別のカマキリ怪人
蟷姫とは別のカマキリ怪人に遭遇し、バリバリの殺気全開で向き合ってる様子に、俺も余計な手出しはできねえと察した。これは完全にカマキリ怪人の習性ってえことだな。
さすがに蟷姫がヤベえってことになりゃ俺としても黙っちゃいられねえが、加勢もさせてもらうが、取り敢えずそれまでは様子見だ。
だから、いつでも動ける状態で待機して、観戦させてもらう。
そんな俺の前で、蟷姫とカマキリ怪人は、お互いにビリビリと痺れるような殺気を発しながら、ジリジリと、パッと見じゃ動いてるようには見えねえようなそれで間合いを図ってるのが分かる。
『こいつ、強えな』
カマキリ怪人のことはまだ蟷姫しか知らねえから実際にはどの程度のもんか俺には分からねえが、少なくとも油断していい相手とは思えねえ。
今後の対応を考えるためにも、どの程度のもんか見せてくれよ。
けど、蟷姫を見てた限り、カマキリ怪人の狩りの仕方が元々、気配を消して忍びよって確実に間合いに入ったところで必殺の一撃を食らわすってえのだったり、やっぱり気配を消して待ち受けてそれに気付いてねえ獲物が自分から間合いに入ったところで、ってえのだからか、なんとも、慎重と言うか、じれってえと言うか、正直なところ早回しで見てえと思わされるな。
それでも、蟷姫とカマキリ怪人の間じゃ、ひりつくような駆け引きが行われてるってなあすごく感じるぜ。
しかも、気が付いたらいつの間にか間合いが半分以下になってやがって、蟷姫のそれに入ったのが分かった。
そして、一瞬、蟷姫の姿を見失いかける。コマ落としみてえにとんでもねえ速さで動いてたんだ。
それに対して相手も反応して見せやがった。
そして右のカマを繰り出してきた相手に、蟷姫は体をひねってかわしつつ、左の回し蹴りを、空いた右脇腹に叩き込む。
「ガッ!?」
これには相手のカマキリ怪人が驚くのが見えた。カマキリ怪人としちゃ普通はありえねえ攻撃だったんだろう。まずはカマで相手を捉えて動きを封じ、その上で、頭突きや膝蹴りで相手を潰していく。ってのが定石みてえだったからな。
だが、蟷姫と手合わせする時の俺は、彼女にそれをさせなかった。カマで思いっきり掴まれると皮膚が裂けて酷えことになるのが分かってたからよ。
だからカマの攻撃は逸らしつつ、蹴りを主体とした攻撃や、カマが届かねえ背後に回っての絞め技、もしくは超高速の投げ技、ってえ感じのをずっと見せてきた。
その経験を活かしてるってえことか。
自分が経験した<カマキリ怪人が苦手とする攻撃>を活かしてるんだ。




