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第百四十七話・オリビアとシルビア


「あ!そうそう。それとな、更に追加情報を付け足すと、あいつに人族の

常識や法律は多分通じないから気をつけろよ!」


だから例え相手が貴族だろうが、王族だろうが、情けも容赦も躊躇もせず、

全力を以てして、叩きのめすだろうな......


ああ...くわばら!くわばら!


「......はぁ?人族の常識や法律が関係ない?も、もしかしてルコールの奴、

人族じゃないのか?」


「おっと、わるいがそれを俺の口から言う事はできない。これ以上の情報は

あいつのプライベートに関わってくるんで!」


俺だって、ルコールには勇者の事とか、異世界の事とかを黙っててもらってる

立場だしな。


いくら俺が幼稚でもさ、そんな不義理で恥ずかしい行為はできないよ。


それにもし、その事が原因でルコールの逆鱗に触れようものなら「俺、確実に

死ぬし......うん。言わぬが花、言わぬが花!」と、心の中で呟いた後、額から

流れ出るひと滴の冷や汗をソッと拭う。


「そ、それもそうだよな!スマン、スマン!仲間の個人情報を勝手に流したと

あっては、パートナーとして信用を失っちまうよな!わかった、めちゃくちゃ

気にはなるがよ、これ以上お前から何も詮索はせんよ!」


「そうしてくれると助かる。すまんな、ギルマス!」


俺は手のひらを縦にして、ギルマスに向かって小さく頭を下げて詫びを入れる。


「おっと、それからさっき話した事も内緒で頼むぜ。もしルコールの強さが

露呈でもしようものなら、色々と面倒くさくなる事は目に見えてくるからさ」


「実力がSSS級だもんな......あいつの強さが冒険者どもにバレちまったら、確実に

ルコール争奪戦が起きちまうだろうな......」


「もしそうなった場合、あいつがその争奪戦に我慢ができるはずもない。きっと

それを排除する行動に打って出るだろう。そしてその排除行動の巻き添えを食った

リタイの町は終焉を迎えてしまう可能性が大だ......」


「しゅ、終焉!?そ、それはマジで困る!わ、わかった!今の話は絶っ対に

口外はしねぇっ!お、女将も他言無用で頼むぜっ!」


迫りくるリタイの負の未来に、ギルマスが顔色を真っ青に変えて動揺しながら、

人差し指を口元に持っていくと、女将さんに内緒にしてくれと嘆願する。


すると、


「もちろん内緒にするから安心して♪大体、お客様の話した事をあっちこっち

軽口なんてしていちゃ、気楽に愚痴も相談も、はたまた世間話もしてはくれなく

なっちゃうもの!」


女将さんはニコリ笑顔を浮かべて、了解と小さく頷く。


「うっし!そんじゃ、レンヤ。物騒な話はそこまでにして、酒の飲み直――」


ギルマスがルコールの話はここまでだと切り替え、テーブルの上に置いていた

レンヤのお猪口にお酒を注ごうとしたその時、



ガラガラガラ...



居酒屋の出入り口の引き戸が大きな音を立て、ガラッと開いた。


「あれれ?そのツルツルピカピカ頭は、もしかしてギルマスさん?」


「え!ハッピーさん、来てんの?」


開けた引き戸の横には、おさげの女性とボブカットが似合う女性が立ており、

店の中にいたギルマスに気付き、元気いっぱいの声で話しかけてきた。


「だ、誰がツルツルピカピカ頭だぁ!それに俺をハッピーと呼ぶんじゃねぇ!

ぶっ飛ば......って、オリビアとシルビアかよ!」


「ご、ごめんなさい、ギルマスさん。つい思っていた事が口から出て――

――おっと、いけない!」


オリビアと呼ばれた女性が頭をポリポリと掻きながらギルマスに謝罪を口に

するが、思わず本音も洩らしてしまいそうになり、慌てて両手で口をパッと

塞ぐ。


「あはは、私もメンゴね。女将さんの口癖が移っちゃったみたい♪」


そしてそのオリビアの隣にいたシルビアと呼ばれた女性も、ニガ笑いを

浮かべてギルマスに謝罪をするのだった。


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