表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
7章:宗教戦争で最も悲惨なのは宗派争い
188/205

138.5「地球帰還魔術5.5」

お待たせしました。ここのところ体調不良が続いておりました…。

『~~~~~!~~~~』

 感極まって涙を流しながら別れのスピーチをしているドゥガとそれを聞きながら涙ぐむこちらの人間達。まだお眠な私とミリ姉は椅子に乗せられたままティリスさんに窓際に連れてこられます。

 全面強化ガラスのため椅子に乗っていてもあちらから確認できたようでマザーさんが小さく手を振っています。


「ほら、彼らが出発するようですよ」

 ティリスさんに促され眠い目をこすりながら意識を半角性から各制に移行させます。

 するとドゥガ達やこちらのメンバーたちからも微笑ましいものを見たような温かい笑いが聞こえてきました。私は寝ぼけた頭を動かしながら首をかしげ、私を抱えているミリ姉を見上げると、苦々しい表情のミリ姉が居ました。


「仲の良い御兄弟ですなぁ」

 誰かがそう漏らしたのを聞いて理解しました。目をこする動きがシンクロしたのですね。しょうがないです、姉弟ですし。


『この世界の見納めとしては良いものを見た。では友よ、さらばだ! 我らこれより帰還の旅に出る!!』

 ドゥガ、マザー、そして初代様は笑みを讃えたままゆっくりと背を向け……、嫌な予感がしました。

 私は何の躊躇もなく、左手の中に持っていた緊急用コンソールを操作し、緊急停止を実行しました。


【緊急停止プログラムが発動しました。安全のため空間固定します。】

『『『!!!!』』』

「なんだ!何が起こった!!」

 ドゥガ達も制御室の皆さんも突然のことで慌てています。

 はい、私が行いました。

 そして早めに空間固定術式が完了しないかと焦っています。

 予感は球体型の空間固定術式が発動し始めタイミングで確認に変わりました。

 空気が、いえ、空間が揺れました。


「皆さん、制御端末についてください。ホールの皆さんは空間固定術式の強化を! ……30秒後、来ます!」

 空間の揺れという初めて体感するであろう異常事態と直後に激しく鳴り響いたアラートで皆さん私の言葉に従ってくれます。

 慌てた様子で半数が着席した時である。

 3分の2程度しか固定されていなかった『亜空間航行用の船』と衝撃に備え、固まるドゥガ達の間に巨大な赤黒い何かが通り過ぎる。

 それはまるで通過する電車の様な生き物だった。


「1324ブロックが不安定化したぞ!リソースを回せ!固定術式補助精霊を起動しろ!!」

「地脈ラインの60%切断! システムの緊急維持持ちません!!」

「非常事態システムを稼働させろ! 保持率低いぞ! 何やってるの!」

 混乱であります。ですが何とか地球帰還魔術の術式は維持できるでしょう。

 そう、赤黒い龍さえなんとかできれば……。


 転移用のホールはというと……。

『逃がさん! 逃がさんぞ!!!!!!!!!』

『ぐっ』

 赤黒の龍がドゥガたちの空間に食らいついています。

 固定された空間の上を初代様とドゥガが結界術を展開し赤黒の龍を防ぎ、マザーが空間を安定化制御をしています。3人とも経験豊富な方々なのでさすがです。


(すまん!)

 さてどうしたものかと私が権三郎を見た時のことです。

 勝さん1号からの通信が入りました。

 と同時に。


『ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 邪魔するな人形が!!!!!!!』

 高速で飛来した光輝く剣が赤黒の龍、その眉間に深々と突き刺さり赤黒の龍は痛みに悶えながらくらいついていた結界から牙を離しのけぞるように悶え、そして偽ドゥガの声でいまだ遠い空間を飛行する勝さん一号へ怨嗟の声を上げる。


(しゃぁ! ビンゴ!!)

 いえ、まぁ緊急事態だからしょうがないですが、私との同一魂間通信がつながるギリギリの距離からの射撃って下手したら、ドゥガたちや『亜空間航行用の船』に当たってしまったらどうするつもりだったのですか……。


(テヘペロ)

 いらっ。


(いやいや、そんなことにはならなかったから大丈夫だよ。奴がこっちから逃げ出した時に相当焦っていたようでな。龍の体から大量の神力がながれでていたので、それにのっけて投げてるから必ず当たったはずだよ。いわゆるゴムパッチン、みたいなものだ)

 で、あなた自身はどの程度で到着のご予定ですか?


(2日かな……)

 ヲイ。


(いやいや、下級神レベルの龍と人型の俺じゃ速度が違うってww ……戦力足りない感じ?剣なら投げ続けられるけど……いつラインを消されるともわからないしな……)

 こちらの戦力は空間維持に取られてしまっていますし、術式圏内にいる本物のドゥガとマザーと初代様も防御で手一杯ですので、2日いえ、2時間程度で押し切られてしまいますね……。

 勝さん1号、こちらの座標は把握していますよね?


(おう)

 では転移でお願いします。


(ん?)

 地球帰還魔術は空間干渉術です。転移防止結界なんか展開してしまったら空間干渉術に影響がありますので……あ。


(だよな……わかった。すぐに変態王子と他に戦力になりそうなやつら拾ってそっち行く)

 ああ、よろしくお願いします。


 ……しまった。転移防止結界を解除した情報が……。


『素晴らしいですよ! さすが我が相棒です!!!』

 勝さん1号よりも先に現れたのはディニオ率いる南方で『挟み撃ち』にあっていたディールケ共和国革命軍が数十名転移してきた。


 ……勝さん一号、はやく!!


ここまでお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ