127「魔宝技師、無双す」
おはよう! 北海道は銀世界!!
「あー、これサウレリウスが変質してますね……」
「うむ、これではどんな魔法回路が組まれていたのかわからんな……見た目も四角い箱であるしな……」
こんにちは! マイルズ(3歳)です。
本日馬車に揺られて北部旅行中なのです。
私と竜人学者は特殊搬送車両(マイルズ製)に揺られながら……いえ、異世界人遺物解析の為に揺られないように、先日発見した反重力魔法回路を組み込んだ【この馬車浮くんです!】君、1号に乗って馬にひかれております。
ちなみにサウレリウスとは集積回路の様なもので、魔石と組み合わせると立体構造魔法回路を実装できる優れものです。欠点は保存状態によって腐食が進む点です。私と竜人学者が持っている遺物の様に形状からのヒントがない物はこのサウレリウスから目的を読み解き、機能を回復させられるのですが……。
「ふむ、この突起物は何であろうかのう……なるほど押すと内部魔法回路に魔法力を共有して……このギミックが……」
「出てくるこの棒が何を意味するのか不明ですね……ただの棒ではないし、材質が何なのかも……不思議です……」
分解したものを2人で眺め頭を抱えながら、考察をメモに取り、構造を解析する。一歩一歩進めるこの作業もまた楽しい。
「嗚呼! この意味不明な魔法回路が!」
「嗚呼! この使用用途の意味不明な本体の構造が!」
「魔法科学の進歩をもたらす発想に!」
「生活環境を変える文化に!」
「「変える原動力なる! それがロマン!!!!!!!!!!!!」」
ガッチリと握手する私と竜人学者。
一つの、同じ道を歩む同士なのです。
「……はぁ」
はいそこ、陰の中からため息つかない。
弟さんに生存を告げ口しますよ? ティリスさん。
「やめて、あの子の思い出には儚い姉として残りたいの」
……政治の問題ではないのですね……。
「そこはそれよ」
……腑に落ちなのです。
「腑に落ちないのは俺だーーーーー!」
前方を行く馬車から雄たけびが上がります。
馬車をまたいでしかも結構な騒音のある中で、幼児のつぶやきにツッコミを入れるとは侮りがたし、リーダー(童貞)。
「貴族はな! 無用な種をまけないから童貞が普通だ!」
「「「「え?」」」」
どうやら内紛が起こったようです。
「いや、俺達貴族の3子以降で継げる爵位もない人間だから、だから基本自由恋愛だよな? 政略に関わるも関わる兄上であれば、大事な嫁に無茶はできないから、普通は貴族のたしなみとして講師が付いて色々とな……」
「「「「……」」」」
「おい、誰かなんか言えよ……」
「いや……そーいや」
リーダー(童貞)さん。気持ちは凄くわかります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。





