33「なぜこうなった森の中3 タマは魚がきらい」
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※大幅見直し中【5/9】
私が留学したクラスは基礎クラスレベル4というクラスだった。
獣王国の学校は、春までに5歳になった獣王国民が入学資格を得る。
10歳までならいつでも入学可能なようです。
学年構成は基礎レベル5段階、応用レベル5段階で構成され、基本的に10年での卒業、最長で15年までになる。
1年1レベル上昇。
学校が定めた学習計画だが、稀に学習が進む児童が出てくるため年に2回、レベル検定がある。秋と春の2回だ。ちなみに秋入学だ。
ポチタマ6歳は年末に年始にかけて7歳になる、ちなみに私は先日3歳になったばかりです。
ポチ・タマは現在、基礎クラスレベル4に在籍している。本来の年齢であれば2レベルのはずだが3回のレベル検定それぞれ合格したという事にらしい。
周囲では天才児、最短卒業、とささやかれている。
天才? ポチタマが?
この説明を受けた時、同席したポチタマのドヤ顔にイラっと来ました。
だっておバカ系癒し動物ポチタマですよ?
授業についてはレベル分けされているとはいえ、全学年1クラスだと百名を超える。まるで大学の講義のような大講堂で授業が開始された。
教師は音波魔法を駆使してマイクの代わりをしています。
ちなみにこの音波魔法40年前に学校在学中の現役賢者さんが開発されたそうです。すごい人もいたものですね……。
さて初めの授業ですが、地理でした。横のポチがそっと教科書を見せてくれます。
……できたお犬様です。どや顔が無ければ完璧なお姫様です。
さらに授業内容で愕然とします。
西の漁村なのですが、漁村というより漁港、国内貿易が盛んな港湾都市なのだそうで、お魚さんの交易が盛んなようです。
………では、なぜうちの都市まで魚が来ない……。
輸送か、輸送が問題なのか?
ぐぬぬ、と思っていたら理由がわかりました……。
この獣王都で流行っていないので、それより内陸部にお魚の良さが伝わっていないのだとか……。
……なんですと!
これは一大事なのです!
ということで早速動きましょう。
「お魚嫌いです」
「中々うまいのじゃ!」
「「マイルズ様おいしいです。是非お作りなった灰色の肌の君にご挨拶を」」
タマ、ポチ、親衛隊お姉さまズ。
親衛隊お姉さまズの皆さんもう親衛隊する気ないですよね?ねえ?
お魚がピンチだ!
ということを知った私は地理の授業終了後、次の授業中を利用して権三郎に一っ走りしてもらいました。するとやはりこの獣王都広いですね。魚専門料理屋あれば魚専門の卸もありました。
『いいところを買ってきて』といったらブリっぽい魚が来ました。ブリって回遊魚だよな。そんなの釣ってこれるほど外海まで行けてるのかな……。中々漁業も興味ありますね。なんせ農業魔法に水産魔法という項目があったはずです。ワクワクしますね。
さて現在、どのような状況かというと………。
うかつでした……私の知っている魚料理ってほとんど醤油必須です。
ぎぶみー醤油!
ぐぬぬぬ。変態に聞けば出てきそうな予感がします。今度強請ってみますか……。
っで、何を作ってもらったかというと普通に『ブリのチーズ焼き』です。ケチャの在庫があったので即興で行けました。
せっかく作ったのにタマが食べようとしません。
しょうがないので目の前で見せつける様に食べてみます。
まずは軽く切ってチーズのとろ~りをアピール。ホロホロと崩れそうな白身を見せつけつつ口に入れます。ハフハフしながら味わいます。う・ま・い♪
ちらちらとタマがこちらを見ています。
もう一切れ切ってタマに見せつけます。視線が完全にこちらにあります。
『たべる?』と目で問いかけ、首を可愛らしく傾けてみます。
喉を鳴らしそうな勢いです。
フォークを『あーん』と差し出してみます。
タマが口を開きかけたので、私が美味しく頂きました。
残りもゆっくり見せつけて食べ終わると。タマのお皿を見ます。
「食べないのですか? 勿体ないのです」
『食べる!』なんて言えませんよね。今更。
「残念なのです。こんなに美味しいですのに。ああ、魚が嫌いなら、この後出てくるブリ卵のクリームパスタも駄目ですね。食感が楽しくておいしいのに残念です……」
といってヒョイっとタマのお皿をさらい。いつもの堅いパンを置く。
タマの目が悲しみに沈む。
……好き嫌いはいけないのです。反省が必要なのです。
「さて、タマ。反省しましたか?」
希望に満ちたまなざしで私を見るタマ。
私はタマの隣に座り、権三郎が持ってきた温かいお皿を差し出します。
「いただきます!」
そうです。
子供は素直がいいのです。
嫌いになるのは食べてからでいいのです。
食べず嫌いをしていると口にねじ込みますよ?お心にとめてください。
私はメインが来て楽しそうに食べるお嬢様方を見つつ想うのであった。
今度お父さんにお願いして変態王子を長期出張に出しましょう。と。そのために必要な布石も何個か打たねば。そう考えつつパスタを頂くのでした。
……何しに来た?ですって?
……お魚文化の障壁たる獣王都攻略です!
我、天命を得たりなのです!
とある獣人王女の視点――――――――――――――――――――
ふははははは……!
愉快愉快あのマイルズを嵌めてやったわ!
そしてこの映像はルカス様とリーリア様に提供される。
記録に残るという事なのじゃ。
人類初めても、2回目もどちらの記録映像も貴様の女装姿じゃ!
あー、ちょっとすっきり。……と思ったらまたお手をさせられた。
ああ、だめじゃモフりテクニックが上達しているのじゃ。
ああ、そこ、いい感じにかゆいのじゃ。
儂は留学生がゆえ教科書を持たぬマイルズに教科書を見せておる。儂気が利くおなごじゃろ?
かのマイルズは地理の時間『魚』事情を聴いて目の色を変えておる。
ああ、晩御飯はお魚じゃな。
あの、獣人の中でも食わず嫌いの多い魚をどうするのであろうかの。
儂もあの臭みが苦手じゃ。揚げたものをたまに食べるが、如何ともしがたい食材じゃ。
早速護衛の権三郎殿が居なくなった。
お昼になっても戻って来ん。授業も終わり、帰り際戻ってきた。どうやらマイルズのたくらみと関係があるようじゃ。
寄宿舎といっても貴族の子弟向けの寮じゃから結構豪華じゃが、マイルズに内部を案内して回ると料理場で料理長と話し込んでおる。……どれどれ、今晩が楽しみじゃ。
その日の晩は、魚尽くしであった。普段あまり食わぬ野菜もたらふく食わされた。
残したり食べなかったりするとタマの二の舞じゃからな。恐ろしや。
結局であるが。母上にご報告差し上げることが3つになった。
マイルズの行動と魚とケチャじゃ。
ケチャはよい交易品ですぞ、母上。
獣王国でもケチャップ有利!マヨネーズに人権は戻るのか!(すみません。書いてみたかっただけです。すみません。)





