144「祖父と初代」
「カッカッカッカッカ! やあやあ! 遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 我が名は ルカス・デ・アイノルズ! 魔導を極めし者! 自信のあるものはかかってくるが良い!!!!!!」
祖父が大音声で名乗りを上げております。
異世界航行船格納庫に響き渡っております。
もちろんこの指令室も現在は現場の画像と音声を映し出しておりますので……。
「お爺ちゃん、凄い! 声だけで建物が揺れてる!」
まぁそんな感じでミリ姉が年相応にはしゃいでおります。
しかし、そんな大音声を真横で聞いていた祖母は怒り心頭の様で、賢者の杖で祖父の頭を殴っています。流石に察して防御結界を敷いていたようですが……建物を揺らす音波ですからね……。ん? どなたか『お前も2章で音波兵器作ってたよね?』とおっしゃいました? まーちゃんが作ったのはマイクなのですよ。皆さんもお使いの、安心&安全の拡声器なのです。兵器とは違うのですよ。……使い方や威力を替えたら大体が兵器なのですがね……。
さて、祖母の方は祖父のお説教を終えたようです。
「パン田三太郎に連絡を……、あれ?届かない……」
はい。この抱っこちゃんパンダ椅子。座る人に合わせてサイズ可変! ……なので今、ミリ姉サイズとなっておりジャストサイズで押せるボタンに手が……届きません……。
「……」
「ミリ姉……、左側の赤いボタンを……」
「……」
「……」
「……」
「……はい。今度お望みの服を着ます……」
「このボタンで良いのね♪」
くっ、油断した。最近剣と鎧と脳筋PTに入れていたのでその辺りの事は忘れてしまっていると思っていたのに。
「……あ~、パン田三太郎。短距離転移でおばあちゃんをこちらに招待してあげてください」
異世界航行船格納庫に戻っていたパン田三太郎に指示が届くと、パン田三太郎はこちらに振り向き敬礼。祖母に近づいていきます。あ、モンスターに間違えられないですかね……。……どうやら大丈夫の様です。祖母と合流しこちらに短距離転移してくるようです。
「……」
パン田三太郎が祖母を連れ転移してくると、そのままパン田三太郎は戦場に戻ってゆきます。
久しぶりの祖母なのです。ミリ姉と私は椅子から立ちがると思わず祖母に向かって駆け出しました。受け止めてくれた祖母の温かさについ涙が出てきてしまいました。
久しぶりに体に引っ張られてしまいました……。





