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【書籍化・コミカライズ】【Web版】おっさん(3歳)の冒険。  作者: ぐう鱈
7章:宗教戦争で最も悲惨なのは宗派争い
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138「地球帰還魔術5」

お待たせしました。申し訳ございません。。。

「おおおおおおおお!」

 制御室の端、転移ホールに通じる窓に張り付き地球帰還魔術の起動を見下ろす学者たち。

 ……いや、確かにすごい現象ですが君たち地球帰還魔術起動術式の制御担当してますよね?仕事してください?


「素晴らしい! すっばらっしい!!!!」

 竜人学者デスガルドさん。貴方術式が起動したらメインコントロール席に私とミリ姉を残して事象を確認して高速でメモを取っています。あきれ顔のティリスさんが先ほどのお別れの際に号泣してしまったミリ姉を慰めています。

 はい。私はそんなミリ姉に抱きしめられ頭を撫でられています。

 なぜ?


 ……まぁ、いいでしょう。泣いた子には勝てません。

 さて、地球帰還魔術ですが現状ステージ2を実行中です。


 地球帰還魔術起動、亜空に接続後『生命の船』を構築するまでがステージ1です。

 これは先ほど遺跡を本格起動、大陸南部から中央にかけて存在する大陸内部に存在する魔法力の流れ、地脈と呼ばれるエネルギーの流れに干渉して亜空間魔法と地球魔術の空間干渉魔術を組み合わせた世界の外との境界を大きく割り、復元しようとする世界の力に地脈の力で対抗する。そして、亜空間に『亜空間航行用の船』を術式から作り出す。これは獣人からの大きな技術支援から作成された術式です。ですので、『亜空間航行用の船』は樹の形を取っています。

 なぜ樹なのか? これはこの世界に降臨している最高級の神が、ご存じ神樹様だからということが大きいです。そして、近年モンスター増加に伴う人類滅亡危機の際、人類を救った英雄である大魔王陛下、その英雄譚に大樹が出てくるため、世界を救い守るもののイメージが大きな樹として定着しています。(そもそもなぜ『魔族』『魔法』と呼ぶかというと、神から与えられた技術に対して適応が遅れた『人類の中で最多の数を誇る人間』が嫉妬と共に『どことも知れぬ高位存在からもたらせた魔なる力(実際に人間を罰した経歴のある亜神が伝えたせいもあるのだとか)』として魔力、魔法、それをうまく扱える種族を魔族と呼び始めたのがきっかけであり、地球的な価値観の大悪魔的な大魔王ではありません。あしからず)


 ステージ2では『亜空間航行用の船』の枝葉から光が放たれ異世界人たちを包み込みます。光に包まれ亜空に持ち上げられた異世界人たちは約15㎝ほどの光の粒に変わり、『亜空間航行用の船』の葉に取り込まれます。望遠鏡で見ると緑のベットの上に取り込まれた異世界人が眠っているようです。それを順次行っていますので時間がかかる想定です。


「素晴らしい! 世界の法則の外に持ち出すことで数万年を想定する旅路に耐えられるということか!」

 竜人学者デスガルドさん。


「……」

 ホールを見下ろすと最低限の物資、といっても数万の軍勢が行軍するような大量の物資ですが、の確認や航行時のオペレーション最終確認をしているドゥガやマザーと初代様、お忙しいようですがどこか晴れ晴れとした表情です。

 私たちの地球とは複数の可能性が並列する世界です。 

 同じ火山をして、噴火が及ぼす複数の可能性を並列に可能性を検証される世界、それが私達が居た地球という世界。

 並列に存在する複数地球を選択肢とし、その結果から地球管理を担当する創造神が『部下との会議という名のシステム』上の判定から1つの世界を選択します。

 並列に存在していた地球はその瞬間、選択された世界以外の地球は選択された地球に吸収され、選択されなかった地球は消え去ります。

 つまるところ、彼らが万が一地球にたどり着いたところで、そこが『彼らが知る地形ではない』『彼らが知る歴史ではない』『彼らが来た時代ではない』、そんな地球にたどり着くのです。

 私の中の人の情報によると元の地球に戻る可能性があるのは『1年未満』である。私が私を待つ人々のもとに変えるためには3歳の間のうちに何とか方法を見つけなければなりません。

 ……彼らが今回とった可能性ではなく、別な方法を……。

 時間はありません……。

 ミリ姉の温もりに安心を感じながら、私は『とある可能性』に思いを馳せます。


『この世界の友よ』

 長い時間が経ち、ミリ姉と私は半ば眠りに落ちていた時でした。

 感極まって涙まで流しているドゥガの声に起こされました。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

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