少女は静か瞳を動かし、周り一帯をキョロキョロと

見渡していく。


周りを見渡す少女の目と俺の目が合うと、少女の口角が

ニカリと吊り上がる。


そしてそれと同時に、


「ヘイ!そこのキミィ~!チャオリ~~ング♪」


少女はユキと少し雰囲気の似た口調でチャラいポーズを

ビシッと決めながら俺に向かって挨拶をしてきた。


「おんや?おやおやおや~~ん?この魔力の迸り具合?

ほほう~どうやらキミがウチのご主人様のようだねぇ♪

ゲフン、コフン!ではでは再び改めてチャオリ~ング、

ご主人様っ♪よろよろのおっとっとん~お初のお御目に

掛かりっすぅ~~ビシッと♪」


目の前の少女はコホンと咳払いをすると、訳の分からん

用語で元気いっぱいに挨拶を綴った後、軽快豪快なる

チャラいポーズを取る。


「ご、ご主人様......!?や、やっぱりキミは、ヒールの

魔法擬人...さん......?」


チャラいポーズを決めている少女に対し、俺は苦笑いと

呆けの入り混ざった表情をこぼしつつそんな疑問を投げる。


「うぉおおぉお~!?良くウチが魔法擬人だって分かり

もうしたっすねぇ~!ウチ、ビックリ桃のすけっすよ♪」


即座に自分の事をヒールの魔法擬人と見抜いたレンヤに

謎の少女...ヒールの魔法擬人がキラキラ笑顔で感心する。


「い、いや~。分かるも何も.........」


レンヤがそう言うと、目線を特訓場の外にチラッと移す。


「分かるも何もってどういう意味............あっ!」


苦笑いた表情で目線を他に移すレンヤのその目線の先に、

ヒール魔法の擬人がハテナ顔で目線を向けると、そこには

自分と同じ魔法擬人であるホノカとユキの姿が映った。


「ま、まさかヒール姉が召喚されるとは......」


「ち、また面倒な奴が......っ!」


ユキが知り合いが召喚された事で驚いた顔を見せ、

そしてホノカは気に食わないという表情で舌打ちを打つ。


「うわぁおっ!そこにいるはアイアイっちに、そっちは

フレイっちじゃなかですぁ~♪最近よく姿を消すと思っては

いたけれども、そっかそっか~なるへそ、なるへそ~。

こういう事だったんだねぇ~♪いや~お姉さん、ビックリ

桃のすけ玉手箱だよぉ~~♪」


ヒールの魔法擬人が手のひらを拳で軽くポンと叩くと、

納得したという顔でケラケラ笑う。


「しっかし、スッゴいっすねぇ~~ご主人様は!ウチら

魔法擬人を三人も召喚しちまうだなんてぇ~♪」


ヒールの魔法擬人が喜色満面の屈託ない笑顔で感心すると、

レンヤに懐に勢い良く飛び付くようにして抱きつこうとする。


が、


「待て、チャラ金髪っ!我はまだ貴様が主の魔法になる事を

認めてはおらんぞっ!!」


ホノカが形相を変えてヒールの魔法擬人の少女とレンヤの

間に割って入り、その包容を断固と阻止した。


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