第18話 ハイエルフと買い食い
一度煽り運転野郎に絡まれた後は、問題なく移動することができた。
アルマに霧を出してもらって撒いたので、大守さんからも逃げられた。
俺達は目的のアウトレットモールに到着し――
「おおおおお! ソフトクリームがあるぞ! ナオ、食わせてくれ!」
入ったところにあるフードコートでソフトクリームを売っている店を見つけ、アルマが目をキラキラさせていた。
「お前の服を買いに来たんだぞ。買い物した後にしろよ」
「嫌だまずはソフトクリームだ! 私の胸を揉んだ件と、さっき逃げるのを手助けしてやっただろう」
「やれやれ――仕方ねえなあ。何が欲しいんだ、味の種類が結構あるぞ」
「おおおおー! そうなのか、それは素晴らしいな。まずは前食べたのと同じやつだ!」
「ああバニラな」
「他にはどんな味があるんだ?」
「えーと……? チョコにイチゴにメロンに抹茶に――マロンとか紫芋に塩キャラメル味もあるな……ほー色々だな。何種類だこれ、四十種類くらいあるか?」
「ならば全部だ! 全部食う!」
「無茶言うな三つくらいにしとけ。買い物もあるんだからな」
「むう……ではどれにするべきか――」
「一気に頼むと溶けるから、一個ずつな。まずはバニラな、食いながら次を考えろ」
「ああそうしよう♪ 早く買ってくれ!」
「へいへい――」
まずはソフトクリームのバニラを二つ買い、俺も一つ食べた。
その後アルマはチョコとイチゴのソフトクリームを食べていた。
「うん。どれも美味かったな! 買い物が終わったらまた食おう!」
「別にいいがまた腹壊すぞ」
「時間を置けば問題ないさ。私はそうヤワではない。さぁ買い物だ」
「ああ、行くか」
と言うわけで、俺達は買い物に向かおうとするが――
「ん……!? ナオあれは何だ? いい匂いがするが――?」
「ああたい焼きだな。日本じゃ結構よく見るお菓子でな」
「ニッポン?」
「この国の事だ。こっちの世界には国が二百くらいあってな」
「そんなにか!? あちらの世界よりもこちらの世界は随分大きいんだな。あちらはせいぜい二、三十じゃないか」
「そうだな。とはいえ面積的にどうかは分からねえけどな」
「まあ小難しい話はいいだろう。それよりあのたい焼きとやらを食べよう!」
「まだ食うのかよ。買い物だって言ってるだろ」
「堅い事を言うな、お前はたっぷり金を持っているんだろう?」
「持ってるがそういう事じゃねえんだよ」
と俺は言うのだが、アルマは聞かずにたい焼きの屋台のおっさんに話しかけていた。
「おい主人、そのたい焼きとやらをくれ」
「いらっしゃい! あんことカスタードとチーズがあるけど、どの味にする?」
「うむ。全部だ!」
「一個ずつでいいかい?」
「ああ。ほらナオ! 金だ金だ! 金を持っているというのはお前の数少ない美点の一つだろう?」
「ったく奢ってもらう分際で何を偉そうに――ちょっと待ってろ」
と、俺が金を出してやる。
「よし歩きながら食うぞ! さぁ買い物だ! おお、これもうまいなぁ♪」
「やれやれ……こっちの世界を満喫してるなあ、お前は」
「ああいい世界だ、便利だし食い物が美味いからな」
ようやくアルマを連れて、目的の場所に来ることができた。
レディースのショップが密集している一角だ。
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