第百八十五話・二つの人相書き
ギルドで起こった、魔法擬人化騒動から一夜明けた次の朝。
ワイワイ...ガヤガヤ...ガヤガヤ......
「......ん?なんだ?何か中央広場の方が騒がしいけど?」
いつもの様に朝食を軽く済ませた俺とルコールは、今日も冒険ギルドに
資金と路銀を稼ぐべくクエストを求めて歩いていると、その途中にある
少し離れた場所...中央広場にてワイワイガヤガヤと騒いでいる人の声に
俺達は気づく。
こんな朝っぱらから何ごとかと、目線を中央広に場向けると、そこには
大勢の人だかりができていた。
「何か人が大勢集まっているね?」
「何だろうな、あれ?こんな朝早くから何をしにあんな沢山の人が広場に
集まっているんだろう?」
「さぁ~?それを確認する為にも、あたし達も中央広場に行って見ようか♪」
「ちょ!?そんなに引っ張るなって!や、破ける、服が破けるからぁ~~っ!」
好奇心旺盛な表情のルコールがレンヤの袖をギュッと強く掴むと、人だかりの
できている中央広場へ強引に連れて行く。
そてから俺とはルコールは、人だかりの中心で何をやっているのかと、
最後列から覗き見ると、そこには如何にも貴族って感じの小太り中年が
立っていた。
そしてその横には二つの看板がらしきものがあり、その看板には人相書きが
それぞれ貼ってあった。
「え~こほん!この場に集まりしリタイの町の諸君!この看板に貼ってある
二人の人相書きに注目してくれっ!」
小太りの中年貴族が横にある看板に手を持っていき、そこに書いてある
人相書きに注目させる。
「もしこの人相書きと同じ人物を発見したら、このリタイの町に滞在している
ギガン城の兵士に報告をしてくれ!もしその人物がここに書かれている人物と
合致すると判断された場合、情報提供者には報酬金貨百枚を進呈しようぞっ!」
「な、なにぃ!?き、金貨100枚だとっ!?」
「マ、マジか!たったそれだけの事で、そんなに金貨が貰えちまうのか!?」
小太り中年貴族が報酬金貨百枚を進呈すると述べた瞬間、中央広場に集まった
人々が目を見開いて、ザワザワが一層アップする。
そんな騒ぎの最中、小太り中年貴族の話は更に続けていく。
「それから目撃情報等の軽い情報でも、それが有力な情報だったと判断された
場合も、少なからず報酬金を出そうと思う!」
「おお、目撃情報にも報酬が出るのかよ!」
「よっしゃぁ!こうしちゃいらねぇな!早速、その人相書きの人物を
見つけださなきゃ!」
人だかりのひとりが腕を天に勢いよく突き上げ、そう声を荒らげると...
「うふふ。城の出す報償金かぁ...それならきっと目撃情報で貰える報償金も
期待できちゃうよね♪」
「待っていろよぉぉ~金貨百枚!俺が絶対にこいつらを見つけ出して絶対に
ゲットしてやるからなぁぁぁあ~~っ!」
「ふざけるなよ、てめぇ!それは俺のセリフだっていうの!金貨百枚か...
そいつさえ手に入れりゃ当分の間、遊んで暮らせるってもんだぜっ!」
「いやいや、貴様もふざけんじゃねぇぞ!こいつらは俺が絶対に見つけ
出してやるんだ!そして、欲しかったあの武器を買うっ!」
「ぐふふふ。金貨百枚か。これさえ...こいつさえあれば、何十年も続く
家のローンが一気に返せるぜっ!」
「金貨百枚もあれば、あの欲しかったローブも帽子も買い放題じゃん!」
中央広場の至る所で、報酬の金貨百枚ゲットのは俺だと、私だと意気込み
気合いを入れると、広場に集まっていた連中はクモの子を散らすかの様に
四方八方へ駆け出して行く。




