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第二百二十四話・ルコール、手加減できず


「く...こ、これ以上やられてしまうと作戦遂行に大きな支障が...っ!

お前達!私の周りに急ぎ集まり『円周六星陣形』を組むのだっ!」


「ハッ!」


「り、了解です!」


「みんな、グラーゼ様の指示通りに陣形の位置に移動だ!」


「おう!任せろ!」


「よし、ならば俺は右側、お前は左側に移動し、後方支援の陣形を組んで

グラーゼ様をお守りするぞ!」


「勿論だ!華麗なる誇り高き紅蓮騎士団がこれ以上の失態を見せてたまるかっ!」


「さぁ小娘!この紅蓮騎士団の編み出した円周六星陣形、崩せるものならば

崩してみるのだなっ!」


グラーゼの合図とともに、部下の騎士達が各々の守護を担当をする陣へ

次々に移動をして行く。


「ふう~ん。前衛の騎士が大きな盾で防御、中衛の騎士は横からの攻撃に

剣で待ち構え、そして後方にいる連中が投げ槍の構えの陣形かぁ......」


なるほどねぇ...。


あのSランクの団長を中心に、サークル状の陣衛を作ってなるべく死角を

無くし、三百六十度のどこの角度からも防御と反撃ができるという陣形か。


「......だけど、もしその程度の陣形であたしをどうにか出来るとか思って

いるのなら、あたしも少々舐められたものだよ......ねぇええぇっ!!」


ルコールが口角をニヤリと上げると、大地を思いっきり蹴ってグラーゼ達の

陣形に突撃して行く!


「なっ!?こ、この鉄壁の前衛に向かって躊躇なく突っ込んでくるだと!?」


「あ、あいつ正気なのか!?」


「......クッ!?みんな守備のギフトを発動させるんだ!中衛もだっ!」



「おうっ!」


「分かった!」



『アイアン・シールドッ!』


『マジック・シールドッ!』


『アタック・アブソーブ・シールドッ!』


『カウンター・シールドッ!』



前衛リーダーの命を受け、他の前衛と中衛の騎士達が大きく返事を

返すと、各自シールド系のギフト技を次々と発動していく!


「ふうん。複数の防御ギフトを重ねがけかぁ~♪」



『でも無駄かな♪穿け!ドラゴン・アイズ・レェェザァァアアッ!!』



ルコールの眼光をカッと見開き、両の瞳がキランッと輝き光った瞬間、

グラーゼ達に向かって二つのレーザー砲が発射された!


「な、なんだ!?この光は!?は、早―――――グギャハ!」


「そ、そんな馬鹿な!?我ら自慢の陣形を意図も簡――――ゴフッ!」


「何故だ!?何で我らのシールド魔法が効かな―――――ゲギャッ!」


「ひ、光りが!光があぁぁあ―――――ハギャアァッ!?」


ルコールから放たれた赤いレーザーが、前衛を守護していた騎士達の

盾を魔法のシールドごとぶち抜いて貫通し、そして中衛を守護していた

騎士達にも直撃する!


「うふふ...連携が崩れちゃったね♪さぁ、もう一回だ!」


スゥゥゥゥゥ――ッ!



『纏めてぶっ飛べぇぇえええっ!連弾火炎激ぃぃぃいッ!!』



ルコールは深く息を吸って、そして大きく吐き出すと、口から数十発の

火炎弾が次々と発射されていく!


「や、やめろぉぉ――――――ギャァァァッ!」


「ぐあがが、か、身体が...身体が焼けるぅぅぅう!」


「魔法が全く機能しないだなん......ギャアァァアッ!」


「い、嫌だぁぁ!し、死にたくないぃぃ、シ、シエラァァァアアッ!」


次々と放たれる火炎弾の直撃を食らった騎士達は、身体中が一気に燃え

上がり、あっという間に黒い炭と化していった。


「あ!ヤベェ!」


ちょっとやり過ぎちゃった!?


少しの間、動けなくなるくらいのイメージでやったのに...


「はぁ。ホント、手加減って難しいなぁ......」


レンヤから出来るだけ事は荒立てるなって、口が酸っぱくなる程

言われたから、なるべく穏便に済ませたかったんだけど。


まぁ、仕方がないよね?


だって、ここで降りかかる火の粉を振り払って後顧の憂いを断って

おかなきゃ、後々面倒な事が手薬練(てぐすね)引いて待っているだろうしさ♪


「なので、きっとレンヤも許してくれるよね......うんうん♪」


ルコールはレンヤから受けていた注意ごとを、軽い言い訳染みた解釈で

誤魔化し、そして都合の良い方法へ思考を切り替えていくのだった。


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