第百九十話・ルコールは別行動
「でもあのクソ冒険者達とこの状況が、一体どう繋がりがあるって
いうのよ?」
「それはな。あいつらをボコボコに倒した後にギフト技...絶対ドロップが
発動してよ、その時にドロップしたアイテムの中に【MPポーション】が
大量にあったんだよ。てな訳で、レベルを上げたら後々便利そうなギフトの
『錬金術』、その熟練度をこれらを使って一気に上げてみようかなってさ♪」
「ふう~ん、錬金術の熟練度をねぇ~。それじゃあ、今日はクエストは
やらない方向なの?」
ルコールはクエストに行くのが楽しみだったのか、ガッカリした表情を
こぼし、再度レンヤにクエストに行くのか、行かないのかを問うが...
「悪いが今日のクエストはパスだ!」
レンヤは右手をチョップ状にして前にちょこんと出すと、ルコールに
軽く頭をペコンと下げて謝る。
「だから、もしクエストをやりたいとか、どこかに行きたいとかあるの
だったら、別に俺を気遣ったり、構ったりはしないでいいから遠慮なく
行って来てもいいからな!」
「でもなぁ~。あたしがひとりでギルドに行ったら、アホな冒険者達が
あたしに絡んできそうで、凄く面倒くさそうだしなぁ~!」
「はは...それは有り得るな。お前ってば、中身と違って見た目は完全に
か弱き少女だも―――ハッ!?下心まる出しでお前に絡んできた脳筋バカの
冒険者達が躊躇なく全力で叩きのめされた上、冒険ギルドが半壊してしまう
光景が鮮明に浮かんできやがったっ!?」
やっとランカさんの問題が一段落したというのに、またギルドをそんな
無惨な目に合わせるのは流石に忍びない。
「もしそうなってしまった場合、ギルマスの奴は正直どうでもいいけど、
ミュミュ達に申し訳が立たないな。よし...ルコール!今日の所はひとりで
クエストに行くのは止めておけ!」
「ふう、そうだね。あたしも面倒ごとに巻き込まれるのは御免被るから、
今日はクエストに行くのは断念しておくとするよ♪」
ルコールが俺の申し出受けて、それに賛同して了承する。
「うんじゃ、今日の行動は屋台通りを中心に、美味しい食べ物巡りと
洒落込みますかねぇ~♪」
そしてルコールがギルド行きを諦めると同時に、首を横にちょこんと
傾けて、本日の食べ物巡りの予定表を思考していく。
「まず、あそこの出店に行って...次にはあの露店通り......ふむ、ふむ。
そうそう...東の奥ばった通りにある屋台にはまだ一度も行った事が
なかったっけ♪確かあそこの通りには隠れた人気屋台があるって、
町をぶらついていた時に聞いたんだよねぇ。...という事なので、東通りに
行くのは決定だね♪よし!今日は大体こんな感じで攻めるとしますか♪」
ルコールがある程度、食べ物巡りの予定表を組み立てると、
「じゃあ、レンヤ。帰って来たら、錬金術の成果を見せてねぇ~!」
笑顔でレンヤにそう告げ、部屋のドアをバンと開けると、宿屋の一階へと
猛ダッシュでドタバタと降りて行った。
「やれやれ...ババアの癖に、忙しない奴だな。さて...っと!ではこちらも
こちらで始めるとしますかね。薬草の素材を右と左に置いてっと...えやっ!』
俺はルコールを見送った後、右側に薬草の素材、左側にも薬草の素材を置いて
『錬金術』を発動させていく。
すると、お互いのアイテムが光の球体に変化した瞬間、磁石がくっつく様な
勢いで重なり合い合体していく。
そして合体した光の球体がゆっくり消え、錬金術にて合体したアイテムの姿が
徐々に見えてきた。




