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第百五話・ミュミュの頭をソッと撫でる


「あ、あの!ま、待って下さい、レンヤ様っ!」


焦った表情を浮かべているミュミュが、ギルド内に響き渡る大きな声で、

急遽俺の事を呼び止めてくる。


「ど、どうしたんだい、ミュミュ?そんな大きな声を俺を呼び止めて?

も、もしかして、俺に何か言い忘れた事でも思い出したのかな?」


いきなり大声でミュミュから呼び止められた俺は、ビックリした表情を

見せつつ、ミュミュの方に振り返ってそう訊ねると、


「い、いいえ!そそ、そういう訳では...ないんですが...その...ですね......」


レンヤと目が合った途端、急にミュミュがモジモジとし始め、先程の威勢は

どこへと言わんばかりに、ミュミュの声はか細くなっていき口ごもる。


そして数十秒が過ぎた後、意を決したミュミュが、


「ほ、本当に...本当によろしいんですか、レンヤ様?本当に...私の担当で

クエ...ストを......」


少し声の大きさを上げてレンヤに何かを問おうとするのが、しかし最後まで

言えず、ミュミュの表情は再びドンドン暗くなっていく。


「本当によろしい?私の担当でクエストを......??」


聞こえてきたミュミュの言葉に、俺はハテナ顔で首を傾げる。


......あっ!


分かった!ミュミュのあの噂の事だな!


そんな話題がギルド内で出ていた事をふと思い出す。


「あはは。何かと思えばそんな事か。大丈夫だから心配そうな顔を

すんなって、ミュミュ。俺は噂なんぞには、全く動じもしないからさ!」


まぁちょっとだけ、ほんのちょびっとだけ、その噂を信じてしまい、

「やっぱ、他の担当でお願いします!」って嘆願しそうになったけども、

でもそれはご愛敬って事で許して。


「し、しかしですね、レンヤ様!実際、噂や偶然で片付かないくらいの

被害者が多く出ているんですよ!こ、このままクエストに赴けば、恐らく

レンヤ様達の命にも危険が及んでしまいます!だ、だか............はうっ!?」


俺はミュミュを安堵させる言葉をかけるのだが、それでも心配そうな表情を

止めてくれないので、俺はミュミュにゆっくりと近づいて行き、動揺している

心を落ち着かせる為、ミュミュの頭に手を置いてソッと優しく撫でていく。


「俺は大丈夫...大丈夫だから。そんなくだらない噂は、偶然の類いだったと

しても、意図的の類いだったとしても、全部纏めて薙ぎ倒してやるからさ。

だからミュミュ...キミはお日様笑顔で俺達を送ってくれよ。その方が俺も

嬉しいから......ねっ♪」


未だ俺の事を心配そうに見てくるミュミュに、俺はニコリと微笑む笑顔を

向けると、再びミュミュの頭を優しく撫でるのだった。


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