表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
266/288

第二百六十六話・レンヤ、休憩する


何とかミナル達の誤解を解いたレンヤとルコールは、ミナルの案内にて

船内を歩いていた。


「ルコール様。食事をする部屋は、あそこに見える部屋にあります」


「あの部屋にあるんだね、うんわかった。そんじゃ、レンヤ。具合が無事に

回復したらこっちに来るんだよ~♪」


ミナルの案内で食事の出来る部屋に案内されたルコールは、レンヤと一時別れ、

食事の出来る部屋に駆け足で移動して行く。


「ではレンヤ様。次はレンヤ様の休憩できる部屋にご案内いたしますね」


「はい。ありがとうございます、ミナルお嬢様」


ミナルお嬢様の言葉に、俺は頭を小さくペコリと下げて感謝の言葉を返す。


「ところで...そ、その...レンヤ様......」


「ん?ミナルお嬢様?どうしたんですか、そんな改まった表情をなさって?」


「え、えっと...レ、レンヤ様は私よりも年上の様ですし。なのでそこまで

畏まった敬語でお話しにならずに、もっと砕けた口調でお話し下さっても

よろしいのですよ?」


客人で年上のレンヤに敬語を話されるのが嫌なのか、ミナルがそれとなく

敬語はいいですよと告げてくる。


「いいえ、ミナルお嬢様。ミナルお嬢様は王族の御方。そのような御方に

砕けた言葉でお話しするなんて事、以ての他で御座いますよ!」


俺は王家の人間にタメ口なんてトンでもないと、ミナルお嬢様の願いを

やんわりとお断りした。


ミナルお嬢様はそれで良くても、ここにいる他の連中はその事をどう思うか

分からんしな。


ミナルお嬢様の愛称呼びは、ここの連中も呼んでいるからまだいい。


だがしがないおっさんである俺が、王族のミナルお嬢様をタメ口呼びするのを

気にくわない連中から、ミナルお嬢様の親に告げ口でもされてみろ。


刺客が来ない新天地を求め、グランディーネに向かっているのに、刺客との

鬼ごっこ再びの可能性が起きちゃうじゃん。


な、何としてもそれだけは避けねばっ!


「......そういう訳ですので、ミナルお嬢様の申し出を却下する行為、どうか

ご容赦下さい!」


レンヤは召喚されたあの城で王族や貴族の言動や自尊心からくる行動を

腹一杯体験しているので、用心には用心をと心に刻むと、ミナルに頭を

下げて改めて謝罪する。


「そ、そんな真面目な表情で言われてしまうと、もう何も言えませんね。

わかりました。ではこの件は後程改めてという事で......お待たせしました。

この部屋が休憩所です、レンヤ様」


ミナルが残念と口にすると同時に、休憩所に辿り着いた。


「ではレンヤ様。何か要件が御座いましたら、そこの赤いスイッチ...連絡用

スイッチを押して下さい。スイッチを押された後、私か私の部下が要件を

お聞きに参りますので!」


ミナルが休憩所の部屋のテーブル上に置いてある赤いスイッチを指差し、

そう説明した後、レンヤにペコッとおじきをしてその場を去って行った。


「では、お邪魔します......」


俺はミナルお嬢様を見送った後、休憩室のドアを開けて中に入って行く。


「へぇ~中々広いじゃん。しかしくう~!やっと寝転べるぞ!」


よいしょっと!


俺は色々あって疲れた身体を休憩させるべく、ベッドに向けて勢い

良くダイブして倒れ込む。


「んじゃお休み......なさい......」


そしてそのまま瞼を静かに閉じて数分経つと、俺は爆睡する。


「......ふぬ、主は寝たようだな。コホン...で、では我も......」


レンヤが眠った事を確認したホノカは軽く咳払いをすると、レンヤの眠っている

ベッドへとソッと近づいて行く。


「おい!ちょっと、待てやっす!何をどさくさに紛れておじさんの横に寝ようと

しているんっすかぁっ!」


そんなホノカの行動にユキが目を大きく見開き喫驚すると、させるかとばかりに

ホノカの腕を素早くガッと掴む。


「ふん、何を寝惚けた事を。我は主の魔法、つまりは従者。その従者足る我が

主と床を一緒にするのに、一体どこに問題があるというのだ?」


ホノカがやれやれといった表情で首を左右に振ってそう語った後、ホノカは

馬鹿だなとユキを鼻で笑う。


「問題があるからとめているんっすよっ!おじさんは具合が悪いの!だから

邪魔をしないで大人しく寝かせてあげなさいっ!」


「う...邪魔と言われてると心外ではあるが、確かに白いのが言う様に主の

具合を悪化させる訳にはいかないか......くぅ、わかった。貴様の意見を

講じるのは遺憾で癪ではあるが.........ここは素直に身を退くか」


ユキの正論に対し、ホノカは納得いかないという表情を浮かべるものの、

ここは素直に従う事にした。


「全然素直にじゃないっすけど...まぁいいっす。ほら、ボク達もさっきの

戦いで疲れた身体の休憩しに戻るっすよ!」


ホノカの言葉に軽くイラッときたユキだったが、それを何とか抑えるとユキと

ホノカは召喚の解除を発動させ、その場からスーッと消えて居なくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ