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【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
2章:あえて言おう、桃太郎の桃を拾えるお婆さんは大物である!と
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49「神父様暗躍す2」

※2017年5月16日に34~50話の大幅変更が実施されています。ご注意ください。


「明日は授業参観日だな!」

 獣王様が嬉しそうに言います。が、私は抜け殻です。


「マイルズちゃんの学生服姿楽しみね」

 獣王様と王妃様。ポチの事を楽しみにしてください。


「明日は男装権を行使するのです!」

「なんじゃと!」

「なんですと!」

 うふふふふ。


「明日はルカスも来るのだぞ?」

「リーリス様もいらっしゃると伺ってますわ」

 驚愕の表情を浮かべるお二人。


「「仮装して大丈夫なのか?」」

 夫婦仲よさげでうらやましい限りなのです。

 ですが、大丈夫なのです!

 その後も制服の良さを語るお2人を制して私は眠りにつきました。



 翌日。

「マイルズよ、愛らしい格好をしておるのう」

「絵師。絵師はどこ!」

 浮かれる祖父と祖母。

 はい、いつもの癖で普通に女子の制服で来ました。

 うん。

 やっちまった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


とある異世界宗教の7大幹部、その1人----

 プロジェクトクラーケンは順調である。

 儂は以前『元の世界にいたころはドラゴン』に関する企み、組織内での呼称『聖竜プロジェクト』に深くかかわっておった。

 そのプロジェクトはとある協会幹部のネクロマンサーと獣人のように体を入れ替えた儂が中心となり進めておった。

 プロジェクトではゼロから竜を作り上げた。理想の聖竜を作り上げようとしていたのだ。だが結果は強度不足で一歩動かしただけで崩壊を始めた。骨の素材が自重に耐えられず崩れたのだ。考えればすぐにわかるはずの醜態をさらしてしまったのだ。

 笑い話だ。だが、莫大なコストをかけたプロジェクトの失敗は命に関わることだ。死を覚悟したのだが、儂は査問会議の瀬戸際でこちらの計画に回され、難を逃れた。

 こちらでは先日のプロジェクトで開発した技術を応用し、なんとか確保した竜の素体を元にして高度な操作技術が必要となる聖竜を作り出した。だが案の定、作り上げた聖竜とリンクする適応者探しが難航した。

 そもそも前のプロジェクトでも『適応者がほぼ存在しない』という前提があり、では『ゼロから聖竜を作成しよう』となったのだ。しかし前のプロジェクトでも一緒に進めていたネクロマンサーには秘策があったようだ。そう儂すら知らぬ特殊技能を持つ教会幹部【正義】のドゥガが適応者として参加していたのだ。

 こう言っては少々不満があるが、ドゥガのおかげで『聖竜プロジェクト』は2回目にして完成を見た。濁った眼に光が宿り我らの味方として動き出した聖竜は『壮観』の一言であった。

 故に現在、儂は獣王国での計画『クラーケン』に自信を持っていた。

 クラーケンは2回の聖竜プロジェクトで得た竜骨技術により『陸上での活動には制限があり』だが、ゼロから作成した『怪獣』と称してよいモンスターを作成できたのだ。

 くふふふふふ。人形……いや、教主の言うとおりにするのは癪だが、この混乱を教主への反抗としてやろう。

 グルンドの計画を実行する【制約】のストーカーこと【正義】に、失敗を予測して動いているであろう【希望】。奴らはバラバラに動き、そして失敗する。間違いなかろう……。教主の戦争計画はとん挫するだろう。その際に教会内部で権力闘争に大きな変化が出るだろう。儂は成功、他は失敗。楽しいではないか。

 ……という事で儂は現在クラーケンのお肌にこだわりを見せておる。獣王国を混乱させる目的であれば見た目にこだわらなければな。

 深夜の獣王都。開けた場所で認識阻害結界の元楽しい作業であった。

 しかしながら、今夜儂にはやることがあった。

 兄(部下)の内偵である。

 やつの行動がおかしいのはつかんで居る。教主より別口で任務を帯びているのであろうか……。全くあの人形、手腕だけは巧妙になりよる。目的に行きつかぬ間抜けではあるがな……。

 という事で儂はとある民間の屋根裏に潜んで居る。

 慣れたものである。


「さて、皆さんお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます」

 兄(部下)が慣れた口調で話し始める。

 その相手である出席者を見て儂は驚愕する。

 ……マナ殿。

 儂の雇い主が居た。彼女は生粋の獣人であったはず。

 しかも彼ら獣人は半精霊である。人類種の中でも神に最も近い種族がつたない人間の宗教などに傾倒するだろうか……。

 ほかにもどこかで見た顔が並ぶ……。


「本日の議題ですが……うちの妹が泳げない件についてです」

「エルルちゃん。かなづちなんですってね」

 うむ。女将よ、その情報何処から……。

「それについては、最近食の聖女様が画期的な提案をしているとか……」

「学園に通う我が娘から、有力な情報を得ています。詳細についてはこちらに……」

 懐から取り出される紙。儂からは死角で見えん……。


「ありですな……」

「ありね……」

「ありっすね……」

「ではありという事で、食の聖女様からサンプルケースには補助金を出すと言われておりますんで金銭面はご安心ください……」

 兄(部下)がそういうと皆に目くばせをして思わせぶりに笑う。

 そして儂には聞こえんが皆声をそろえて呟く。


「「「「「……全ては幼女の為に」」」」」」

 ……聞こえんかったが、何かしらの合言葉であろうか……。

 儂は気づかれないようにそっと場を離れ何食わぬ顔で帰宅した。

 これで兄(部下)が儂を裏切り、儂の苦手な水関連で何かを企んでおり、儂がここで築いた基盤が揺るがされそうだという事だけはわかった。

 ふむ。何やら面倒な気配がするわい。

 プロジェクトクラーケン。急がねばなるまい……。

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